SONY ZX-1
今までずっと、ネットワークウォークマンをDisってきた私ですが、小室哲哉も認めた(?)コレは認めざるを得ません。試聴機で聴いて、確かにすごい音だと思いました。
つことで、市場では品切れが続く中、辛抱強く予約待ちをしていて、ようやくお正月に入手。公式では「バーンインに100時間」と書かれていまして、まだ100時間は聴いていないような気がしますが、とりあえず簡単にご紹介を。
このZX-1、なにやらオリンパスのデジカメと間違いそうな形式名ですが、SONYが現状で高音質化のDAPにできる事の全てを突っ込んだそうです。
そのため、定価は何と74,800円。公式サイト見てもらえばわかるとおもいますが、DAP(デジタルオーディオプレーヤー、以下DAP)にはあるまじき高品質大型コンデンサを搭載したせいで、おしりがでっぷりとしています。また、ミニステレオ端子の真鍮もすごいですね。このパーツだけでいくらかかってるんだろ…と、見た目からしてヤバい感じのネットワークウォークマンです。
かつても、ソニーのネットワークウォークマンというと、それなりに高音質を売り文句にしてきた機種があったのですが、私が店頭で試聴する限りはみんなダメというか、ハッキリいってiPhoneの方が音が良い。特に「ソニートーン」とも言える、あの不自然な高域と中低域のキャラクタは許しがたいモノがあります。
しかし、このZX-1はさすがに格が違いましたね。キャラクタこそソニーそのものの音ではあるのですが、そういった「好き嫌い」の評価を覆すほどの緻密な音楽表現にはすっかり参りました。特にハイレゾ音源を再生したときのあの自然で伸び伸びとした音像表現は、ちょっと他では味わえない快感です。
今までウォークマンの音をクソだのタコだのお前の母ちゃんデベソwだの散々Disってきた私ですが、店頭で数回試聴した結果購入を決意。ただ、商品はバカ売れで在庫ありませんでしたので、予約扱いでしたけどね。で、ようやくお正月になって手に入ったという訳。
●さっそく音楽を転送するのん!
私はマカーですので、ソニーのMedia Goというソフトウェアは使えません…が、今のソニーは随分マカーにも寛容になったようで、Content Transferといわれるファイル転送ソフトが用意されています。
起動すると,デスクトップ上にウォークマンのイラスト付きのウインドウが出てきて、そこに転送したいファイルをドロップすると、それぞれが必要なフォルダに振り分けられて転送されます。始めは「面倒かな?」と思ったのですが、iTunes上からプレイリストをそのままドラッグしても、必要な曲とプレイリストが転送されますので、なかなか便利。
ちなみに、doubleTwistという、MacのiTunesとウォークマンを同期するソフトもありますが、ALAC形式のファイルの同期に失敗したり、訳わからず落ちたりと、全く安定しませんので、私は使っていません。
ZX-1の容量は128GB、実容量で110GB位だったかな?普段iPhone 64GBで同期しているプレイリストを全て突っ込んでもまだ余裕があります。そしてファイル転送が速いです。初回で60GB位の楽曲転送を行ったのですが、大体1時間程度?iPhoneだと到底こんな時間では終わりません。
ZX-1はAndroid4.1端末なので、お好きな音楽アプリが使えるのですが、Androidの音声出力を通さずに音楽再生出来るアプリは、今のところ標準アプリだけだそうです。ま、コレで特に困る事も無いですけど。
ただ、アプリの使い勝手については、iOSの標準音楽アプリに比べかなり劣ると思いますね。特に単曲の再生から、それに属するアルバムへの遷移がないのが気になります。あと、画面のセンスはね…ま、これは言っても仕方ないので止めとくか。
●音楽聴くのん!
