イザベラ・バードの日本紀行について
昨日話題にしたばかりだが、夢中で読み終えてしまった。
重複するので作品についての概要は避けて、いきなり本題に入るが、既に出版されている「日本奥地紀行」のイメージから、多くの人にとってバードという女性は、未開の地を好んで歩くトラベラーだと思われているらしい。これは日本国内だけではなく、海外でも概ねそのような評価を与えられているようだ。
確かに、当時のアイヌとの対話は他になかなか類を見ない記述だし、大変貴重な記録だとは思うのだが、それ以外、普及版の「奥地紀行」で省かれた部分にあるメジャーな観光地…東京や京都など…も、彼女は訪れていて、しっかりと楽しんでいる。
特に京都から伊勢神宮への旅は、日本語を堪能とする英国人女性のギュリック夫人との旅で、途中雨に降られたことまでが楽しそうだ。以下長いが引用すると…
と、思わず本音を漏らしている。私などは、読んでいてバードにとても親しみを感じてしまった部分。
他にも本書は、研究者向けの本らしくあとがきの解説が秀逸。私はあとがきを読みながら、思わずアマゾンで書籍を数冊注文してしまった。こういう知識の広がりを案内する解説というのは素晴らしい。
やや高価な本だが、知的好奇心を満足させるという娯楽において、実に楽しい本だった。
ついでに余談、あとがきで、最近のバードブームに関して、マスコミの取り上げ方に若干苦言が書いてあった。またTBSか!なんだけど、この部分も引用してみる。1998年11月28日にTBSで放送された「世界ふしぎ発見」のバード特集について、毎日新聞が書いた見出し。
まず、バードとジャポニズムには関係も接点もない。また、新潟と北海道への旅の相談は、サトウでなく、イギリスの公使パークスであった…だそうだ。大体パークスの件は、東洋文庫から出版されていた奥地紀行にも書いてあったのでは?
コメント
良いものを手に入れましたね。
私は手に入らなかったので「イザベラ・バードの日本奥地紀行を読む」と言う本を読んでお茶を濁してしまいました(笑)。
その次は「逝きし世の面影」を読んだのですが、同じ出版社なので、目に付いた時に一緒に買ったのかもしれません。
投稿者: チェリー | 2007年04月11日 13:11
あ、どうもお久しぶりです。
「日本奥地紀行を読む」は、面白いですよね。私も読みました。
宮本常一の解説が的確で「奥地紀行」を読むより、わかりやすいかもしれません。
「逝きし世の面影」は、日本人である事の意味を考えさせられます。懐古主義をよしとする訳でもないのですが、ああいう時代と価値観が、かつての日本にあった事は、知っておくべき事だと思いました。
本書も、興味がおありならお渡ししますよ。
投稿者: よっち | 2007年04月11日 19:37