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▼2007年03月30日

舟と港のある風景/森本孝

 素晴らしい!久しぶりに色々と得るモノが多かった本だと思う。

 本書は、かつての「日本観光文化研究所」から発行されていた機関誌「あるく みる きく」に連載されていた「海辺を歩く」というシリーズの記事を中心にまとめたもの。著者が日本各地の海辺を実際に歩き、ときには地元の漁師の家に泊まったりしながら集めた記録なので、とてもライブな感覚に溢れていて、ぐいぐいと引き込まれる。やはり、こうやって一次資料へ積極的に触れていく人には叶わんなと思う。

 私も地方に行くと、クルマで国道を外れて細い道を入り、小さな漁村とかを見に行く事が多いのだが、現在の視点のみで考えると、率直に「なんでこんな所にわざわざ住んでいるの?」と感じる事が多い。
 ただ、かつて日本が小さな村の集合体だった頃は、それでも充分にやっていけるだけの経済力が漁村にはあったんだなと、本書を読んで理解できた。むしろ、かつての漁村は内陸部よりも豊かで、それでいて人の流れも非常に活発な文化を持っていたらしい。

 本書を読んで、私も日本各地の海沿いを見に行きたくなった。

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