ホリエモンのブログに書いてあったこと。他でもこういう論調は度々目にするけど、こういう風に考えている人って多いのかなと思う。
「福岡注目選挙区レポート/電気自動車のこと」:六本木で働いていた元社長のアメブロ
内燃機関がモーターに置き換われば、エンジン設計のノウハウがないメーカーが自動車業界に参入しやすくなる…ってのは、エンジン部分のみを考えればそうだけど、では、世の中に内燃機関を設計・制作しているメーカーは沢山あるのに、何故現状でも、既存の自動車メーカー以外が積極的に参入してこないのか…って話になるのでは?
もちろん、自動車用途に限れば、非自動車メーカーが自動車用エンジンを設計するノウハウがないという話だけど、それはモーターにも言える。今現在、自動車用モーターを充分な数とノウハウを持って提供できるメーカーは無いと思うけど、そういう意味では、既存の自動車メーカーとそれ以外では、スタート位置が内燃機関よりは近いと思うので、チャンスと言えばチャンスだけどね。
でも、仮にモーターが作成できたとしても、ボディはどうするんだろう、操舵装置は?制動装置は?サスペンションは?安全基準は?品質管理は、防塵コートについてのノウハウは?などと、自動車メーカーが持っているノウハウは、もはやエンジン単体の問題ではないんだけどね。
判りやすく言うと、あなたがレンタカーで借りた安物のクルマに乗って、高速道路を時速100kmで安全に走ることが出来るってのは、エンジン以外の部分における、そりゃもうすごい技術のカタマリな訳なんだけど、そういうノウハウは、いま電気モーターの技術を持っているメーカーが、1から作っていけるのだろうか。そして、その技術は既存の自動車メーカーに対してアドバンテージがあるモノになるのか。
もちろん、エンジンが変わることによって、異業種からの参入は、今現在よりはハードルが低くなるとは思いますが、にしても、まだ異業種のメーカーが自動車生産に乗り出すハードルは、かなり高い。
もちろん、ホリエモンもそのことを判って書いているように思えるけど、多分この文章を読んで、誤解する人が多いのではないかと…。部品を買って自作できる自動車ってのも、モノとして作ることが出来ても、現状の車検制度や安全基準などを大幅に改悪しない限り無理でしょう。
自作PCなら、失敗してもせいぜいシステムエラーや、CPUが燃える程度で済みますが、自作自動車が100kmで走って事故を起こした時の社会的責任は誰が負うのでしょうか。
もちろん制作者にいちばんの責任は発生するでしょうけど、自動車事故の場合、その社会的影響力や金銭面の大きさから、個人のみに物理的、経済的責任能力を負わせる無茶なシステムが、社会的コンセンサスを得られるとは到底思えません。
これは個人的な見解だけど、既に「エンジン」という内燃機関は、数十年前から革新的進歩を遂げている訳ではなく、現在の自動車メーカーが自動車メーカーであり続けられる主要技術は、ボディ設計やサスペンション設計などの部分にシフトしていると考える。そういう意味で「自動車陽電気モーターを我社で供給しますよ」という、非自動車製造メーカーが現れれば、案外既存の自動車メーカーは、エンジンを外注で済ますことに抵抗はないのでは?他にも外注部品って既に沢山あるし。