アイアンボトムサウンド 3
アイアンボトムサウンドという言葉はご存じでしょうか?最近だと「艦これ」の提督勢はイベントの名称として耳にしたと思いますが、本来の意味は「ソロモン諸島のサボ島、フロリダ諸島の南方、ガダルカナル島の北方に存在する海域」とのことで、太平洋戦争時、この一帯で何度も海戦が行われ、海底を鉄の残骸が埋め尽くしている(もちろん比喩表現)とのことから名付けられた言葉です。
で、その「アイアンボトムサウンド」ですが、私が中学生か高校生の頃、同タイトルのシミュレーションゲームが発売されていました。今回紹介するのはその復刻第3版。
復刻版は既に発売されて2年位?経っていますが、版元で品切れ流通在庫のみとのアナウンスがあったので、ヤバい買っとかなきゃと思って購入しました。実際プレイする機会はしばらくなさそうですけどね。
このゲームのオリジナルは、アメリカのQuarterdeck Gamesというメーカーが発売したもの。それを日本のホビージャパン(以下HJ)が翻訳・改良して日本語のゲームとして発売しました。このHJ版はパッケージとして出来が良く、アメリカに逆輸入されたそうです。
その後、難解だったシステムを改良しプレイアビリティーを向上させた第2版がアメリカで発売されます。ただ、この改良はプレイヤーの支持をあまり受けなかったようで、今回発売された第3版は、基本的に第1版を底本として改良されました。
ゲームシステムの改良についてはここで語っても何が何やらだと思うので語りませんが、例えばユニットについて第3版で改良されたポイントは長門級の速力だそうで、こちらは以前の版だと遅すぎたそうです。逆に装甲についてはやや下方修正されています。これは当時のアメリカと日本の鋼板の質を考慮したとのこと。その他はまだルールブックを読み込んでいないのでわかりません。というか、オリジナル版が今手元にある訳じゃないので、比較はできません。
このゲームですが、昔は何度もやりましたね。
戦術級艦隊戦の海戦のゲームにしては珍しく、移動は事前プロット制で、両軍とも船の移動を事前に全て決めてから、同時進行で艦を移動させます。なので思った通りのコースで攻撃ができなかったりしますし、敵艦との衝突などもそれなりにありました。
プレイしてみると艦隊の綺麗な単縦陣が何本も描かれるように進行していくので、実際の海戦の雰囲気が実に良く出ていました。どんな感じのゲームなのかはねとらぼに記事が出ています。
高校生の頃に知り合ったゲーマーの人が、このアイアンボトムサウンドを愛しすぎるあまり、ユニットの数値やダメージポイント、そして戦闘結果表を全て丸暗記していて、1人でサイコロを2つ振りながら脳内プレイをしていたことを思い出しました。
そんな感じで、ハマる人にはめちゃくちゃハマるゲームです。というか、このゲームで艦隊の陣形というのが如何に大事か学んだ人も多いのではないかと。
定価は8,000円(税別)とややお高いですが、昔のHJ版だって定価5,800円ですからね。それを思えば実質値下がりしてるとさえ感じる価格。
こういった史実を題材にしたシミュレーションゲームのいいところは、ルールブックを読んでユニットの数値を読み解くだけで、同素材の戦史本数冊分以上の情報を得ることが出来ること。
ルールブックで決められていることや、禁止されていることには全て意味があり、特殊ルール、選択ルールについは、史実で起きた不確定要素が再現されています。それぞれの艦船の性能についても、ゲームデザイナーが資料を漁り、更にゲームの展開とのバランスを考え決められた数値だったりしますので、盲信はできないにせよ、兵器の基礎評価資料としては一級品(ただ多くのアメリカ製ゲーム同様、アメリカ軍ユニットはやや有利な評価です)。
もちろん、ゲームなのでプレイする以上の楽しみはないのですが、例えプレイできなくても、旧日本海軍の水雷戦を知る資料としても優れています。
それと、往年のシミュレーションゲーマーにとっては泣ける、ロジャーマクゴワン氏のパッケージイラストもカッコよすぎます。彼の画集とか発売されてないのかな?
↑各艦船のデータシート、艦これではありません。