備えよ!!ロジスティクス・サポートとは何か!/矢澤 元
カンプグルッペ・ゲンブンって、小林源文が立ち上げた出版社なのかな。とにかく、原文タッチの表紙イラストが目を引く「備えよ」という本。ロジスティックを解説している本だそうです。
ロジスティックス…という言葉は、確定した翻訳語はないと思いますが、日本語では主に「後方支援活動」みたいな意味でとられることが多いようです。こちらの意味が間違いだということは、軍事評論家の江畑謙介氏も指摘しておられ、また以前には自分もこのブログで紹介しています。
私としては、いきなり本書を読み始めるより、江畑謙介氏の「軍事とロジスティクス」という本を読んでからだと理解が早いと思います。本書では、当然ながら戦時でのロジスティックスにも触れていますが、普段の商業活動で大切になる可動率と稼働率の違いと、それを上げるための工夫についてもフィクションを交えながら解説しており、軍事的なことに興味がない人でも充分楽しめるというか、為になる内容です。となると、ちょっとネタモノっぽい表紙デザインが少しもったいない気がしますね。
あと面白いのが、かつての旧日本軍、陸軍の暴走ばかりが叩かれがちな中、著者の矢澤氏は一貫して旧日本陸軍の合理性を評価しており、特にガタルカナル戦においての海軍のデタラメぶりを指摘しています。ま、どっちが悪いという事も無いとは思いますが、主に点と線で展開し、ある程度の補給物資を自艦の中に携行する海軍に比べ、補給物資は基本携行できず、全て補給部隊に頼らざるを得ない陸軍兵士の方が、その辺はリアリストだったのかもしれません。
この辺の精神主義、旧日本軍は解体されましたが、社畜とその仲間達へ形を変え、今の日本にもしっかり受け継がれていますね。どうにかならないもんでしょうか。