督促OL修行日記/榎本まみ
帯にある「今度電話してきたら、ぶっ殺す!!」というキャッチが素敵です。
ということで、巷ではそこそこ話題になっている本。レジの近くで平積みになっているので何となく買ってみました。
内容は…まぁ、タイトルと帯から想像する通りなんですが、それなりに面白いです。不幸な職場の中でも諦めず、前向きに頑張る姿が眩しい…
って、ストレートに読むとついそんな感想になってしまうんですが、なんか怪しいんですよね、この本の内容。
まず、前半で語られる過酷すぎる勤務体系ですが、朝の7時出勤で終電まで(半年後事務所にPCが導入されてから21時位に帰れるようになったらしいですが)の勤務。どうやら定時が9時から18時までのようですから、単純に考えて1日の時間外勤務が朝2時間+夜5時間で7時間…。これが20日続いただけで、時間外勤務は140時間。更に休みも定期的にもらえていないみたいなので、月間で200時間程度時間外勤務してる計算になるでしょうか…。
たとえみなし残業代が含まれているとは言え、本書からイメージする、それなりの規模の会社では、到底許される勤務体系ではありません。ましてや、この手の「人材使い捨て」ビジネスでは、退職後に訴えられる可能性も大きい上に、労働局にも目が付けられやすく、最近では就業規則も厳しくなっています。特にテレアポ系の会社では、激しい社員の入れ替わりを無くすため、正社員に対してはそれなりの福利厚生を提供している所が殆どです。
ということで、本書に書かれている実態がその通りだと考えれば、実は著者が勤めている会社は、サラ金の取り立て業務をメインにしているような、かなり小規模な債権回収会社ではないかと…そうでないとつじつまが合いません。
あと、まともな信販系会社の債権回収部門(テレアポ)で、そんなに毎回毎回侮蔑の言葉を浴びせられるもんかな〜と思います。この辺フィクション入っているんでしょうけど、ちょっと実態からかけ離れすぎというか…やはり本当はサラ金の取り立て業なんでしょうか。
という、少し怪しい部分を除けば、それなりに笑いあり涙あり、ちょっとした感動気分も味わえたりと、なかなかおトクな本でした。ただ、本書で人との交渉術が学べるかというとそれはない(笑)。
主人公が年端のいかないOLさんということで、半年後くらいにしれっとドラマ化とかしそうな、ややステマ臭も感じる所ではありますが、ステマだろうと何だろうと面白ければそれでいいと思いますので、そういう意味では読んで面白い本でした。あ、作者のブログはこちらになります。