見聞巷談/宮本常一
俺達のみやもっちゃんが書いた、主に短文をまとめた本。
編者が田村善次郎氏なので、おそらく最近順次刊行されている、宮本常一公演選集からのスピンオフ…っていうとなんだか今風すぎるけど、公演選集をまとめる過程で色々出てきたのではないでしょうか。これらの文章、宮本常一著作集には収録されているのかな。
長くてせいぜい2P前後、短い文章であれば本当に2〜3行程度の量なので、結構読みやすいかと考えがちですが、単文集ってのは、その都度頭の切換が要求されますので、結構読むのに疲れるのです。にしても、読み始めるとなかなか止まらないモノで、私は本書をおおよそ二回に分割して読み切りました。
短文で、なおかつ今も存在するような一般雑誌、あるいはメディア向けに書かれた原稿も多く、普段の宮本常一ではあまり書かれないような世相の色が付いた文章も多いです。なる程と思ったり、イヤそれは違う、と思ったり、色々でした。
あと、読み終えて思ったのは「この時代の老人達ってバイタリティーパナいな」ということ。これは別に宮本常一だけではありません。前世紀のうちに寿命を迎えてしまった人達の文章を読むと、既に還暦を過ぎているのに「人を集めて○○をやろうと思う」とか「こうやってこんな風に考えたのでやってみようと思う」という結びがすごく多い。
また、それらの事柄の多くが、割と身近で実現可能な事というのも、またすごいと思います。というか、近頃のご老人が書くエッセイって、何かをやってみようと思う…という文章がとても少ない気がしていて、私はこう生きてきた…とか、私の経験からこれはこうだ…とか、あるいは個人でなにか出来る訳でもない政治とか国際情勢について語ったりなど…が多いような。
と…宮本常一に関係ないこと語りましたけど、やはり老人になっても、自分の身の回りで何かしよう!と思い続けることは大切だなと思いました。