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▼2022年08月31日

ウォーゲームのカテゴリを追加しました

 結構久しぶりの更新ですが、こちらのブログで、本サイトでチラホラ掲載していたウォーゲームの記事をまとめて下さっていて、そういえば該当カテゴリを作っていなかった…と気が付いて、新しくウォーゲームのカテゴリを増やしました。

 せっかく作ったカテゴリなので、今後はチマチマと記事を書いていこうかと思います。ごゆるりとお付き合い下さい。なんせここ2年くらいは友人とプレイもできず、積みゲーがふえるだけになってるからなぁ。

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 ということで、OCSのサードウィンターも、今のところプレイできる見込みなし(笑)

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▼2020年05月31日

BL(武士らいふ)創刊号を入手しました

https://live.staticflickr.com/65535/49954871457_d9e8442865_m.jpg ここ数年、東国武士がブームだったりします。

 …いや、ホントかどうかはわかりませんけど、吉川弘文館では“動乱の東国史”なんてシリーズが出版されたり、のぼうの城のヒットや昨今の山城ブーム…中島卓偉のお城に行こう!って面白いですね…とか、それらの現象が重なり合って、いままで自治体が発行する地方史くらいでしか読めなかった東国武士の歴史も、大分メジャーになってきました。

 そんな中、去年の夏頃だったかな?密かに出版された同人誌「BL」…というと、アレな本みたいでなんですが、武士らいふという同人誌。
 昨今は同人誌といってもジャンルが多様で、このような読み物系同人誌も増えているのですが、本誌が珍しいのは付録にシミュレーションゲームがついていること。
 きちんと打抜き加工されたカウンタとか、これ印刷代高そうとか業界人っぽい余計な心配をしてしまうのですが、ゲームはその名も「羽根倉合戦」といいまして、1351年の南北朝時代に、今の埼玉県荒川にかかる今の羽根倉橋付近で行われた闘いだそうです…って、知らねーよなそんなの(笑)。自分もこの本の案内があるまで、県民のくせに全く知りませんでした。

 この時代の東国…関東平野といえば、見渡す限りの葦の原。はっきりいって人なんて住んでるの?みたいな世界でした。
 以前のぼうの城でお馴染みの埼玉古墳群までブロンプトンで出かけたことがあるのですが、その帰り道で田舎道をのんびり走っていると、途中葦に覆われた一帯が出てきまして、なるほど…江戸時代より前、中世以前の関東平野ってこんな風景だったんだろうな…などと考えながら走っていたことがあります。
 実際、江戸時代の前の関東の村といえば、埼玉県では川越以西と大宮付近、北は群馬県の足利辺りまで大きな都市はなく、東に至っては見渡す限りの葦原で、その中に下総台地がまるで半島のように突き出ていました。
 利根川も荒川も今みたいに堤防があってきちんとした川筋があった訳ではなく、適当にその辺を流れていたという感じ。なので大雨が降れば下流は湿地帯と化しますし、家を作ろうにも雨期にはすぐ水に囲まれてしまいます。個人的にこのような東国の水運・交通史には興味があり、このブログでもいくつかエントリ書いていますが、つまり関東平野は今と全く違った風景だったということ。
 資料が残っているのかわかりませんが、おそらく当時の西日本の都の人達と、関東の東国に住んでいる人では、人種的にも少し違いがあったかもしれません。鎌倉時代の武士とか背が高かったなんて話もありますし、また鎌倉時代の武士道とは、今私たち日本人がイメージする武士道とは全く異なり、目的のためには手段を選ばずな考え方です。卑怯とか何だとか気にせずまずは勝たねばご主人様に奉公も叶わず、といった極めて実践的な思想だったりしました。

 それはともかくこのBL…武士ライフ、同人誌として、東国武士好き…それもおそらくかなりのマニアじゃないと知らないような戦闘を題材にしたシュミゲを付録(正直ゲームと本どっちが付録かわからんが)にして発行されるという噂はシミュ友から聞いていて知ってはいたのですが、なかなかフロンティアな分野に挑むなぁ…なんて思っていたら、通販開始して割と瞬殺だった模様。ひょっとして富士見市とか朝霞市付近のシミュゲファンが全て買い漁ったのではないか?というくらい綺麗に消えましたね。オクとかでも見たことないです。

 そんな発行元でも本当に在庫がないという同人誌、ふとツイッタラーを見ていたら、この武士ライフ発行人が「ここどこ」などというクイズを出題しておりまして、結構日数経ってたようなのでアタリ出ているかな?と思いつつ解答したらなんと私が初当てだったらしく、プレゼントで頂いてしまいました!ありがとうございます。

 まだきちんと内容も読んでいませんし、付属のゲームもプレイしていないのですが、観応の擾乱についてはまずきちんと本を読まんとダメだな。なんて考えています。なにせ記事を読んでも登場人物誰も知らんw状態なので。

 第2号は結城合戦が題材だそうで、これも知らん!wといった内容なのですが、結城市内は何度も出かけていますので、正直羽根倉合戦よりは興味あるかも。

 今まで、シュミゲは好きで本ブログでも何度か取り上げているのですが、別な興味から調べていた東国史とこのような形でリンクするとは、久しぶりにインターネット経由で知の連鎖を実感できた気がしますね。ありがとうございました。

