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▼2009年08月13日

新訳・蘭学事始/杉田玄白:著・長尾 剛・新訳

 以前岩波文庫だったと思うが、蘭学事始は読んだことがある。これは、杉田玄白が、当時オランダ語の辞書も何もない状態から翻訳を開始した「解体新書(ターヘル・アナトミア)」にまつわる翻訳現場や出版にまつわる思い出話をまとめた本。実際、この本は当時出版された訳ではなく、私家本として若干流通したに過ぎず、またその私家本を元に少量の肉筆本が伝わっていただけだという。
 そしてこの本を、明治時代初期になって、偶然、福沢諭吉が神田の古本屋で発見し、歓喜しながらそれを印刷して出版するのだが、それまでは既に江戸時代末期の時点で、読みたくても読めない「幻の本」扱いになっていたらしい。今の私たちは、福沢諭吉が偶然古本屋でこの本を発見してくれたおかげで、当時の面影を知ることが出来るのである。

 で、今回の「新訳」版だが、これは私たちが普段目にする日本語に近い状態で全体を書き直してある本。なので非常に読みやすく、内容も理解しやすい。岩波文庫版も現代訳には変わりないのだが、やはり使われている日本語が厳つくて、理解しやすいとは言えない。研究目的でもなければ、本書を読んだ方が内容は理解しやすいと思う。

 本文を読んだ後、訳者の解説で「玄白の世渡り上手さ」を指摘している部分があるが。そこにでている「江戸時代当時の人達による自然な徳川幕府への信頼感」という下りはとても共感できるモノであった。今の歴史書の中には、江戸時代当時の庶民意識をどうしても「被支配者階級」であること前提に書かれている書物も多いが、おそらく江戸時代におけるお上への意識は、私たちがいまの自民党政権に感じている思いと、そう大差はないと思う。

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コメント

この本,以前に読んだような記憶がありますなあ。
ちなみに私は文系でしたが・・・医学・生理学系の本が大好きで・・・

その他・・・江戸期ですと・・・

☆貝原益軒の「養生訓」...(接して濡らさずが中年以降の健康の秘訣を解いてますね)

なんかは・・・意外に生き方指南書的に読めました。

>養生訓

 書名は聞いたことありますが、読んだことはなかったですね。
 今度書店で手に取ってみることにします。

 こちらも、判りやすい現代訳があるといいのですが(笑)。

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