つことでいよいよ音楽再生。
正直言って、購入後開封したばかりでの音楽再生はかなりガッカリしました。いわゆるウォークマン的…というか、あの嘘っぽい高音質感ね。コレは酷いという感想ではありましたが、ま、バーンインで化けると判っているので我慢します。ユーザーの中には、速くバーンインを終わらせるために、夜間や仕事に行っている最中など、大音量でガンガンに音楽かけっぱなしにしているという人もいるようですが、これも楽しみっちゃ楽しみだと思いますので,がまんがまん。
大体、2〜3日後くらいからですかね。音がなめらかというか、重心が座ってきてガッチリしてきたのは。キャラクタ的にはソニートーンではありますが、なかなかいい感じです。これよこれ。試聴機で感動した音は。
今では2週間位経っていますので、更に音が変わっている気がしますが、2〜3日後に少し大きく音が変わった以降は、今のところ音の変化は小さいです。この先更に良くなるのかな?
手持ちのイヤホンで色々試してみたのですが、今のところ非常に相性がいいと思うのは、開発者も隠れオススメ(?)している、MDR-EX800STでしょうか。こちらのイヤホン、従来はどうも解像度の主張が大きくて少しカリカリしている感じがしていたのですが、ZX-1で鳴らすとかなりいい感じ。
K3003は、そりゃすごいです。ただ、こちらは相性というか、何で聴いてもすごいイヤホンなので、EX800STで感じる「相性がいい」というのとはまた違うかも。
その他、ヘッドホンだとATH-ESW10JPNが素晴らしかったデース。
とまぁ、ZX-1はどんなイヤホンやヘッドホンでも高音質で鳴らせる印象ですが、それなりに相性もあるようですね。
音質設定では、ウォークマンお馴染みの「ClearAudio+」や「DSEE EX」があります。設定のメニュー階層的にソニーのオススメは、ClearAudio+をオンにすることなのかもしれませんが、正直コレはないな…という感じ。
DSEE EXは、ハイレゾでない音源の補完再生技術だそうですが、こちらはアリ。ただバッテリ結構食います。公式でどこかに発表がありましたが、コレをオンにすると、30%位余計にバッテリを消費するそうです。
●外で使ってみるのん!
つことで、ウォークマンなので当然街に持ち出して使ってみます。いや〜モバイル環境でこんなにいい音聴けるなんて幸せだわ〜と油断してはいけません。これ…バッテリ食い過ぎだろオイ!
リチウムイオン電池は、新品状態から活性化するまでにしばらく時間がかかりますので、初期に何度か充電サイクルを繰り返すと少しは駆動時間伸びますが、にしても、音楽アプリで音楽聴くだけで、自宅から会社まで行くのにバッテリ消費50%台には笑いました。
実際、通勤中に電車に乗って音楽聴いて歩いてる時間は、正味40分くらいだと思いますので、このペースだと1時間ちょっとしか保たない…。
その後、1週間位してからバッテリ駆動時間については少しはマシになった気がしますが、カタログスペックにある充電池持続時間(?)である32時間保つことはあり得ません。DSEE HXオンの状態で音楽再生のみで、せいぜい3〜4時間じゃないですかね。ま、これだけ聴ければ通勤途中に困ることはないのでいいんですけど、遠くにお出かけ…みたいな場合は、別途モバイルバッテリ必須だと思います。
●アンドロイド端末としてはどうなん?
近頃のハイエンドウォークマンの例に漏れず、ZX-1もAndroid端末です。バージョンは4.1。ただ、載っているCPUなどは、二世代前のスペックなので、あまりAndroid的には期待しない方がいいかもしれません…が、ingress入れてみてコレはすごいと思いましたよ。今まで世のアンドロイド端末はクソだのタコだのお前の母ちゃんデベソだのww散々言ってきましたが、クソでタコだったのは、MotorolaとGALAXYだったんですね。反省します。
とにかくGPSの掴みが速いので、最近少し倦怠気味になってきた、イングレスのレジスタンス解放運動も捗りそうです。ただ、イングレス起動してるとバッテリマッハで消費しますけど(笑)。
ちなみに、ZX-1で聴くイングレスの効果音はすごいです。バースターぶっ放したときとか、ちゃんとステレオでレゾの破壊音があちこちから聞こえてくるのね。また、被害効果によって音の出方も違ったりしているようで、比較的高い音での破壊音や、ズシンと響く破壊音など、効果によって何種類かあるようです。カッコいい!