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 この写真は今年の冬に友達と出かけた、羽根倉合戦時に難波田勢の居城だった城跡を整備した難波田城公園。今では城跡公園というより、埼玉県の古民家・古民具を紹介した公園といった趣。昔ながらのオモチャで遊べる広場もあって、そこで数十年ぶりにホッピングとか楽しんできました(笑)

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▼2019年06月24日

STR/North Africa

P6242570 同じようなタイトルのゲームが続きますが、こちらは国産唯一のビッグゲームとも言われたSTRのNorth Africaとなります。

 このゲームは、1940年のイタリア軍エジプト侵攻から、41年のキレナイカ撤退までを扱う、北アフリカ戦線のハーフキャンペーンといった趣。まだルールを全て読んでいないのですが、事前の情報だと、前回紹介したThe Campaign for North Africa(以下CNA)へのオマージュとも言えるルールも数多く存在するそうです。
 メーカーのSTRとは、翔企画の別ブランドになるのか?よく判らないのですが、モンスターメーカーなどのカードゲームを出版していた会社と同じといっていいのか。一応STRブランドの第一弾がこのゲームとなり、1987年6月の発売で当時の定価は7,800円、限定2,800セット。限定とはいえこんなに売れたのかなぁ?
 ちなみにSTRからは、このゲームの次には空母戦ビッグゲーム「CV」が発売予定となっていましたが、多分発売されていないのではと思います。

 以前もどこかで書いた気がしますが、アフリカ戦線というのは陸戦でありながらも地形・気候・補給による要因のため確固たる戦線ができにくく、まるで海戦のように戦線が変化します。となると、アフリカ戦線における戦略級ゲームとは、ほぼ例外なく補給戦の様相を呈してくるわけで、本ゲームでも補給の手配や確保は前記のCNA程ではないにせよ、かなり重要で凝ったルールになっているようです。
 また、部隊編成の自由度が高いのもCNAと似ている部分で、マップに登場するユニットは全て司令部が必要となり「Combat Organization Board」という編成表の上で司令部毎に戦闘ユニットを編成してゆきます。部隊規模は中隊・大隊となり、当然ながらそんな規模だとユニットも膨大な量になり、本ゲームは総ユニット3,000となります。ただ、これらのユニットはCNAと同様、編成表の上で使用する事となり、マップ上では大量のユニットが並ぶことはないとされています。

 補給ポイント、オペーレーションポイント、アクションポイントなどの概念もCNAと同様の概念ですかね。さすがにイタリア軍のパスタルールは存在しないようですが、ルールブックは45Pもありますので、キャンペーンシナリオとなると、それなりに細かいルールも多いです。
 ロンメルの病気ルールとか、更に名のある司令官が着任する際には、搭乗飛行機墜落チェックや、補量になってしまうチェックや、はたまた心臓麻痺ルールまで…とにかくアフリカ戦線に派遣される司令官達は着任までも大変だったみたい。

 そうそう…想定プレイ時間ですが、パッケージにはザックリと1時間〜としか記載がありませんが、キャンペーンシナリオでは120ターンも消化しなければならず、更にこちらもCNAと似ているのですが、1ターンは一週間ですが、そのターンの中に複数のサイクルというターンを細切れにしたようなフェイズがあり、このゲームでは1日単位7サイクルが終わってから1ターン終了となります。なので1ターン消化するだけでおそらく数時間、戦闘などが起きれば半日くらいかかってしまう場合もあり、到底プレイ時間は1時間〜なんてことはないかと。

 用意されたシナリオでは1ターンのみというのもありますけど、キャンペーンシナリオだと当然プレイ時間は数百時間単位となるんでしょうね。しかし…アフリカ戦線のゲームはどうしてみんなこうなるのか(笑)

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▼2019年06月08日

SPI/The Campaign for North Africa

 シミュレーションゲームの世界では「プレイ不可能」とされるゲームが数多くあります。
 例えば以前紹介したSPIの「War in The Pacific」や「War in Europe」The Next War」、他、手持ちに限定すればは同じく「Atlantic Wall」や、その他VGの「Pacific War」、SPI/TSRの「Wellington's Victory」なんかも最後までプレイするのは難しいかも。

 そんな中で、開発に携わったテストプレイヤーを含めて、最後までプレイした人はいないのではないか?とされるゲームが、この「The Campaign for North Africa(以下:CNA)」です。これは第二次世界大戦における北アフリカ戦線を再現するゲームとなります。

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 まず、想定されるプレイ時間が「少なくとも1,200時間」。そして必要なプレイヤーが、枢軸国と連合軍でそれぞれ5人、計10人です。
 ルールブックは「LAND GAMES」と「AIR & LOGISTICS GAMES」に別れていて、それぞれ40〜20PのA4レターサイズに3段組でびっしり文字が印字されているので、日本語での文章を想像すると結構ボリウムがあります。他、膨大なチャートブックや、A4レターサイズ8面にも渡るログシート(しかもこれはユニット毎!にコピーしてそれぞれ1枚ずつ使用します)も必要です。

