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▼2007年08月07日

震災

 新潟で地震が起きた際、テレビのキャスターが「大自然の驚異」とか「大自然の力に比べればあまりにも人は無力」とか「どこか、日本の政治は人の安全を軽視する…」などと、どさくさ紛れにイデオロギー的な批判も混ぜたりしたコメントを出してはしゃいでいたが、本当にそうだろうか。私が思うに、今回の新潟地震は、人の英知が大自然に打ち勝った…と言っていいほどの被害の少なさだったと思っている。

 それと、今回の地震で犠牲になった人には申し訳ないが、このところ立て続けに大きな地震が起きているせいで、危ない建物と安全な建物の基準が、個々の建築物による判断ではなく、建築年月日など客観的データでおおよそ判断できるようになったというのは、大きな成果でもあるだろう。つまり、簡単に言うと古い建物は危険だということだ。

 「昔の建物は頑丈にできている」という話をたまに聞く。これは間違ってはいない、確かに古い建物は頑丈にできている…というか、必要強度を計算して不要な強度を省く技術がなかった。だから、床から天井まで等しく同じような部材で同じように頑丈に作ってある。そのため、頑丈でも耐震性は低い。何故から、強度があって重い上部構造物が、下部の構造物を押しつぶしてしまうからである。
 そのため、現在の建築は、床は頑丈だが、上部に行くに従って、個々の部材としては耐久性が低く軽く作ってある。そのおかげでトップヘビーになって下を押しつぶすという危険性が少なくなっている。事実、今回の地震でも、1990年代以降に建設された建物は、あまり被害が出なかった。これは、人の英知が大自然に打ち勝つ…とまでは行かないにせよ、対抗しうるところまで来た成果といってもいいだろう。この先の建築はどうなるかわからないが、今以上の耐震性をユーザーが望めば、おそらく地震による建築物の崩壊で死者が出ることはなくなるのかもしれない。
 ただし、震災後に起きる火災の危険性については、まだまだ対策が不十分だと感じる。

 むしろ最近で危険なのは、建築そのものではなく、その室内の方に要因がある。建築の厳しい基準に比べ、室内の家具などの配置については、かなりいい加減で危険性が高い家庭が多いなと思う。タンスなど背の高い家具にはストッパーを…などというが、私からいわせると、家具が倒れる先に人がいる可能性がある場所で、倒れると人に被害をもたらす家具を室内に配置することが間違っている。
 例えば、今の高層マンションは、地震による崩壊を防ぐために、建物自体が大きく揺れてエネルギーを逃がす構造になっているが、そういう家庭でも、壁一面に配置された食器棚や、寝室に壁一面本棚を置いたりされていることが結構ある。そういう部屋だと、建物は無事でも、揺れは大きくなる訳だから、それにより倒れた家具に押しつぶされて、中にいる人は大怪我をする可能性がある。

 今の私の部屋は、高さが私のヘソあたりを超える家具は全く配置していない。唯一ちょっと背が高いと思われるのが、スピーカーくらい。つまり、地震で部屋がめちゃめちゃになっても、家具に押しつぶされて死ぬ危険性はほとんど無い。
 そういう意味で、耐震性を高める建築も大事だが、これからは中に配置する家具の配置やあり方についても議論する必要があると思う。他、震災後の避難態勢や、身の置き方についても、現在では明確なルールができあがっているとは言い難い。

 私は、そろそろ地震という災害について、そういう視点での防災対策を考えうるべき段階に来ていると感じている。

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コメント

阪神大震災の時の被害の大きさの一因でも有りましたよね。
私の親戚も被害にあったのですが、昔から「関西は地震が無いから」とすごい家具配置でしたからね。

いやぁ…家具の配置は注意した方がいいッスよ。
というか、天井の突っ張り棒だけで何とかなると思ってるその考えが怖い。

天井のボードなんて、げんこつで簡単に割れる程度の強度しかないですからね。

しかし…親戚は災難でしたね。ご無事だったのでしょうか。

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