2013年、日本は
戦車道に席巻されましたが、今年は海軍があつい!とのことで昨今の自衛隊ブームと
艦これブームで賑わいを見せているとの噂の横須賀市に出かけてきました。
いえいえ、今回は単に横須賀まで出かけてきた訳ではありません!あの「YOKOSUKA軍港めぐり」ツアーに出かけてきたんですよ。
日本の国土を守るイージス艦や、世界最強と言われる非原子力の潜水艦群、そして現代に護衛艦として生まれ変わった「電」ちゃんや「雷」ちゃんに出会えるでしょうか?もう楽しみっす!!
まずは今回参加するYOKOSUKA軍港めぐりツアーですが、まずは予約が必要。当日もフリー枠もあるそうなのですが、今回は大人5人と子供1人という割と大所帯だったので、事前予約を行う事にします。
Webサイトから予約が可能なので便利ではあるのですが、予約状況を見てみると、週末は大体2ヶ月先位まで完売になっています。私達も2月に予約を行い、ようやく本日(出かけた日は4月5日でした)予約を取れたという感じ。しかも13時からという、他の観光をするにもちょっと中途半端な時間になってしまいました。ま、仕方ないけどね。当日は晴れてくれたから、それだけは本当に良かったけど。
● 装備換装を急いで!
とは言いつつ、それだけでは済まないのが、最近登山に出かけていない我ら「へなちょこ登山部」のメンバー。
前日にGoogle+で「頑張れば猿島いけるんじゃね?」「結構早起きしないと」「でもIngressのポータルが猿島にあるぞ」「ま、行けたら行くか…」みたいな会話が交わされた後、見事に当日船が出る09:30前、
猿島行きフェリー乗り場の三笠桟橋に全員集合w。この結束力は何なんでしょうね。
つことで、出航前に記念館となっている三笠の周囲を軽く見て回り、その後はメンバー4人で猿島へ出かけることにしました。
猿島へは、三笠の脇にある桟橋からフェリーに乗り、およそ10分程度。料金は往復で大人1,300円ですね。短い船旅ではありますが、当日は天気も良くてとても気持ちよかったです。
● っぽい?
猿島とは、今では数少なくなった東京湾内の自然島になります。陸地から近いせいか、小さいながらも、縄文・弥生時代の土器や、
日蓮上人に関する伝説が残る島です。
また、第二次世界大戦前には、首都防衛拠点として要塞化され、軍事関連にまつわる遺跡も数多く残っています。島内は、桟橋がある付近の砂浜をのぞき、基本的には岩場と森林になっており、その鬱蒼とした景色は、少し南国も感じさせる雰囲気。島内を歩き回るには、レンガ摘みで切り開かれた歩道が整備されていて、それもまた異国情緒を感じさせます。
この猿島は古のヲタ的にも有名な島らしく、なんでも仮面ライダーの悪役、
初代ショッカーのアジトが置かれていたとのこと。そのアジトの跡は、島で一番高い場所に整備された広場にありますが、建物に登るのは禁止されていました。
他、私は見なかったのですが、当日はコスプレイヤーが撮影会を行っていたそうで、こういったイベントも
猿島で良く開催されるようです。みたかった
(笑)。
さて、猿島を一回りしてショッカーのアジトがある広場で休んでいると、もう1人のメンバーであるふじむらさんと合流。今回は可愛い娘さんと一緒に参加です。しかし…素直にかわいくお父さん好きに育てやがって…許せん!w。
● オレをこんなに強化しちゃって大丈夫か
さて、猿島観光も終わり、猿島11:45発のフェリーに乗って三笠桟橋へ戻ります。その後、にしだやさん達とふじむらさん親子はシトロエンに乗って、軍港ツアーの汐入埠頭へ。私といのうえさんは横須賀の街をIngressを嗜みながら歩いて汐入埠頭へ向かいます。
汐入埠頭からは、海上自衛隊のおやしお型潜水艦と、米国のイージス艦が停泊しているのがよく見えますね。後で聞いた話ですが、世界の軍港でこのように異なる国の海軍が同居している港は、ここ横須賀しか存在しないそうです。
さて、軍港めぐりの船は13:00に埠頭を出発!約45分間の船旅が始まります。
● 深海ジョーズがあがったヨー!