 LAND GAMESのルールブック序文を引用します。

1.0 INTRODUCTION
The Campaign for North Africa is a simulation of operations in Libya and Egypt from 1940 through early 1943. CNA was designed as a definitive simulation; it was intended for the sophisticated war gamer and the serious student of history. As such, CNA is the most logistically-oriented game ever designed and may be considered by some to be overly complex. Actually, the game system itself is quickly absorbed and most experienced Players will have little problem understanding how to play the game. At the same time, there is a ferocious amount of information for the Players to digest and use, and the assimilation and coordination of all this information is what makes CNA so formative, so challenging, and so (hopefully) enlightening.
Very little has been abstracted; CNA contains more hard information on the subject than any other single source encountered by the SPI design staff. The Campaign for North Africa is not a game for one, two, or even three players. This is a multi-Player game in the true sense of the word' It is recommended. for maximum playability and efficiency, that, on each side, one person be assigned to Logistics, one person to Air Forces command, and at least three Players to Land Forces command (again per side). It is also firmly suggested that there be at least one calculator available' It should be stated here that although the rules are quite long, CNA is quite an easy game to explain to somebody. By this, we mean that someone who is familiar with the rules can tell other Players how to play with remarkable ease.
Each hex represents approximately eight kilometers; each Came-Turn represents one week of "real" time. Units range in size from companies (approximately 100 men) to divisions (15,000).

 信頼できるデータを元にデザインされたゲームであること、ロジスティックスを重視したゲームであること、複雑だと思われるけどゲームシステムはシミュレーションゲーマーには納得できるシステムで、複雑すぎることはないとのこと…などなど。
 もっともこのゲーム一番の難関は、1,200時間をプレイに捧げることができる10人のプレイヤーを探すことかと思います。

 マップはいつものSPIカラーで、視認性と色彩の落ち着きが調和している素晴らしいものです。
 このCNAは、ビッグゲームではありますが、マップのサイズは非常識なサイズではありません。SPIフルサイズ22×34インチで5枚!まぁ…それなりに巨大ではありますが、SPIのビッグゲームにしてはやや控え目といったサイズ。
 残念ながらマップ1枚で済むようなショートシナリオは用意されていません。全てのプレイはこのマップ5枚を連結したフルサイズで行われます。何故マップの一部を使ったシナリオが用意されないかというと、この距離感こそがアフリカ戦線では重要だからと説明されています。

 まぁ…このゲームについてこれ以上語れる事はないのですが、当然ながら私もプレイすることは諦めています。
 10人で1,200時間って…例え仕事でやれと命令されても困るレベルで、工数に換算すれば12,000時間、単純に75人月、どんな新製品開発だ。
 仮に当時のSPIがきちんとテストプレイをしていたとしたらそれだけで会社が傾くレベルのプロジェクトです。そんな製品を当時はいくらくらいで売っていたんでしょうね、SPIの4インチ箱(深い箱のシリーズ)は、大体$50〜100いかない値段だったらしいので、ゲームのデザイン工数も含めれば大赤字でしょうな。もっともそんな製品ばかり作っていたお陰でSPIは倒産する訳ですが。

 こんなゲームを欲しがる人は少ないかと思いがちですが、空前絶後のビッグゲームということもあり、コレクターアイテムとしての需要はそれなりにあるようです。
 海外ではアンパッチド(ユニットを切り離していない状態)でおよそ$700〜900程度で取引されています。何故かこのエントリ書いてる時点だと日本のゾンアマでも出品されていますが、高いなと思いつつ、まぁ…こんなものかもと思ったりもします。
 ちなみに自分は専門店から海外相場のおよそ半額で入手しました。冷静に考えればそれでも充分高いですが、まぁ…コレクターならほしいですよね(笑)

 このCNA、未来永劫プレイできるとは思えませんけど、それでもマップを詳細に眺め、ユニットの数字を比較して、チャートブックに記載された能力値を分析しつつ、ルールブックを読みふけるのは、シミュレーションゲーマーだからこそ享受できる楽しみであって、この先の人生と共に少しずつこのゲームシステムを味わってゆく楽しみが出来たと思えば、案外安い買い物だったかもしれません。

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 何故か、近頃奥の院から色々なゲームを引っ張り出してきては眺めています。
 SPIの4インチ箱とはこういったサイズ感の箱で、恐ろしいことにほとんどのゲームはユニットアンパッチド状態なのに、箱にはコンポーネンツがぎっしり詰まっています。

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▼2019年04月17日

SPI/Napoleon's art of war

P4171903 何気なく入った古本屋さんで偶然見つけたゲーム、邦題「ナポレオン戦術」。お値段は3,500+消費税でユニットは切り離し済みでしたが、家に帰って調べたら全て揃っていました。他の備品も全て揃っていると思います。

 こちらのゲームは、日本のナポレオニックゲームの中でもマイナで、ホビージャパン発行のタクテクス誌でもレビューされた事はないと思います。元々はS&TというSPIが発行しているゲーム雑誌の付録ゲームだったのですが、好評だったのか後にパッケージ化されて発売されたようです。ただ、上記の通り日本ではあまり目にしませんでしたね。
 ゲームとしては、ドレスデンとアイラウという、ナポレオンによる2つの戦いをセットにした製品で、マップは写真の左半分がドレスデン、右がアイラウとなっています。サイズの都合なのか、2つのマップは丁度中央の折り目で分かれている訳ではないのがやや気になります。

