寝台特急・北斗星1号
♪上野発の夜行列車降りたときから~。なんて歌がありましたが、最近の夜行列車は降りたときはもうでっかいどう!ほっかいどう。ってな事で、かねてから一度は乗ってみたいと思っていた寝台特急北斗星(車内では「寝台専用特急・北斗星」と言っていた)に乗車してきました。もう鉄分取りすぎ!って感じ、みたいな~。
北斗星に乗ってみよう!と思い立ったのは、大体ひと月くらい前でしょうか。仕事中急に思いました。思い立ったらもう居ても立ってもいられなくなり、早速ネットで北斗星の空き状況をチェック…と思ったら、北斗星のチケットはネットじゃ取れないのね。仕方ないのでついでにお得な周遊券などを調べつつ、旅の計画を練ります。今回使用した切符は「ぐるり北海道フリーきっぷ」という商品。この切符は、5日間有効で北海道内のJR鉄道乗り放題の他、フリーク間までの行き帰りに新幹線、または寝台特急に乗車することができます。特にいいのが、寝台特急を利用する際、B寝台ソロという個室車両を使えることです。早速この切符を利用してBソロで北海道に行くことにします。
そして夕方、立川駅みどりの窓口で、Bソロの予約状況を確認。聞いてみると、北斗星Bソロに関しては、駅員さんも直接マルス(JRの列車予約システム)を打たないとわかんないみたいですね。北斗星のプラチナチケットといわれている、A寝台ほどではないですが、Bソロも人気でなかなかチケットが取れないと聞いています。候補の日程を何日か伝えて調べてもらったところ、上野日曜日発、札幌木曜日発で何とか取れそうです。ちなみに帰りの北斗星は、乗車日が5日目なら、到着日は6日目になってもいいとのこと。そのルールを利用して、行きは朝の新幹線を使って早々に北海道入りし、帰りにのんびりと北斗星で帰ってくるのが、一番現地の滞在時間を長く取ることができます…が、私は敢えて行きも帰りも北斗星にこだわりました。べつに北海道にいっても、何をする訳でもないからね。それに肝心の有休が1週間しか取れなかった…というか、それ以上取るのが可哀想になってきたので、いずれにせよ、大がかりな予定を立てる訳にはいかなくなった、という事情もあります。
まあ、それはともかく、チケットは取れました。後は実際に乗るだけです!
北斗星は発車時刻の20分くらい前に、上野駅13番ホームに入線します。私は入線後すぐに乗車して、自分の部屋を確保…。指定席を持っているのに何故そんなに焦るのか?というと、実はこの手の予約というのは、案外ダブルブッキングのトラブルもあるのです。その場合、慣例的に先に部屋に入っていた方が優先権を得ます。だから、例え部屋を予約していても、なるべく早くチェックインすることは無駄ではありません。
早速部屋に入ります。私の部屋はBソロの二階部分。写真奥に見えるのが階段で、そこを上がった先がベッドになっています。個室とはいっても、部屋の中で直立は不可能という狭さですが、なかなか快適。特にソロの二階部分には、ベッドの奥に荷物を置くスペースがありますので、一階部分よりも広く感じます。ちなみに後から知ったことですが、札幌発のJR北海道車両では、この部分のスペースが1/3位しかなくてちょっと不便。 他に部屋の細かい部分も、上野発のJR東日本車両の方がよかったりします。
窓は写真左側の部分、魚眼レンズで撮影したので判りにくいかもしれませんが、普通の特急列車の半分くらい…の大きさの窓があります。大きさは小さいですが、その窓は1人で占領できるため、なかなか満足度は高いです。
初ブルートレイン乗車と言うことで、気張って銀座ワイナックスの白ワインを買ってきました。乗車当日の昼過ぎに銀座に寄って買いに行ったのですが、もう10年以上お会いしていなかったお店のマダムが丁度お店にいて、そして私のことを覚えてくれていて、なんだかスゲーなと関心。ちょっと昔話をしながら、最近の友人の近況も聞くことができて、なんだかとてもいい気分に…って、北斗星とは関係ないですね。とにかく、安心して飲めるおいしい白ワインと共に、私はBソロで出発時間を待つことにしました。
