星の航海師/星川淳
昔買った本なんだけど、ちょっと前に奥の院から発掘されて、思わず読んでしまった。
この「星の航海師」とは、ポリネシアの伝統航海術を受け継ぐ「ナイトア・シンプソン」のある意味半生記を記した本。この伝統航海術とは、何一つ近代航海に使用する道具を使わず、星と海と波を感じながら遠洋航海をする技術。この方法で太平洋に住む人々は、大海原を縦横無尽に航海した。
特にこの本が出版された頃(10年以上前)は、丁度古代の航海術が見直される機運のあった時期でもあり、それ以前に半ば遭難に近い形で南太平洋諸島に散らばっていったと言われていた人々が、実は計画された「航海」に基づいて大海原を渡っていたという説が盛り上がってきた頃である。そして今では、南太平洋に住む人達が組織的、計画的な航海を行っていた事に、あまり疑問を抱く人も少なくなった。
今でこそ「なるほどなぁ…」と思いながら読める本ではあるが、本書を購入した頃は、それなりにセンセーショナルな内容でもあった事を覚えている。
あまり専門的な内容でもないし、それでいてこの「星の航海」というエッセンスが綺麗にまとまっているので、広く皆様にお薦めできる本。少なくとも読後は、太平洋という大海原に対する認識がちょっとだけ変わると思う。
星の航海師―ナイノア・トンプソンの肖像/星川 淳