 日本語ルールブックの記述は全部で12P、構成は共通ルールとその後にドレスデンのルール、次がアイラウのルールとなっていますが、共通ルール部分はほとんどがこの手のシミュレーションゲームの基礎みたいなルールで、それぞれのゲームのルールは意外と共通点があるようなないような…。
 例えば、共通ルールではユニットのスタックは禁止されていますが、ドレスデンではスタックが2個まで可能。それと予備ユニットのルールや士気、混乱の再編成などがありますが、対するアイラウの方は、共通ルールの通りユニットのスタックは禁止で、士気ルールはない上に混乱の再編成もありません。その代わり同一師団効果があったり、河川と湖は凍結しているので平地として扱うなどこのブログでも指摘されていますが、英文ルールブックの記述が見当たらないんですよね。)割とルールが異なります。
 使うユニットもドレスデンとアイラウでは完全に分かれていますし、まだプレイはしていませんが、同一パッケージと言いつつ結構展開が違うゲームになっている気がします。プレイの難易度はあまり高くなさそうで、おそらくですが、ドレスデンが10段階で4位?アイラウは2〜3といったところかと。

 マップとユニットの出来は、さすが往年のSPIらしくシックな色合いでとても美しい。
 一説によるとSPIのマップは基本3色刷りらしいですが、地形の判別がつきやすく、とても雰囲気があります。この辺元は印刷会社だったというAvalon Hillのマップがややケバい色彩だったのに比べると、個人的にはとても気に入っています。

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 ユニットの一部と英文ルールブックの中身1Pを掲載してみます。

 ユニットのデザインも美しく、兵科のマークをユニット全体にかぶせるSPIのやり方は、見た目も分かりやすいしカッコいい。更にアイラウのユニットには師団名も記載されていますので、この辺、指揮官達がどのユニットで戦っているのか調べてプレイすると、感情移入バリバリで楽しいかもしれません。

 ちなみに解説しますと、×印が歩兵ユニット、斜め線が騎兵、●印が砲兵、小さく歩兵マークが描かれているユニットは特別戦力マーカらしいです。
 ついでに師団名も書いちゃいますと、左側水色のフランス軍から「Gar=Gardanne」「Mor=Morand」「Mar=Marchand」「Lev=Level」。
 緑色のロシア軍は左から「Sac=Sacken」「Kam=Kamenski」「Sam=Samoff」と「Kam=Kamenski」がもう一つです。

 更に英文ルールブックは、後半にドレスデンとアイラウに関する解説記事が掲載されていて、なかなか内容が濃そう。写真にあるページ、リーダー達の能力表もゲーマー泣かせというかしびれる記事ですよね。
 ついでだから表の凡例も説明しますが、左から「Str=戦略能力」「Opn=作戦能力」「Tac=戦術能力」「Adm=士気値」「Gov=政治力」「Rel=信頼値」ですかね、Actにあるアルファベットは能力値ではなく彼等が活躍した期間を示しています。

 まぁ…当時のホビージャパンにお願いするのも酷ではありましたが、シミュレーションゲームの英文ルールブックって、ゲームのルール以外にも、こういった内容の濃い解説記事が掲載されていることが多く、ここも翻訳してあると、きっとゲームに対する理解がより深まったんだろうなーって気がしました。

 冒頭でも書きましたが、本ゲームは日本人プレイヤーにとってはあまり馴染みのあるテーマではないせいか、タクテクス誌上でもまとまった記事が掲載されたことはありません。
 ただ、参考としてドレスデンの戦史についてはNo.4の「大陸軍その光と影」で紹介されていますし、アイラウの戦史についてはNo.10で同じく「大陸軍その光の影」の中で取り上げられていますので参考になるでしょう。特にNo.10については、本ゲームをパク…参考にしたとしか思えない「アイラウの戦い」というオリジナルゲームが掲載されています。

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▼2019年04月05日

SPI/HJ War in Europe

PB100815 そういえばこのゲームを紹介していなかった気がします。

 こちらは往年のシミュレーションゲーマーにはお馴染み、SPI「第二次欧州大戦」というシミュレーションゲーム。
 日本では(海外でもだけど)伝説とされているビッグゲームで、第二次欧州大戦の全てを師団規模でシミュレートしようという無謀な試みの元デザインされたゲームです。
 もっとも当初は「War in East」と「War in West」という東部戦線と西部戦線を扱う2つのゲームだったらしいのですが、それを合体して(おそらくついでにアフリカ戦線も統合して)出版されたゲーム。なので、本来は東部戦線と西部戦線で微妙にルールが異なっています。それを統合ルールでやや強引に1つのゲームにまとめてある…らしい、というのも、自分はこのゲームをまだプレイした事がないので詳細は分かりません。

 これだけ大規模なゲームながらも、ルールはさほど複雑ではなく、手元にあるタクテクスNo.5を参照すると、ゲームとしての難易度は4〜10(最高が10)とされています。実際の所は難易度4に近いというのが真相のようで、ゲームとしては割と単純(大味)ではありますが、これだけの規模のマップとユニット数なので、全てのユニットを統べるには当然難易度は上がります。キャンペーンゲームを行う場合は、単純に連合国と枢軸軍というプレイヤーだけでなく、3〜5人程度のでのプレイが推奨されているくらい。

 写真だとわかりにくいですが、マップはSPIサイズのフルマップが9枚。これは家具を置かない6畳間のスペースでようやく広げられるくらいの面積で、更にチャート類を展開するスペースや、当然プレイヤーのスペースもあるので、キャンペーンゲームを行うには、なんだかんだで12畳程度の部屋がないと快適にプレイできません。

