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▼2007年04月10日

イザベラ・バードの日本紀行について

 昨日話題にしたばかりだが、夢中で読み終えてしまった。

 重複するので作品についての概要は避けて、いきなり本題に入るが、既に出版されている「日本奥地紀行」のイメージから、多くの人にとってバードという女性は、未開の地を好んで歩くトラベラーだと思われているらしい。これは日本国内だけではなく、海外でも概ねそのような評価を与えられているようだ。

 確かに、当時のアイヌとの対話は他になかなか類を見ない記述だし、大変貴重な記録だとは思うのだが、それ以外、普及版の「奥地紀行」で省かれた部分にあるメジャーな観光地…東京や京都など…も、彼女は訪れていて、しっかりと楽しんでいる。

 特に京都から伊勢神宮への旅は、日本語を堪能とする英国人女性のギュリック夫人との旅で、途中雨に降られたことまでが楽しそうだ。以下長いが引用すると…

登山服を着て山高靴をはいていてわりと楽に進んでいたが、出発から三十分ほどで両方ともびしょぬれになってしまった。しかも長いスカートと長い防水マントを着ていたギュリック夫人の方は、スカートの重みとしみこんだ水の重みで、また履き物はいつも泥深くもぐってしまった。その上傘をさそうとするので、とても難儀なことであった。しかし、ギュリック夫人の陽気さは変わらなかった。状況がひどくなればなるほど、その夜宿屋に着きそうもないことまで、車夫達と私達は屈託なく心から笑い飛ばした。今回の旅は、北日本での陰鬱な雨の日々と違い、本当に楽しかった。

 と、思わず本音を漏らしている。私などは、読んでいてバードにとても親しみを感じてしまった部分。

 他にも本書は、研究者向けの本らしくあとがきの解説が秀逸。私はあとがきを読みながら、思わずアマゾンで書籍を数冊注文してしまった。こういう知識の広がりを案内する解説というのは素晴らしい。
 やや高価な本だが、知的好奇心を満足させるという娯楽において、実に楽しい本だった。

 ついでに余談、あとがきで、最近のバードブームに関して、マスコミの取り上げ方に若干苦言が書いてあった。またTBSか!なんだけど、この部分も引用してみる。1998年11月28日にTBSで放送された「世界ふしぎ発見」のバード特集について、毎日新聞が書いた見出し。

「明治時代、東北や北海道を旅したイギリス人女性イザベラ・バードの足跡をたどる。十九世紀のヨーロッパではジャポニズムが流行していた。駐在外交官アーネスト・サトウに相談。東北地方を縦断して北海道を目指した。外国人が一人もいない土地では、ハプニングの連続だった。北海道に渡った彼女は、風景の美しさに感激し、これこそ天国とつづっている。彼女が日本で最も感動したのは、アイヌとの出会いだったという。」

 まず、バードとジャポニズムには関係も接点もない。また、新潟と北海道への旅の相談は、サトウでなく、イギリスの公使パークスであった…だそうだ。大体パークスの件は、東洋文庫から出版されていた奥地紀行にも書いてあったのでは?

日本奥地紀行/イザベラ・バード
バード日本紀行/イザベラ・バード

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コメント

良いものを手に入れましたね。
私は手に入らなかったので「イザベラ・バードの日本奥地紀行を読む」と言う本を読んでお茶を濁してしまいました(笑)。

その次は「逝きし世の面影」を読んだのですが、同じ出版社なので、目に付いた時に一緒に買ったのかもしれません。

あ、どうもお久しぶりです。

「日本奥地紀行を読む」は、面白いですよね。私も読みました。
宮本常一の解説が的確で「奥地紀行」を読むより、わかりやすいかもしれません。

「逝きし世の面影」は、日本人である事の意味を考えさせられます。懐古主義をよしとする訳でもないのですが、ああいう時代と価値観が、かつての日本にあった事は、知っておくべき事だと思いました。

本書も、興味がおありならお渡ししますよ。

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