反戦軍事学/林伸吾
ネット時代になって、左翼と朝日新聞が言うところの「ネット右翼」が台頭してきたのは、2ちゃんねるのせいでも、小泉政権のせいでもなく、単に左翼と呼ばれる連中が圧倒的に馬鹿だからだというのは間違いない。
事の是非はともかくとして、ネット上で右翼的思想の人と左翼的思想の人が論戦している様を読むと、ほとんどのケースで、知的な論説の右翼に対し、まるで駄々をこねる小学生のような知能を持った左翼が、訳のわからない書き込みで一方的に自分が論破したつもりになっている…といったケースばかり。
考えてみれば、誰でも自由に意見を述べられるネットという場所では、左翼の常套手段である「あなた達は被害者の深い悲しみを理解していないのですか!」などというような、善意を装った悪質な脅迫行為(彼らに言わせると総括?)が通じないのだから、仕方ない。彼らは今まで言論で戦ってきた訳じゃないからね。だから、ネット上の論戦でやられるのは当然ともいえる。日本の左翼の方は、もっと勉強してくれないと本当に困りますよ…。
ということでこの本。なんでも「戦争を反対する人こそ正しい軍事的知識をもってほしい」といった趣旨で書かれた本らしい。オビには「デタラメな“専門家”にだまされるな!!」と書いてあるが、残念ながら…としか言いようがない。会社の近くの本屋で買って、そのまま帰り道で読んでいたのだが、もう読むのが苦痛で仕方ないというか、ちょっと読むとすぐにツッコミを入れたくなるところばかりで困る。
本論でツッコミ入れるのは面倒なので、敢えて枝葉末節で突っ込ませてもらうと、90式戦車が高価というのは、もはや都市伝説の類にしかすぎない。確かに少量生産のため割高なのは仕方ないが、ドイツが外国にレオパルト2をいったい幾らで売却しているのかきちんと調べた方がいいのではないか。また、あれだけうじゃうじゃ作ってるM1エイブラムス戦車が一両七億八千万円するのに、少量生産品の90式戦車が一両八億円で収まっているというのは、むしろ格安。ちなみに90式戦車の行軍射撃における初弾命中率はアメリカ人もびっくり!という話らしいです。これも都市伝説かもしれないけどね。
他にもこの著者は、テレビでワールドカップの試合を見ている際、「北朝鮮がミサイル発射」という臨時ニュースのテロップが出てきたので、とっさにコードレス電話機を握りしめたそうである。なんでもそのまま臨時ニュースになったら、テレビ局に抗議の電話を入れようとしていたらしい。この行為について著者自らが「私は平和ボケだろうか、非国民だろうか。そんなことはない」と語っているが、安心してほしい、これじゃあ単なる○○でしかない。
とにかく、基本的な軍事知識を知りたい人にとってはあまり役にたたなくて、それなりの軍事知識を持っている人にとっては、もう読むのが苦痛というか、ツッコミどころ満載で疲れる…という本。その割に本論にあまり関係ない妙な蘊蓄が多く、この文章ってなんとなく「宝島社」でガンダム関係の本を書いてる「円道祥之」とかいうライターに似ているなぁ…と思った。
少なくとも、右翼の方にとっては、この程度の知識で勉強したと思っている自称“リベラル派”の知的レベルについては、当分心配する必要ないと思います。
最後にちょっとだけマジメな話を…。この本では「戦争反対者にこそ正しい軍事知識を」と何度も言っている割には、今まで軍事知識豊富だった方は、好戦的な思想の持ち主ばかりだった…と、決めつけているようにしか思えない(違うと言うなら私の読解力の問題だろうが)。
本気で誰か調査してほしいと思うのだが、秋葉原あたりで軍事ヲタ100人を集めて、思想に関するアンケート取ってみてはどうだろう。私もそうだが、軍事的知識というのは、増えれば増えるほど、理論じゃなくて感覚として、戦争なんて絶対に行きたくないという思いがどんどん強くなる。
そして、いつの世の中でも「戦争賛美」をする連中というのは、理論的に物事を考えず、全体主義を周りに押しつけ、軍事的知識が欠如、もしくは誤った軍事的知識をもって、戦争すれば必ず勝てると信じている馬鹿共ばかりなのだ。これを今の日本に当てはめて考えれば、この先どういった人達が戦争始めたがる連中なのか、すぐに判ると思う。判らなかったら、もっと歴史を勉強すべきだろう。
コメント
はじめまして、ha10riと言います。
単なる思いつきなんですが
>オビには「デタラメな“専門家”にだまされるな!!」
この本買った時点でだまされてるってことでいいんですよねぇ。
投稿者: ha10ri | 2007年03月27日 23:11
始めまして。
「デタラメな“専門家”にだまされるな!」というキャッチは、一般論として間違っていないと思いますよ。
この本を買って読んで、そしてこのキャッチをどう思うかは、人それぞれだと思いますので。
投稿者: よっち | 2007年03月28日 00:07
はじめまして。
貴ブログへの突然の書き込みの非礼をお許しください。この度、私たちは「運動型新党・革命21」の準備会をスタートさせました。
この目的は、アメリカを中心とする世界の戦争と経済崩壊、そして日本の自公政権による軍事強化政策と福祉・労働者切り捨て・人権抑圧政策などに抗し、新しい政治潮流・集団を創りだしたいと願ってのことです。私たちは、この数十年の左翼間対立の原因を検証し「運動型新党」を多様な意見・異論が共存し、さまざまなグループ・政治集団が協同できるネットワーク型の「運動型の党」として推進していきたく思っています。
(既存の中央集権主義に替わる民主自治制を組織原理とする運動型党[構成員主権・民主自治制・ラジカル民主主義・公開制]の4原則の組織原理。)
この呼びかけは、日本の労働運動の再興・再建を願う、関西生コン・関西管理職ユニオンなどの労働者有志が軸に担っています。ぜひともこの歴史的試みにご賛同・ご参加いただきたく、お願いする次第です。なお「運動型新党準備会・呼びかけ」全文は、当サイトでご覧になれます。rev@com21.jp
投稿者: 革命21事務局 | 2008年10月15日 15:34