 コマの総数は3,600枚程。
 当然キャンペーンゲームとなると、ちょっとプレイ時間が想定できないほどの時間がかかる訳ですが、それでもこのゲームが名作とされていて、更に実際プレイしたという記録が比較的多いのは、19ものシナリオが含まれていることと、ショートシナリオをプレイする限りは、割とプレイアブルで、休日の半日を費やせばプレイできてしまうという部分にあるのかと。
 それに比べると、本ゲームの太平洋版ともいえる「War in The Pacific」については、プレイしたという記録を殆ど見たことがないので、やはりプレイされるゲームとは、常識的な時間と手間で、更に魅力的なシナリオが含まれているかというのが重要なんでしょう(ちなみに季刊タクテクスのNo.5には、このWar in EuropeとWar in The Pacificを連結するという無謀も過ぎる追加ルールが掲載されていますw)
 本ゲームも、さすがにキャンペーンゲームは無理でも、シナリオを順次こなしていけば、第二次欧州大戦のアウトラインがきっと理解できるのではないかと思いました。

 

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↑マップを広げていたらうちのニコが偵察に来ましたw

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▼2019年01月07日

SPI/HJ War in The Pacific

https://farm8.staticflickr.com/7815/45816484584_d048ce329f_m.jpg 年末のエントリに引き続き「顔がシミュレっちゃった〜」話題ですが、こちらはSPIが発売していた「WAR IN THE PACIFIC」というゲーム。

 当時発売されていた「WAR IN EUROPE(邦題:第二次欧州大戦)」の続編ともいうべきビッグゲームで、第二次欧州大戦同様、太平洋戦争の全てを再現しようとしたゲームです。デザイナは同じくJ・F・ダニガン氏。

 ちなみに数年前に米国のDecision Gamesというメーカーが、本ゲームに改良を加えたSecondEditionを$350で発売しています。また日本のサンセットゲームズというメーカーがこのSPI版の再販を目指しているそうですが、本当に発売されるのかな?

 このWAR IN THE PACIFIC、同社の第二次欧州大戦程でもないのですが、マップは22×34インチのSPIフルサイズ7枚の広さとなっており、更にマップ以外にもさまざまなチャートを展開する場所が必要になるため…なんというか、一般的な日本家屋ではプレイする場所に困るといったゲーム。
 この7枚のマップは、全地球面積の30%を含むそうで、メルカトル図法を基準としているため、ヘクススケールも赤道付近と上下では微妙に異なっています。こんな広大な空間を、実質日本とアメリカの2カ国が戦場にしていた訳ですから、太平洋戦争のスケールってでかいなと改めて認識しますね。あ…国産のこの手のゲームと違い、マップにアメリカ本土は含まれていません。なぜなら、日本軍がアメリカ本土に進出するSFな状況は当然想定されていませんし、現実として当時の日本の空母にバルキリーでも搭載していない限り、米国本土への上陸なんて不可能でしょう。

 それはさておき、このゲームのキモは、しつこいくらいに面倒くさい補給ルールにあります。全ての部隊は行動するために補給物資を消費し、その補給物資は基本的に本国から輸送しなければなりません。また、大規模な拠点には輸送艦を使い物資を輸送できるのですが、最前線にいる部隊までは駆逐艦などの軍艦に荷物を載せ替え、まさに鼠輸送を行う事となります。
 その輸送艦の補給路は、海上に補給ルートを設定し、決められた距離内に配置したマーカーをつなげていく必要があります。という感じで、本ゲームでは補給活動がとても重要視されたルールとなっており、プレイする度に補給路の設定とその重要性が学べるという話です。ちなみに私はまだプレイしていないので、その辺の感覚はルールブックを読んだところで想像するしかないのですが。

 マップの範囲としては思いっきり戦略級ですが、登場する軍艦は駆逐艦を除き単一ユニット。駆逐艦は「駆逐隊」というおよそ4隻1ユニットの単位となっていますので、元気よく「なのです!」とか「クソ提督!」とか言いながら駆逐隊ユニットを動かすのもアリかもしれません。

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 写真はマップを広げた図。この果てしない海上ヘクスの量を見ると、太平洋で戦争やるって大変だったんだな〜と思います。例えば日本軍がガダルカナル攻略戦を行うためには、日本本土からラバウルまで商船の航行ルートを確保して、その後前線のガダルカナル島まで駆逐艦などを用いて補給物質をせっせと届けなければなりません。
 本ゲームはこの辺の補給ルールが精密化されていて、例えラバウルまで届けた補給物資は、現地で駆逐艦などのユニットに載せ替えるために時間を消費しますので、好き勝手にユニットを動かして攻撃ができる訳ではありません。そのため、補給物資の輸送タイミングから逆算した攻撃計画が必要になります。また、キャンペーンゲームでは、登場する艦船はおよそ1年サイクルでドック入りさせて整備を行わなければならず、定期的に使用ユニットは本国(連合軍の場合はハワイなどの拠点)に帰還させるタイミングも考えなければなりません、そのうえ前線までの商船の輸送ラインは敵の攻撃には脆弱なため、それらを防衛する必要があります。

 ゲームの進行上そういう「艦船の性能」に頼り切った作戦を行うことが難しく、となると結局の南国の補給ポイントや南国までの補給路を日本軍の限られた資源では全て維持することが不可能で、まぁ…戦争の行く末はなるようにしかならない訳です。