しばらくボーッと窓の外を見ていたら、発車の案内が鳴ります。「え?早いな」と思いながら、念のため自分の部屋を見回してみたりして…。その後、北斗星は静かに上野駅から動き出します。考えてみれば、私は寝台特急というのは何度も乗ったことがあるのですが、いわゆるブルートレインというのは、今回乗車するのが初めて。これは、世界唯一!といわれていた電車寝台583系の発車とは、また違った趣があります(私が過去乗った寝台列車は全て583系)。音はそうでもないですが、振動がとにかく少ない。さすがに動力が先頭に集中しているブルートレインですね。なんだか知らない間に動き出したという感覚です。
動き出したので、とりあえずワインを開けます。夜に呑む酒なので、少し辛口の白ワインを選びました。ワイナックスにしては安い酒を買ってきたのですが、逆に言えばこの値段でこのワインは他じゃ呑めない。一緒に買ってきた塩気のあるチーズが結構ワインに合いますな。そんなこんなで、列車はまだ人影が濃い、日曜日夕方の東京を徐々に離れていきます。
大体暗くなり始めたのは、大宮を過ぎた辺りかな。私は窓の外がよく見えるように部屋の照明を消して、外の薄明かりを頼りにゆっくりとワインを呑んでいます。そしてしばらくすると、北斗星の食堂車「グランシャリオ」の営業開始アナウンスが流れてきました。この北斗星の食堂車は、現在JRの定期運行列車唯一の営業している食堂車になるため、私としてはなんとしてもここで食事をしておこうと決めていました。ただ、18:00~21:00の間は、予約席となり高価なコース料理しか頼めませんので、私としては21:00以降のパブタイムを利用して、何か食事をするつもりです。
おっとその前に、シャワーを希望する人は、あらかじめグランシャリオでシャワーカードを購入する必要があります。私は昼間結構動き回っていたので、是非シャワーを浴びたいと思い、グランシャリオに突撃!、とりあえず21:30から30分間のシャワーカードを手に入れます。お値段は310円。希望者にはお風呂セットも販売していて、こちらはシャンプーとリンス、せっけんとオリジナル北斗星タオル付きで410円です。私はとりあえず両方買っておきました。
さて、後はのんびりとパブタイムまで部屋に戻って音楽でも聴きながらワインを呑むか…と思っていたのですが、意外と音楽は聴く気になれず、ひたすら暗くした部屋でチビチビとワインを呑みながら車窓を眺めていました。なんだか、こんな気分で車窓を眺めるのも不思議な気分です。宇都宮を過ぎた辺りで、外は漆黒の闇となり、時たま見える街や民家の明かりがとてもまぶしく見えます。私はそんな景色を眺めながら一体何を考えていたのか…残念ながら今ではさっぱり思い出せません。というか、なにも考えていなかったのかもしれません。何をするでもない、なにもしなくていい、それでいて孤独とはまた違う…なにやら不思議な気分だったのは覚えています。こんなに長い間なにも考えずボーッとしているのは、ものすごく久しぶりかもしれません。
そして、列車が福島を過ぎてしばらくした辺りかな?念願のパブタイムとなり、私は早速夕食と、その後シャワーを浴びるために部屋を後にしたのでした。
食堂車の風景はこんな感じ。普通の料金で食事ができるパブタイムはやはり人気で、私はパブタイム開始直後に出かけたのですが、もう席は結構埋まっていました。この時間は喫煙も可能になるため、タバコ嫌いな人にとってはちょっとつらいかな…とも思ったのですが、車内の換気は良好で、私もそんなには気になりませんでした。
そして私が注文した料理は、ハンバーグとライス。ハンバーグセットだと2,000円ですが、別にコーヒーもサラダもいらないので、単品で注文しました。この場合のお値段は1,600円。味はまあその辺のファミレスよりは…というレベルかな。おいしい!って程でもありませんが、普通に満足できる味です。というか、正直私はもっとパサついた食事かと思っていたので、意外にレベル高いな…と、逆に感心したのでした。昔に列車の食堂車で食べた料理というのは、たとえが悪いですが、一昔前の高速道路サービスエリアの料理と似たり寄ったりのレベルで、その割に値段は高い!といったシロモノだったため、私はそういった先入観をもっていたのですが、それがかえって幸いしたのかな?
