バード日本紀行/イザベラ・バード
この本は、イザベラ・バードという英国女性が、明治時代初頭の日本を訪れて書いた旅行記。この本は現在平凡社から文庫で「日本奥地紀行」として発刊されているが、この奥地紀行は、本来イギリスで「日本の未踏地(1880年版)」として発売された本から、東北・北海道の部分を抜粋して収録した本の日本語訳であり、彼女が当時江戸や京都に行った際の紀行文は省かれていた。
そして、それらの日本語訳が発売される日は来ないのかな?と、私は待っていたのだが、どうやら私の知らない間に雄松堂という地方書店から発売されていたらしい。私が知ったのは大分後だったので、既に版元では品切れ中。そしてアマゾンでは古本が定価の倍近い値段を付けて売られている…という状況で、手に入れにくい状態だった。
そんなこともあり、入手はあきらめて、また版元が増刷するのを気長に待ち続けるかな…と思っていたのだが(地方書店なのでこのまま絶版の可能性も大いにある)、この前の土曜日、用事があったついでに神田の本屋街を眺めていたら、裏通りにある書店で偶然在庫を発見。当然即買い。
現在チビチビと読んでいますが、実に興味深くて面白い。「日本奥地紀行」を読んだ人ならこの面白さが分かってくれると思う。本書では旅行だけでなく、滞在した江戸の風俗や、京都や新潟での買い物風景なども描かれており、奥地紀行とは違った当時の日本をリアルに体験できる。というか、こっちもとっとと文庫化して大勢の人に読んでもらった方がいいのではないかと思う。
新異国叢書という研究者向けのシリーズなので、ちょっと定価はお高めなのだが、5,500円払っても惜しくない面白さ。もっとも、品切れ中なのでお勧めはできないが。
どうでもいいけどこのシリーズ、他も面白そうだなぁ。オランダ商館長のティチング(オランダ本国が戦争に巻き込まれ、長期の間出島で領事を務める)が書いた日本風俗図誌なんてのも、是非読んでみたい。
コメント
山形県の赤湯温泉一帯を桃源郷と紹介した方ですよね。
あの時代極東まで旅をした行動力に、感服します!
投稿者: kyomi | 2007年04月09日 22:26
最後の頼みの綱は「こたつ」で、我を忘れてよく利用している。こたつは日本の「暖房器具」である。炭火を入れた容器の上を四角の木製の枠で囲み、綿をつめた大きなキルト、つまり「蒲団」を掛け、その中に潜り込むのである。蒲団を手前に引き寄せあごのところまで持ってくると、少しみっともないが暖かく、眠気を催す夜をうとうと過ごすことになる。
なんていうことも書いてあって、とても面白いです。
開国間もない時代に、英国人の女性がこたつの良さを理解するとは…。こたつ恐るべし。
投稿者: よっち | 2007年04月09日 23:08