 キャンペーンでのゲームの勝敗は、日本軍が連合軍(アメリカ軍)に対して戦果を上げれば上げるほど、ゲームの終了ターン数が短くなり、最終的にゲーム終了までに日本軍の生産力がゼロにならなければ日本の勝利、これは日米間での和平交渉が始まったという状況なのでしょう。逆に連合軍は日本の生産力をゲーム終了までにゼロへ追い込めば勝ちとなります。日本軍が破竹の進撃を行い、アメリカ本土を制圧するなんて条件はありません…というか無理です。その辺は繰り返しますが「なるようにしかならない」状況でどれだけ日本は連合国に抵抗できるか?というゲームです。

 本ゲームがアメリカで出版されたのは、確か1970年代中盤だったと思いますが、この日本語版が発売されたのは1989年だったかな?初版からおよそ15年経ってからの日本語化だった訳ですが、その当時…というか今でも、戦争をやるには膨大な物資と事前準備が必要で、なおかつ、お互いの強力な艦隊はなんのために必要とされたのかが、ここまで分かりやすく実感できるゲームは、なかなかないみたいです。

 もちろん補給戦以外にも、タクテクス75号に掲載されたガダルカナルシナリオのリプレイ記事を読むと、艦隊戦もそれなりに楽しめそうです。戦闘は事前計画に基づき行われ、それぞれの戦闘解決順が細かく決められます。その順番によっては味方の大損害につながったり、あるいは奇襲攻撃が大成功に終わったり、その辺は割と運の要素も多めに含まれているみたい。この点は陸戦ゲームではあまり由とされませんが、当時の空母戦で勝利を収めるには、運の要素もかなりあったようなので、逆にリアルかもしれませんね。

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 かつて、太平洋戦争シミュレーションの二大巨頭とされたVG PACIFIC WAR(右)と並べてみました。箱の厚みは4インチボックスとされるWAR IN THE PACIFICの方が深いのですが、PACIFIC WARは全てユニットを切り離して懐かしのホビージャパントレイ4つに入れてあるので、その分箱が閉まりきらずに深くなっています。

 左、WAR IN THE PACIFICのボックスアートは、日本の特攻機により炎上している米空母バンカーヒル。右、PACIFIC WARのボックスアートは、米空母のワスプから発艦するヘルキャット…かな?
 パッケージアートはどちらもカッコいいですが、WAR IN THE PACIFICの方がより緊張感があって好みです。

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 こちらはタクテクス75号に掲載されていた通信販売のご案内。このゲームは限定で800個ほど制作されたそうで、この製造個数が正しいなら、うち事前の予約で642個程度は捌けたということでしょうか?
 当時の定価は23,000円で、それなりに高価なゲームだったと思いますが、あっという間に売り切れになったそうです。少なくとも自分は店頭で見かけたことがありません。

 もっとも、この5年くらい前に日本語版が発売された「第二次欧州大戦」は、限定2000個生産で事前の予約分のみで品切れだったそうなので(ごく少数、直営店であるポストホビーの店頭に並んだようです)、それに比べればこの時代、日本のシミュレーションゲーム市場もかなり縮小していました。
 雑誌のタクテクスも、この後77号で一端休刊し、およそ半年後に季刊誌として再スタートしますが、それも7号で休刊となり、シミュレーションゲーマーにとっては、長い冬の時代の始まりとなります。
 ファンタジー/SF系のゲーム以外で、ホビージャパンから単独のパッケージとして発売されたウォーシミュレーションゲームは、このWAR IN THE PACIFICが最後だった気がします。

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▼2018年12月31日

SPI The Next War ~Modern Conflict in Europe~

https://farm5.staticflickr.com/4855/46286125582_24cf374707_m.jpg SPIという会社がありました。これは適性検査ではなく、1960年代から1980年代初頭までアメリカで存在したシミュレーションゲーム会社。会社名のSPIとはそのものズバリ「Simulations Publications Inc.」という名称の略で、会社が存在した約10年間の間で総数300種類程度のシミュレーションゲームを出版していたようです。

 往年のSPIはビッグゲームが有名となり、日本のゲーマーにも有名な第二次欧州大戦や、多分この世で最後までプレイした人はいないのではないかと言われる、Campaign for North Africaなど、かなりマニア向けな製品をリリースしていたメーカーというイメージがあります。
 このNext Warもそのビッグゲームのひとつで、時は1970年代、舞台は東西がにらみ合うヨーロッパ大陸中央における闘いを、22×34インチSPIサイズのフルマップ3枚+ミニマップ2枚、そしてユニットとマーカー2,400個あまりで再現したゲームとなります。対峙する陣営は、西側諸国であるNATO軍と、東側のワルシャワ条約機構軍です。

 もっとも、本ゲームにおける現代戦とは、今となっては既に半世紀前に起きたかもしれない戦争のシミュレーションであり、当然現在の社会情勢ではあり得ないシチュエーションでもある訳です。というか、平成生まれの人にとっては、あの頃のヨーロッパ大陸がどれだけ一触即発な雰囲気だったか…実感が沸かないと思います。
 あの頃のアメリカとソ連は、いまでいう米中の貿易摩擦対立なんてお話にならないレベルで真剣に対峙していました。お互いに敵国(陣営)を「悪」であると罵り、隙あらば冷戦で分断された東西ドイツを取り戻そうと、両陣営が東西の国境付近に多数の実戦部隊を配備しています。
 まさかあの時代背景で、東西ドイツが戦争もなく統一を果たせるとは考えもしませんでしたね(ちなみに本ゲームのメインデザイナであるJ・ダニガン氏はソビエトと東側陣営の崩壊を別な著書でかなり正確に予測しています)。なので、どんなに絶望的な状況でも、戦争回避の努力は怠ってはならないんだなと改めて思います…って話がずれました。

