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▼2013年01月08日

CS2が実質無償公開でサポート完全終了

 Adobeが公開した、ライセンス認証不要のCS2アプリ群。

 adobe:Adobe® Creative Suite® 2 製品およびAdobe® Acrobat® 7のアクティベーションサーバーに関するお知らせ

 タダで使っていいのか、ライセンス規約はどうなんだ…って議論はさておき(つか、ダウンロードページ上部に書いてあることが全てで、意図的に曲解しない限り結論は出ているだろう)、私が感じたのは「商売の辞め方は難しいなぁ」…と。

 Adobeにしてみれば、これらのソフトは7年も前のソフトウェアであり、そろそろサポートだって打ち切りたいトコロだと思う。しかし、サポートは打ち切ることが可能だとしても、ひとつやっかいな問題に、ライセンスアクティベーションサーバーの維持問題がある。

 Adobeも含め、最近のソフトは、オンラインを通じて、インストール時にライセンスのアクティベーションを行わないと、起動することができない製品が多い。また、更にAdobe製品については、1ヶ月に1度程度、定期的にアクティベーションサーバーにアクセスして、ライセンス確認を行わないと、ソフトの起動すらできなくなる。
 つまり、アクティベーションのシステムをクローズしてしまうと、まだこれらのソフトを購入して使っている人は、定期的なライセンス確認期間である、おおよそ1ヶ月程度を過ぎると、ソフトが使えなくなってしまう。

 この面倒くさいシステム、確かに不正コピー防止には多いに役立ったと思う。なんたって、それ以前のバージョンについては、中小のデザイン事務所など、病的なまでの遵法意識を持たない限り、フロア…もしくは社で1本のアプリを購入して、社員で使い回していたから。
 もちろん、ライセンス違反も甚だしいが、残念ながらこれが中小企業の著作権意識であったのだろう。ま、のどかな時代だったとも言えなくもない。

 しかし、ソフトウェアーベンダー側からすれば、もう7年も前に販売終了した製品のために、この面倒くさいアクティベーションシステムを、いつまでも維持しておく訳にもいかない。当然これらのシステムやサーバーの運用には、コストもかかる。新たな利益を生む訳ではないこれらののシステムは、今すぐ止めてしまいたいだろう。
 しかし、現在古いソフトを使っているお客さんを無視する訳にもいかない。どうすれば…ということで、私がざっくり考えついた方法は以下の3つ。

1:強制的にアップデートを促す
 我らがApple様の基本姿勢はこれ。特にiOSマシンについては、古いOSのSHSH認証が発行されないため(一説によるとiOS6の時はリリース数時間後でiOS5用の認証発行が停止されたらしい)、ユーザーは実質最新のソフトウェアを使い続けるしかない。一見不条理だけど、個人的にはそれなりに合理的かとも思う。

2:既存顧客に対してアップデータなどを配布してライセンス不要にする
 つまり、正規ユーザーに対して、インストール時は製品のシリアルのみ使用し、その後のアクティベーションと、定期的に行われる認証確認は行わないようにするアップデータを配布し、パッチを当ててもらう。しかし…全てのユーザーにこのアップデータを配布するのは不可能だし、アクティベーションサーバーを止めてしまった後も、ある程度のサポートは必要になるのは変わらない(定期的に「インスコできねーぞクソが!」という問い合わせというかクレームは続くだろう)。また、パッチを当てたソフトはライセンス認証フリーになるため、すぐにシリアルと共に違法コピーされまくると思う。

3:もうめんどくさいので製品をタダで配る
 いくら高価なソフトウェアを買ったとはいえ、もう7年前の製品だ。購入厨が無料化で頭に来るのはわかるが、この選択なら実質誰も損はしない。また「無償化」してしまえば、大手で振って「サポートはありませんから」と言えるので、即日サポート要員を解散し、アクティベーションサーバーを停止できる。コピーされようがなんだろうが、メーカーに取っちゃ後は野となれ山となれ。でも「ライセンス違反はダメよ!」と、軽く釘だけは刺しておく。乱暴だけど、一番合理的かと。

