本音で語る沖縄史/仲村清司
沖縄の歴史と聞いて思い浮かべるのはどんなことであろうか。
海の中にある平和でのどかな王国。江戸時代の薩摩による圧政、そして戦中の沖縄戦における悲惨な結末…どれも間違いではないが、どうも「沖縄の歴史」というフレーズで語られる言葉には、何らかのイデオロギーやユートピア願望など、本質以外の部分ががまとわりついているイメージが多い気がする。
ということで、そのようなイメージで語られていた沖縄の歴史について、もう少しニュートラルな史観で語ろうというのが本書の趣旨。実際、私も日本史に付随する沖縄の歴史についてはある程度知っていても、沖縄の歴史そのものはよく知らない。面白そうなので読んでみることにした。
読み進めていくと、のどかな海上の王国、貿易立国で人々が豊かに暮らしていた牧歌的なイメージとは少し違い、ま、どこの国も歴史なんてこんなきな臭い面があるよね〜という感じではあった。
特に琉球王朝への八重山支配について、また悪名高き人頭税については、江戸時代の薩摩在番ばかりが悪者にされる理由もねーよなー、とも思ってしまう。
気高き海上の貿易立国である琉球史もまた真実ではあるが、常に日本と明(清)の顔色をうかがいながら危うい綱渡りで国家を運営してきたのもまた事実。また、
という著者の文章も、もの悲しいながらも真実である。これは日本国も同じか…。
位置付けは入門書であるとは思うが、沖縄史についての予備知識がないと、意外と読んでいて辛いかもしれない。私もちょっとわからない部分、わかりにくい部分が多々あった。それでも、ベーシックな知識としての沖縄史の概略を学習できたことは、本書を読んでみて良かったと思っている。