 このNext Warは、現代戦のダイナミックな戦場を再現するために、移動に関して他のゲームとは違った特色がありました。
 まず、全陸上ユニットは基本的に移動力20を持ち、戦闘も移動力を消費する事で行います。基本戦闘に必要な移動力は4で、ユニットはその移動力(と受けた被害)の許す範囲で、移動フェイズ中に何度も戦闘が可能になります。
 なので、戦闘結果は同時適応ではありません。移動順に解決してゆくこととなり、また多くのシミュレーションゲームで見られる、複数ユニットによる単一ユニットへの同時攻撃もいくつかの例外を除き不可能です。そういった複数ユニットによる攻撃については「波状攻撃」というルールで再現されており、同一ターンで2回目以降に攻撃を受けたユニットは、戦闘解決表で1コラム不利を得ます。

 基本移動力は20ですが、自軍への不利を厭わなければ、陸上ユニットは最大移動力50を1ターンで消費する事が可能です。ただ、21以上の移動力を消費した場合は1移動力消費ごとにおよそ1/2の確率で疲労する疲労チェックを受け(当然疲労したユニットは弱体化します)、更に31以上の移動力を消費したユニットは、5/6の確率で疲労、41以上の移動力消費では(もはやここまで無傷ではいられないと思いますが)確実な疲労判定を受けることになります。疲労は2ポイントまで累積可能ですがそれ以上はステップロスとなるため、最大50移動力を使える状況はほぼないかと。ちなみに、疲労は時ターン以降、移動力10を消費すれば1段階回復できますが、ステップロスは、移動フェイズ前の補充フェイズで補充を受けなければ回復不能な上、補充を受けたターンは行動不能となります。

 私はまだこのゲームをプレイしていないのですが、上記の移動ルールが何を意味するのかというと、つまり一般的な作戦級シミュレーションゲームにおける戦線の考え方が通用しないということです。
 本ゲームでは主に防御側となるNATO軍は、強力な部隊を前面に展開して敵攻撃部隊を足止めする古典的な戦線防衛戦術ではなく、次から次へとドリルのごとく強引に戦線をこじ開け進軍してくるワルシャワ条約軍を、縦に深く防御し妨害しなければなりません。

 この展開は、実際に当時のワルシャワ条約軍が採用していた縦深作戦を再現しています。
 縦深作戦とは、第二次世界大戦時のドイツ軍による電撃戦にも似ていますが、この作戦が採用された理由は第二次世界大戦当時の電撃戦とは少し違い、ワルシャワ条約軍はNATO軍による戦術核兵器の使用を警戒していたから。
 つまり、広く敵正面に部隊を展開させ火力で強引に敵を押し込むといった従来のソビエト軍の戦術(ドイツによる電撃戦は結局こういったソビエトの古典的な重火力主義に敗退しています)では、戦術核による敵の反撃には対処できず、そのためワルシャワ条約軍は、NATO軍が核や化学兵器の使用を躊躇うくらいに戦線を混乱させ、進軍している先頭集団を地域制圧ではなく、強引な進軍でに西ドイツ国内へとなだれ込ませることにより、NATOに核兵器や化学兵器を使用させる隙を与えない(無理に使用すると地域住民が巻き添えとなる)という戦術を立案していました。このNext Warの自由な移動ルールは、そういった展開を狙っているのかと思います。

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 こちらがNext Warのマップです。先に記したサイズのフルマップ3枚と、何故か小さな補足マップが2枚。北は北海とバルト海の一部、南はアドリア海の一部が含まれた、まさに冷戦時のヨーロッパ最前線における南北が全て含まれています。写真の右側に立てかけてあるLPレコードのサイズでおおよその大きさが理解できるかと。左側にあるふたつ飛び出ているへんなのは、私の足(笑)
 マップそのものは、往年のSPIカラーでとても美しく、プレイ意欲がわいてきますが、このフルマップを全て平らな状態で広げるには、会議室用のテーブルが必要になりますね。

 Next Warについては、私が子供の頃シミュレーションゲームを買い漁っていた頃でも既に幻のゲームとなっており、専門誌の売ります買いますコーナーでは、4万5万で売ってくれなんて投稿が沢山あり、中学生の頃の私からすると、そんな値段では例え興味を持っていても買うことなどできませんでした。もっとも定価だとしても当時で18,000円もした訳で、例え新品在庫があっても買えなかったでしょうね。
 大人になってもこのゲームには興味を持っており、手に入る機会があるなら手に入れたい…と思ってはいたのですが、ヤフオクなどで出品されているNext Warは、定価の倍近い価格で出品されていて、更に日本語訳が付属しないセット(日本語訳コピーとはあるけどちゃんとしたモノなのか確信も持てないし)なので、入手は諦めていた訳です。そもそも本国のアメリカですら1980年代からプレミア化しているゲームなので、日本での新品在庫が残っているとは考えてもみませんでしたし、極まれにオークションへ出品される中古は、プレミア価格もそうですが、…シミュレーションゲームの中古はね…ユニットが切り離されていたりすると、そもそもそのユニットは全て揃っているのか?という疑惑も生じてしまう訳で、覚悟がないとなかなか手を出しにくい。なので、将来に渡って入手のチャンスはないだろうなぁ〜なんて諦めていたのです。