 Adobeについては、上記「」の方法をとった。
 「」の方法だと、イロモノのiOSと違い、古いマシンでなおかつ業務でCS2を使っている人は本当に困り果てるだろうし、「」の方法では有料ソフトのメンツは失われないかも知れないが、だらだらとCS2のサポートコストがかかり続けるし、その後の違法コピーについても、いずれにせよ管理できない。
 他、もっと考えれば色々とウマいやり方はあるかもしれないが、即日でCS2のサポートコストをゼロにする方法は、他にないと思う。

 この問題、Adobeだけではなく、今後様々なソフトウェアベンダーが直面する問題なのではないか。7年も経つと会社すら忘れてしまうような弱小ソフトならともかく、それなりの規模とユーザー数でソフトウェアを販売していたメーカーは、自社の製品をいつ「捨てる」かの選択を迫られることになる。
 特に、アクティベーション系の認証を行っていたソフトウェアは、アクティベーションサーバーを止める前に、その代替手段を用意しなければならない(ちなみにAdobeはCS2のアクティベーションサーバーを2012年12月13日に止めていた模様、丁度1ヶ月程度経って本日の発表か)

 ソフトウェアだけでなく、パソコンの基本ソフト(笑)。も同様だ。例えば皆さんが愛して病まないWindows XPだが、こちらもアクティベーションが必要になっている。Microsoftがこの先いつまでXP用のアクティベーションサポートを行うつもりなのか知らないが、2014年4月8日にセキュリティ更新などのサポートを打ち切るとアナウンスしている以上、アクティベーションサーバーもそんなに長い間維持しているとは思えない。しかし、企業ユースや第三世界でのWindowsXPが、その日を境に綺麗さっぱりなくなるとも思えないので、製品に対する改良サポートは終了させても、既に購入した製品を使う為のアクティベーションまでを完全終了させることはできないであろう。
 では、今も行っている電話によるアクティベーションを続けるのか?というと、それもまたコストの無駄だ。

 この先は私の完全な憶測でしかないが、MicrosoftはXPサポート打ち切りに近い時期で、アクティベーションを不要にするパッチを配布するではないか。何故なら、もう企業にとって利益を生み出さないソフトウェアで、なおかつ「使用を停止しろ」とも言えない製品の場合、その選択がもっとも合理的な気がするからだ。

 実際、旧世代のソフトウェアを思い切って無償化してしまうやり方は、もちろんAdobeが初めてではない。ただ、高価であり、メジャーなソフトウェアが、このような形でサポートの完全終了を迎えることについては、インパクトがあった事例だと思う。
 そして、今後はこのような形での「サポート完全終了」が増えてゆくんだろうな。今になって思うと、Adobeが古いCSからのアップデートサービスを取りやめたのは、本日の伏線だったのかも知れない。

 余談だけど、CS2のAcrobatProで生成されたPDFは、セキュリティーに穴があるので、業務用途では慎重にね。

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コメント

アドビのコピーされまくりは、本当にヒドかった。ショップがインストール済みで売ってたし。
まあ今となっては、だからこそ完全にこの市場を支配した。とも言えるわけですが。
今のMacだとCS2はあんまり実用的とはいえないようなので、Windowsユーザーにバラまいて更なるシェアアップ目指してる…というのは考え過ぎかw。

あの頃、Adobeが実質コピーできまくった中、コピーできないクォークエクスプレスが知らない間に落ち目になりましたね。懐かしい話。

WINDOWS系の人は歓喜だろうなぁ。CS2でもまだ全然仕事にになるし。でも、旧バージョンでの出力依頼が増えて、サービスビューロは混乱するかも知れないけどw

>サービスビューロ

CS以前のPS6とかが減って、かえって良いことになるんじゃないかとw。

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