国防の真実・こんなに強い自衛隊/井上和彦
確かに自衛隊は強い。実戦を経験したらどうだだとか、予備部隊の不足だとか、補給物資が足りないだとか色々言われているが、この軍事力を、予算とか人的資源とか保有兵器数とか、そういう視点のみで評価しても、真実は見えてこないと思う。何故なら、軍事力は常に他とのパワーバランスの問題だからだ。
そう考えると、以前どこかで書いたが、現在の世界の海軍で第2位の実力といわれる海上自衛隊の戦力は、パワーバランスと的に考えると旧日本海軍よりもずっと強大な軍隊である。少なくとも昔は世界第2位の海軍でなかった。
これがいい事なのか悪い事なのかはわからないが、こんな風に、保有兵器数や人数も大事だが、結論として軍事力は、そういう視点で評価して考察されるべき。そして、私達日本人は、既にこれだけの戦力を持ってしまっているという事実を、しっかりと考えた方がいいと思う。
という事で本書。自衛隊は強いとか、自衛隊はエライとか、中国と韓国(と北朝鮮)は脅威だとか、わりと無邪気に書かれていて、あまり毒にも薬にもならない感じ。
一点だけ今まで知らなくてびっくりした事が、沖縄の基地問題についての情報。よく沖縄には「米軍の軍事施設の75%が集中している!」とか言われているが、アレは統計のトリックらしい。つまり、純粋に米軍のみが使っている基地を恣意的に取り上げて比較した数値らしく、そこに岩国基地や三沢基地、横須賀基地などの面積は含まれないそうだ。
日本本土で、純粋に米軍のみが使っている基地は、東京都の横田基地と神奈川県のキャンプ座間のみだそうで、それと沖縄の基地面積を比較して、沖縄が75%であると言っているらしい。
もっとも、岩国や三沢を含んだ数値で比較しても、沖縄の米軍基地は日本国内で展開している米軍基地面積の25%を占めるそうだから、沖縄県の負担が大きい事には変わりない。
ただ事実として、日本の市民団体やマスコミが平然とこのような嘘(と言い切っていいだろう)をついて、自らのイデオロギー拡大を図っているという事実は知っておいた方がいい。
何度も繰り返すが、かつての日本において事実を隠蔽して都合のいい情報を流し国民を欺き続けた連中とやってる事は一緒。こういう連中が、なんかのきっかけで平然と「お国のために…」とか言い出すのは目に見えている。
本書で得た重要な知識は以上かな。他は私にとっておおよそ既知の情報だった。