当初はアカウント設定しないまっさらなAndroid端末として使おうかと思っていたのですが、それなりに高価な端末だし、Googleアカウント設定しておけば、Googleマップ上で端末の位置確認やロックが出来ますし、そもそもイングレスをインスコしたので、やはりアカウント設定します。
それでも、メールやツイッタなどの基本アプリしかインスコしていませんけど、音楽再生中にこれらのアプリが通知情報吐き出すと、音楽再生が途切れたりするのは、ま…愛嬌ですかね。こういうのiOSではあり得ないけどね。
●うちはなぁ…ライバル、ライバルのDAPも熱いと思いますが!
考えてみれば、イヤホンで10万以上する価格帯の製品が売れている訳ですから、74,800円のこのDAPが売れない訳はない…訳で、ソニーのような大手は参入していませんが、以前から高価格帯のDAPはそれなりにありました。
2chでさっそく叩き合いになっているのが、Astell&KernのAK120。
ネットでの悪口合戦を読むと、AK120の方がより自然でフラットな音らしいですが、以前こちらの機種の前身であるAK100を聴いたときは「あ、音いいね」ってだけの感想だったので、ああいう味付けの延長線にある音なら、個人的には興味ないかな。
もちろん新機種は音質もアップしているんでしょうけど、意外と初回機のキャラクターって、世代変わっても変わらないんだよね。そういう意味ではこのZX-1も、ソニーらしい音の延長上にあるし。
もう一つが、iBassoのHDP-R10。
これは申し訳ないけど、買う寸前までいった(笑)。ただ、私が買おうか検討している段階で、丁度本体のファームアップデートが行われて、アンドロイド端末ながらアンドロイドマーケット機能が止められたんですよね。ま、音質のことを考えれば、仕方がない事なのかもしれませんけど(ZX-1ですらAndroidの割り込み処理で再生途切れるし)、アンドロイド端末なのにアプリインスコ出来ないとはなぁ…と考えてるウチに物欲消えました(笑)。
ただ、こちらの再生音は素晴らしかった。ずしりと腰が据わった広大な音像表現は、よりオーディオ的な快感をもったDAPだと思っています。そろそろ新機種が出るのか、それともこのまま終わるのか。個人的にはもっと進化してほしい機種ですね。
その他、ライバルとは違うかもしれませんが、主にiOS機器からデジタル出力を取り出して増幅する機能を持った、ポータブルアンプも数多く存在します。
全てを聴いている訳ではないので余り偉そうな事は言えませんけど、それらのペアなら音質上ZX-1を凌駕する組み合わせは多数あるのでしょうが、ZX-1は単体で済む事に意義があるのではないかと。
私もiQube持ってまして、買った当初はiPodとの組み合わせは最強!だと思っていましたが、だんだん面倒くさくなって持ち出さなくなりました。あれに準ずるクオリティをZX-1は単機で実現してると思えば、すごいことだと思います。
●で、結論はなんなの〜ん?
つことで、つらつらと書いてきましたけど、結論としてZX-1の話題は、74,800円というふざけた価格ばかりが先行するようですが、考えてみれば、昔のモバイル嗜好なオーオタは、当時としてはクソ高価だったWM-D6とかWM-DD9とかD-E01とか必死で手に入れてモバイル高音質再生を楽しんでいた訳で(全部持ってますがw)、それらの機種が当時で軒並み4〜6万円したことを考えると、このアベノミクス時代に74,800円とか屁みたいなもんすよ(嘘)。
この金額でこれだけの音が外で楽しめるんですから、本当に時代は進歩してるなぁ…と思います。久しぶりに「ソニーさん、ありがとう!」といいたくなる機種でした。
写真はZX-1本体と、下は純正付属ケースが使い物にならないので、オシャレな雑貨屋さんで買った布製のケース。ゴルフしてる人や自転車に乗っている人の柄がカワイイです。