エキストラバージンの嘘と真実/トム・ミューラー
皆さん、オリーブオイル食べてますか?私も毎日もこみち並みにオリーブオイルを口にしています。
しかし、そのオリーブオイルが偽物だとしたら…わかりませんよね、オリーブオイルが本物か偽物かと言われても。
本書は、そのオリーブオイルの疑惑を明らかにしてくれる本。なんでも、NYのスーパーマーケットで売られていた“エクストラバージン”のオイルは、その殆どが“エクストラバージン”の品質とはほど遠いレベルのオイルで、なおかつ、中には粗悪なオリーブオイルに混ぜ物をして売られていた製品もあるとか。わかりませんよね、そんな事言われても。
例えば、日本人であれば“醤油”を偽造したのであれば、案外すぐにバレるんじゃないかと思うんですよ。しかし、オリーブオイルの香りなんてね。普段直接オリーブオイルを飲む習慣のある日本人は殆どいませんので、……わかりませんよね、香りとか言われても。
でも、本場イタリアでもそうだったんだなぁ…と。もっとも日本人だって、ごま油とかサラダ油とか偽造されたら、多分わからないと思いますけど。
思えば、ここ10年位、エキストラバージンオイルって随分安くなったよなぁ〜とは思っていたんですよ。
私が料理にオリーブオイル使い始めた頃は、さすがにエキストラバージンオイルはちょっと高くて、特別なオイルだという認識がありました。でも、今スパーマーケットに行くと、エキストラバージンオイルと普通のオリーブオイルって、そんなに値段変わらないんですよね。ラベルのブランドによっては、価格が逆転している製品すらある。
あと、香りが以前よりしなくなりました。昔のオリーブオイルって、独特な香りがまた楽しいものだったのですが、一部の苦手な人達がいたようで…最近では香りが殆どしなくなりました。両方ともおかしいとは薄々思っていたのですが、ま、日本は円高だし…と、あまり深くは考えていませんでした。
しかし、この本を読むと、500mlで1,000円以下で売られているエキストラバージンオイルは、もう買いたくないな…と思いました。そりゃそうだよね、冷静に考えてみればエキストラバージンって、いわゆる“一番搾り”な訳で、世界中のスーパーマーケットの棚を埋める程、流通するはずがありません。夏になると全国のスーパーでも売られるようになる“国産ウナギ”みたいなモノですかね。なので、日常で料理に使うオリーブオイルは、中途半端な価格の輸入品より、国産の普通のグレードのオイルを購入した方が絶対安全な気がします。
もっとも、そんな中でも、地に落ちたオリーブオイル界を健全に復活させようという努力をしている人達はいるみたいです。そう考えると気分も少し明るくなります。本書で紹介されていたコチラのオリーブオイルとか、買ってみたくなりますね。本書の出版で、人気出て品切れとかありそうな話ではありますが。
内容は、むつかしいモノではなく、短い章立てのルポをまとめた体裁となっているため、読みやすいです。日常でオリーブオイルを使っている方、またMOCO'Sキッチンのファンの方は、一度目を通しておいた方がいいと思います。