はじめに見えた船は、手前が海上自衛隊のおやしお型潜水艦。海上自衛隊として、葉巻型の単殻構造を初めて採用した艦です。船体横に見える格子模様は、最近の潜水艦で流行している吸音タイルです。
その後に2隻並んでいるのが、イージスシステムを搭載した米海軍の
アレイパーク級二隻です。アレイパーク級は初代イージス艦である
タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦に続く2代目のイージス艦となり、やや小型化されています。
手前の63番が
ステザム。奥の62番が
フィッツジェラルドです。
● もっと頼っていいのよ
そして、反対側の海上自衛隊バースを見ると、いましたいました!艦番号107
むらさめ型護衛艦の「
いかずちよ!かみなりじゃないわ!そこのとこもよろしく頼むわね!」ちゃんです。基準排水量4,550トン、全長151mを誇ります。
むらさめ型の護衛艦は、海自として初めてステルス性を持つ船体を採用し、様々な電子装備を積極的に備えた、非イージス艦では主力とも言える船。艦これ的に仲の良い「
でん」ちゃんの方は、呉基地に所属しているそうなので、横須賀にはあまり現れないかもしれませんね。
● あら?あらあら…
全ての船を逐一紹介する訳にもいかないので、代表的な船に絞って紹介します。次は世界最強のイージス艦といわれる、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の
シャイロー。もちろんイージスシステム付き。
グノタの方はとっくに判っていらっしゃると思いますが、イージス艦とは船の種類を表す言葉ではなく、船内にイージスシステムを装備した船のことを言います。イージスシステムとは、大型のフェイズドアレイレーダーと、それらを制御する高度な戦闘システムからなり、その防空能力、射撃統制能力は、従来の艦船とは一線を課す強力なものです。
詳しい解説は省きますが、アメリカはそのイージス艦を、現在世界中で84隻就役させていて、その次にイージス艦を保有する軍である日本の海上自衛隊6隻(8隻に増強が決定)を大幅に上回る数を運用しています。その性能は、当日の船員さんのアナウンスで聞いたのですが、横須賀にいながら兵庫県の明石までの範囲にある200以上の目標を探知し、脅威別に分類、そして優先度を付けて迎撃までのシークエンスが全て自動に行えてしまうそうです。
そしてイージス艦の見分け方は、船体構造物のどこかに、多角形の板が装着されているかを確認すれば良いとのこと。その板がフェイズドアレイレーダーの開口部となります。
● 20発撃っていいですか?
つことで本日の目玉でしょうかね。ニミッツ級航空母艦の6番艦、
ジョージ・ワシントンです。実物を見ると、なんというか、大きすぎてその大きさが伝わらないという、ちょっと遠近感がおかしくなったんじゃないかと思うくらいのデカさです。
その全長は333m。東京タワーと同じと言われてもサッパリ分かりませんが、とにかく大きいです。その船内には5,000人以上のクルーが乗船していて、この船が横須賀にいるかいないかで、横須賀繁華街の経済を左右する…なぁんて話。
このジョージ・ワシントンは横須賀を母港としており、アメリカの原子力空母でアメリカ国外に母港を持つ船は、本艦しかないそうです。
その理由のひとつに、横須賀には世界でもあまり数がない原子力空母の入渠が可能なドライドッグである横須賀海軍施設ドックがあり、そこで原子力空母の完全修理が出来るという理由もあります。その中で最大の大きさを誇る6号ドッグは、かつて世界最大の空母でであった信濃が建設されたドッグでもあり、なんというか歴史を感じますね。
● こんなのかすり傷なんだけど
さて、こちらはちょっと変わって軍以外の施設も。
このオレンジ色のクレーンは、住友重工横須賀造船所のドックです。これもまた大きすぎてスケール感がサッパリ分からないのですが、クレーンに書いてある「よこすか」の文字は、それだけで高さが5mあるそうですよ。ここでは、タンカーなどの大型船が建造されているみたいです。
● 魚雷の補給は大事!
