補給戦/マーチン・ファン・クレフェルト
かつてボードシミュレーションゲームをやっていた時、補給については比較的注意しつつゲームを進める必要があった。ただ、後年登場したPCシミュレーションゲームには、全くと言っていいほど補給に関する概念がない。この辺の体験を境にして、戦争には常に補給が必要だという認識が別れるのではないかと思う。
なあんて、かつてはそんな偉そうなことを考えたこともあったが、本書を読むと、その程度の認識では、戦争の現実は全く理解できていないということを思い知らされる。
特に、近代戦において作戦行動を支配するのは、素晴らしい戦略的ひらめきでも武勇でもなく、綿密な補給計画である。
本書の初版は1980年。その後長い間絶版状態が続いていたが、最近になってようやく文庫化された。軍事的知識を深めるにはいい本だと思う。お勧め。
そうそう、一点だけ苦言。いい加減翻訳物の本で、単位をマイルとかポンドとか表記するのやめようよ。こんなの校閲の時点で電卓使ってちょちょいと計算して書き換えれば済む事だろう。これらの単位が出てくる度に、頭の中で暗算するのはかなり面倒。
補給戦―何が勝敗を決定するのか/マーチン・ファン・クレフェルト