なんて書くと「実はマズイのでは?」なんて思ってしまう方がいるかもしれませんが、グランシャリオのハンバーグは、普通においしい食事だったので、皆さん安心して下さい。
さて、食事も済んだところで列車は丁度仙台駅にさしかかったところ。私はそのままロビーカーという、誰でも座ってくつろぐことができる車両に移動して、ちょっとシャワータイムまで一休み。何となく誰かに「私は今北斗星に乗っている!」とい事実を宣言したくなり、そこから電話をするのも久しぶりな友人に電話をしてしまいました。私がこれから北海道に行って、そして旭山動物園に行く予定…と言うと、「もぐもぐタイムは見逃さないように」という忠告を受けました。ありがとうございます、その忠告は後日生きました(笑)。
そんなこんなでシャワータイムになったので、電話を切り、シャワーに入ります。
シャワー室の使用は時間で区切られており、30分単位で購入することができます。その中でシャワーが出る時間が6分間。シャワーのスイッチ横に大きくタイマーが表示されており、残り時間が表示されますので安心です。北斗星にはシャワー室が隣り合って二部屋あり、ロビーカーに設置されています。特に男女別にはなっていないようですが、使用時間が時間で区切られているので、特に問題はないのでしょう。もっとも潔癖性の女性はいやがるかもね。
ただ、シャワー室の中は割合清潔で驚きました。床もきちんと乾いていますし、足ふきのタオルも新品が用意されていました。広さも列車内のシャワールームにしては広く快適です。ただ、当然列車内なので揺れますね。まずシャワールームに入室後、鍵を閉め、事前に購入しておいたシャワーカードをセットします。この際扉に鍵がかかっていないとエラーが出ますので、鍵の閉め忘れはありえないでしょう。そして服を脱いでいざシャワーへ。はじめ6分間というと短いかな…と思っていたのですが、実際は結構長いですね。途中シャワーを一時停止することもできますし、普通に頭と顔と体を洗っても時間は余るかんじ。もっとも、念入りに洗うのが趣味の人には短いかもしれませんけど…。
さて、シャワーも無事浴びおわりました。さっぱりとした体で部屋に戻ります。
部屋に戻って、さて何をするか…といっても、酒を呑むしかないですね。ただ、シャワーを浴びた後なので、ちょっとコップ半分程度にしておいて、残りは…といっても、すでに2/3程度は飲み干していたのですが、残りはフタをして、冷たいお茶で頭を少しスッキリさせて、またボーッとしていました。
外は一関を過ぎた辺りで雪景色です。なんだか眠くなってきたので、寝台に横になりながら窓の外を眺めていたのですが、知らぬ間にうとうとしていたようです。この辺から記憶が途切れ途切れで曖昧になっています。そして「ああ、青森だぁ」と思って、しばらくしたらなんだかトンネルの音がして…という所で意識が途絶えました。酒が入っていたせいか、思ったよりはすんなり眠れた気がします。それと、青森付近から外はちょっとした豪雪風景で、その為列車自体の音もすごく静かだった…というのもあるのでしょう。乗車前は「寝れないかも」なんて思っていたのですが、割とあっけなかったですね。そして、目が覚めたのは早朝の薄暗い闇の中、北海道噴火湾から太平洋が見え始めた頃でした。列車の進行方向も、知らない間に変わってましたね。
本格的に起きたのは、大体室蘭を過ぎた辺りでしょうか。途中長万部辺りまでは割と雪があったのですが、こちらまで来ると雪はほとんどありません。外は快晴で、窓から差し込む朝日がまぶしいです。丁度車内販売がやってきたので、コーヒーを頼んで(300円も取られた!)、目を覚ましてから降車の準備です。私は終点の札幌まで行かず、南千歳で降りて、そこからスーパーおおぞら3号に乗り換えて、釧路に行く予定。明るくて見やすくなった外の風景を眺めながら、ぼんやりと時間が過ぎます。
そして、列車が苫小牧を過ぎた辺りで、車掌が部屋の鍵を回収しにきました。この先、私がいるこのBソロは、もう私の部屋ではなくなります。なんだか寂しい気もしますね。いっそのこと目的地なんてどこでもいいから、このまま3日くらい日本全国を走り回ってる列車があればいいのに…と、ちょっと思いました。それだけ、北斗星の旅は快適なものでした。またいつか、きっと乗りたいです…って、3日後にまた乗る訳ですけど(笑)。
ということで、私は南千歳で北斗星とさよならです。南千歳駅での北斗星の停車時間はごくわずか。荷物を持って列車から降りると、発車ベルを鳴らして、あっけなく北斗星は札幌方面に向けて去っていきました。
さて、北海道の鉄分補給旅行はこれからが本番です!
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コメント
列車の旅って、良いんですね。
寝台車ってとカプセルホテルみたいな感じだと思ってたのですが・・・
かなり興味が惹かれました。
列車の中で楽しめるんですね。
いいなー個室。
投稿者: tyahan | 2006年12月12日 10:39
昔ながらの解放B寝台は、カプセルホテルまんまですけどね。
Bソロ以上になると、個室となり、なんだか雰囲気が変わります。
北斗星も、北海道まで新幹線が開通するまでの命のような気がしますので、なくなる前に一度乗っておいたほうがいいかもしれません!
投稿者: よっち | 2006年12月12日 14:11
車両の件ですが、北斗星1と2号はJR北海道の車両で、5号車はBソロだけとなっており行きに乗られた車両はJR北海道の車両です。ちなみに3号、4号がJR東日本の車両で、B1ソロの室内は少々狭いです。あしからず・・・真実をお伝えしたくて・・・
投稿者: けっけ | 2007年11月28日 19:06
訂正ありがとうございます…が、車内のプレート確認したつもりだったんだけどなぁ(笑)。
私の気のせいだったんですね。
投稿者: よっち | 2007年12月02日 21:01