こちらは、
やえやま型掃海艦の3番館
はちじょう。船体に細かいラインが入っているのが見えると思いますが、こちらの船はなんと木造船。アメリカ海軍の
アヴェンジャー級に次ぐ世界最大級の木造船となります。
なぜ現代の海上自衛隊に木造船があるのかというと、掃海艦は海に敷設された機雷を除去するのが目的。そのなかの磁気反応型機雷を避けるため、あえて金属製ではなく、木造の船体を採用しています。
もっとも、木造の掃海艦は世界的にも珍しく、日本とアメリカ以外の先進国海軍では、FRPの船体に置き換わっているんじゃないですかね。木造、FRP、どちらにもメリットとデメリットはありますが、とりあえず日本では国内に木造の船体を作れる職人さんがもう数少ないそうで、
えのしま型を含め、次期掃海艦はFRP船体に全て置き換わるようです。
● 千代田はちゃんと寝てるかしら
こちらは
潜水艦救難母艦のちよだ。名前の通り、潜水艦を救助するための船です。
潜水艦というのは、私達が想像している以上に不安定で危険な船です。そもそも一般の船と違い、箱形になっていないため、物理的には水に浮かない形です。その船体内のすき間に圧縮空気を注入して浮力を得ている訳で、当然それらの装備が故障してしまった場合は、そのまま海に沈んでしまいます。もちろん旧日本海軍でも、潜水艦の事故は沢山起こしています。で、この件については、当日船員さんのアナウンスをどうぞ。
「日本の潜水艦はとても優秀で、潜っても必ず浮き上がってきます。しかし、外国の潜水艦は、時々浮き上がってこない艦がいたりします。この艦はそんな潜水艦を引き上げる設備を持っています。そのため、よく、海外からの要請で潜水艦を救助するお仕事に派遣されます。」
だそうです。ちなみに海上自衛隊の潜水艦はいままで沈没事故を起こしておりません。これはやはり、旧日本海軍からの潜水艦運用実績の賜物でしょう。なので、嬉しい事ですが、このちよだが日本の潜水艦を救助した経験はまだないようです。
● こうやって何もない平和な時間も、とっても好きなのです
そして裏手を見てみれば、その優秀な日本の潜水艦の終わりの姿です。こちらは
ゆうしお型潜水艦の5番艦「
さちしお」。この綺麗な涙滴型のフォルムは、アメリカの
アルバコア級から連なるフォルム。海中での運動性を最大限に追求した船体形なのですが、大きな艦内容積を取りにくいこと、船体構造がどうしても複殻式となり、更に容積が確保しにくいことなどもあり、その次のおやしお型からは、葉巻型の単殻式の船体に変更されました。
しかし、今見てもやはりこの涙滴型
(ティアドロップともいう)の船体は、潜水艦の原点ですね。とても美しいと思います。
このさちしおは、港内のこの場所に係留されていて、後に解体処分とされるそうです。それまでの間、この軍港ツアーでは、去りゆくこの鉄のくじらの周囲を一回りしてくれます。自慢の黒い船体は海鳥の糞で白くなっていて、一抹の寂しさを感じますね。
海上自衛隊の潜水艦は、毎年一隻ずつ新型艦が就役して、さらに総数16隻(+練習潜水艦2隻)と上限が決まっていますので、基本的に毎年1隻ずつ退役していきます。このさちしおの場合は、1989年就役で2006年除籍なので、およそ17年。潜水艦は水上艦船より寿命が大幅に短いことを考えても、世界的にはこんなに艦齢の若い船を除籍させるようなもったいないことはしません。しかし、こうやって絶えず潜水艦を作り続けることで、日本の潜水艦は非原子力ながらも、世界でトップクラスの性能を持つようになりました。
今後は法律も改正されるようですし、時間はかかるでしょうが、古い日本の潜水艦が海外に輸出されることがあるかもしれませんね。
● ちょっといいとこ見せたげる
最後は艦番号155、
あさぎり型護衛艦5番館の
はまぎり。そして奥は艦番号見えませんが、むらさめ型護衛艦ネームシップの101番
むらさめ。
ここは出発時も通ったのですが、往路は反対側のアメリカ軍艦を見ていたので、あまりちゃんと見ていませんでした。ということで、特に詳細情報はなし
(笑)。
そんなこんなで、楽しかった45分間はあっという間に終了。他にも色々艦が停泊していたのですが、数がありすぎて覚えきれません。
また当然ながら、そのときにより停泊している艦船も全然違いますので、またいつか機会を見て出かけてみたいと思いました。
最後に、船員さんのアナウンスを。
「さてみなさん、もう一度よく左右を見て下さい。左側にはアメリカ海軍の艦船、そして右側には海上自衛隊の艦船が停泊しています。この風景、実は世界でもここしかありません。異なる海軍が同じを港を使っているのは、世界でも横須賀基地だけです!他ではこんな風景絶対に見られません。」
そうです、私達が今まで見てきた船は、国同士で闘うための船なのです。それなのに、この横須賀では複数の国の海軍が同じ場所で生活しています。
日米同盟については昨今、様々な意見が言われますが、この横須賀の基地を見る限り、日米の関係は安泰だなと思いました。
↑乗船後は隣のショッパーズプラザ横須賀で昼食。
人生初のステーキけんでした。
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