宮本常一著作集48
宮本常一の著作集は、まだ読み終えていない巻が何冊もあるので新規購入を控えていたのだが、もうバンバン発行されるので、このままのペースだと死ぬまでに読み終える事ができないかもしれないな…。
なんて思ってはいても、やっぱりもったいないので買い控えていたんだけど、今日寄った本屋で珍しくこの著作集が店頭に在庫してあり、その48巻「林道と山村社会」の中身を見たら、とても面白そうなのでつい買ってしまった。
宮本常一は、世間的に「民俗学者」と分類されているみたいだけど、私的にはちょっと違う認識。というか、本来の民俗学者は宮本常一みたいなスタイルであるべきだと思うのだが、残念ながら現在の民俗学者達は、知識のための知識、議論のための議論を繰り返し、結果訳の判らないイデオロギー的概念にどっぷり漬かってしまって抜け出せなくなっているようにしか見えない。そんな中で1人その民俗学の沼地からすくっと立ち上がっているようにも見える宮本学は、民俗学というものを「世間に役立てるための学問」として実際に使用している点で、皮肉にも一般の民俗学者には見えないという結果になってしまっている気がする。もっともこれは私の個人的な印象でしかないけどね。
実際、本書の内容をざっと確認すると、林道についての企画設計、予算配分、その効果、後の維持、社会的影響など、業務報告書を読んでいるかのような明快さが見て取れる。これからじっくり読むのがとても楽しみだ。
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