管理職
管理職なんて楽なもんである…、と言い切ると、現在管理職で働いている方が怒るかもしれないが、実際そうだと思う。いや、言い方を変えようか、つまり楽する気になればいくらでも楽ができる…と言い換えてもいいだろう。実際、ここ一年位、ほぼ管理業務のみで過ごしてきた私の正直な心境だ。もちろん、どんな業界のなんの管理職なのか、によって、この見解は異なるのは認める。
以前も書いたと思うが、私の管理ぶりというのはかなりアバウトなモノで、それはそれで正しい事だと、ある種信念は持っている。そして回りで忙しく仕事をしてる管理職(仕事が出来る管理職ではないことに注意)というのをじっくり観察してみると、結局訳の分からない資料を作りまくって、合理的に社員を管理することを目指して、非合理な資料とルールを作り、そして不必要な打合せを繰り返して通常業務を妨害しているに過ぎない。そんなことをしている暇があったら、営業電話の一本、あるいはデザインの一案でも作ればいいと思うのだが、彼等にとってはそれが仕事だと頑なに信じているので、助言しても無駄だろう。ちなみに現在就業中の会社の話をすると、社長に限って言えば、そのような無駄な手順を踏んだ管理業務を否定する人間なので、案外私と気があったりするかも…と密かに思っている。
では、そんな中で私はどうなのかというと、申し訳ないがそのような管理体制を手下(笑)に強いることは我慢ならない。大体仕事のシステムとして美しくない。そのようなガチガチに、あるいは一から十まで管理されルールによって動くデザイナーを量産したってなんの役にも立たない…いや、会社としてはそのようなロボットみたいなデザイナーの方が役に立つのかもしれないが。
ここ一年間を振り返ってみると、私の手下達は、一見私の管理が全く入っていないように見えても、実は着実に進歩していると、私自身実感する。一番始めに彼等と打合せをしたときの、にっちもさっちも行かない状態から、着実に進歩して、今では「こんな感じで適当にサイト作って」といえば、Webサイト1件を自力で立ち上げられるようになった。勿論、お客様にとって喜んでもらえる形でである。
ポイントは自分で考えさせること、そして作業全体の概略を必ず説明し、自分がなんのための作業を行っているか常に認識させる事。たったこれだけの事だけど、逆にいうとこのようにデザイナーを信頼して業務を遂行できる度胸のあるディレクター、もしくは管理者は殆どいないのが事実。ガチガチのルールで縛って、そのルールをきちんと守らせるようにして、徹底的に管理する事なんて、そっちの方が精神的に楽なんだよね。第一事故があっても責任をルールのせいにできるから。ルールを守ってないおまえが悪いんだと、下に責任を押しつけられるから。
一件細かいルールを作りたがる人間ってのは、しっかりしてそうだけど全然逆で、実は責任を逃れる事ばっかり考えているに過ぎない。大体、事故が起きたときに責任を取るのが管理職の役目で、少なくとも私は仕事上の事故について、手下のデザイナーに責任を押しつけた事は一度もない。注意はするが、絶対に自信を無くさせる事は言わない。ただ、その代わり私自身は色々な人に頭も下げたし、叱られたし、訳の分からないプレッシャーかけられたりインネンつけられたり、色々あったけどな。
おそらく手下のデザイナー達は、私の下で働いたからこのような形で成長できた…とは実感していないと思う。そりゃそうだよな、一見放置で殆ど手を下していないし「適当にやっておいてね」と、常に考える事をデザイナーに押しつけたりしてるし。でもそれでいいんだよ。私は師弟制度とかそのようなモノに興味はない。だから、誰のせいでもなく、自力で成長できたと認識しているのが一番。自分のスタイルで仕事をしてきたと認識することは、後々自らの仕事に自信をつけていく事にもなる。私自身だって、特に師匠と仰ぐ人はいないけど、色々な先輩達の仕事術に影響を受けながら進歩(?)してきた筈。
何が言いたいのかよく分からないエントリーになったが、私自身もう管理業務を続けていく事は飽きた。またデザインをやりたい。とりあえず今の手下のデザイナー達も、自力で仕事をこなしていく最低限の経験と考え方は身につけた筈。もう私がいなくても全然大丈夫。
そしてこのエントリーは、とりあえず私のこの一年がそれなりに有意義であったと自ら納得させるための戯言。ま、そんな感じです。あとリアルな不満として、毎日こんなに長い時間電車に煮乗り続けるのもそろそろイヤになったしな。