 それがね、都内にある某大手のヲタショップで、パッケージがかなり綺麗な状態で棚に並んでいるのを発見!
 その時はまさか未使用で日本語訳付きかとは思ってもいなかったのですが、念のためレジで中身を確認させてもらったら、なんと完全未使用品のホビージャパンによる正規日本語訳付き。当然ユニットは切り離されておらず、ルールブックにも全く折り癖や手垢が全くない、正真正銘の新品らしき極上品でした。ちなみにシミュレーションゲーマーにはコレクションとしてこの手のゲームを買い漁る人もいるのですが(多くは様々な要因の結果としてコレクションになってしまうという状況なんですけど)、それでもほとんどの場合ルールブックは読まれるので、手垢と折り癖がない製品というのはレアなんですよね。まぁ…自分もそこまでミントな状態に拘る訳でもないのですが、それにしてもこんな状態のNext Warが21世紀のこの世に存在しているとは思ってもいませんでした。
 しかもお値段は、5桁ではあるけど当時の定価より安い。これはもちろん買うでしょ…と購入してきたという訳です。これは、大げさに言うと平成の奇跡かなと。

 更に奇跡は続くもので、その数週間後には別な場所で本ゲームと同じNext Warのユニット切り離し品の中古(こっちはバッチリ中古でした)を安値で発見。ハッキリ言って私はこのNext Warのユニットを切り離すのがもったいない(笑)とか思っていましたし、その割にルールブックを読むとすごく面白そうなゲームなので、思わずプレイ用にもうひとつ確保(爆)してしまいました。保管用と使う用ってのが実にヲタっぽくはありますけど(火暴)
 新品状態のゲームを持っている状況なら、ユニットが多少不足していても校正が可能ですからね。それに状態を見る限り、ルールブックはかなり使い込んで手垢たっぷりでしたけど、ユニットはきちんと種別ごとに整理されていて、おそらくほとんどは揃っているのではないかと推測できたので。もっとも、いくら校正が可能とはいえ付属ユニットの多数が紛失…なんて状態のゲームには手を出したくありません。
 そんなこともあり、今私の手元には、Next Warが2セットあることになってしまったのです。

 このゲームは、キャンペーンシナリオはさすがに場所と時間の覚悟が必要ですが、ショートシナリオなら普通に1日でプレイ可能みたいですし、先に解説した「懐かしい未来、なくて良かった未来」ともいえる当時の現代戦を体験できるということで、私自身、とても興味津々なゲームなのです。なので、いつかがんばってプレイしてみたいなと思っています。

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 こちらは、1983年6月に発行された、ホビージャパンによるシミュレーションゲーム専門誌、タクテクスの8号にある紹介記事。この時点で「当社にも在庫はない」なんて書いてありますね。
 この記事は、リプレイというより、Next Warの特徴的なルール解説の趣が強いのですが、読むとますますプレイしたくなってきます。

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▼2018年06月24日

Victory Games・Pacific Warのルールブックを楽しむ

https://farm2.staticflickr.com/1722/27935083107_ea13e0799f_m.jpg そういえば、数ヶ月前に今はなきVictory GamesPacific Warが手元に帰ってきたので、箱からルールブックを取り出して眺めています。
 このゲーム、ゲーム自体は太平洋戦争全てを作戦級スケールで扱うというビックゲームなので、ショートシナリオはともかくとして、キャンペーンゲームはプレイ不可能。ルールに習熟した人同士でプレイして、プレイ時間の目安が100時間だったかな?これは毎日朝9時から17時までの8時間プレイしても、12日半かかるということです。キャンペーンゲームを最後までプレイした人っているのかな?

 ルールブックは、A4横3段組で文字がびっしり書かれて60P程あります。更にシナリオブックは別冊です。もっともショートシナリオをプレイするだけなら、冒頭10P程度(?)を読むだけで問題ないはず。練習用シナリオの真珠湾なら対戦相手すらいりません。

 こういったゲームなので、将来でもプレイできるか疑問なのですが、それでもこういったシミュレーションゲームのルールブックは読んでいて楽しい。
 以前もどこかで書きましたが、ルールブックで書かれていることは全て意味があり、それらは当時の戦争を再現するためになくてはならない文章です。ゲームのルールはそういう膨大な調査の上に成り立つある種の報告書とも言えます。
 そのため、これらシミュレーションゲームのルールブックは、読んでいるだけでも思考が研ぎ澄まされていくようで、読んでいるとある種の文学的な快楽すら感じたりします。実際私の仲間内で頭がいい人は(つか自分が一番バカだったんですがw)シミュレーションのルールブックにハマってそのまま法律家になってしまったし。

 確かに法律の文章とゲームのルールブックは似ているかもしれません。特に、ルールブックが文章として美しいのは、活用されることを前提としているから。なので実際のプレイには常にルールブックに書かれている文章の「解釈」という作業・運用が必要で、意図が不明な場合は英文のルールブックを参照したり、あるいはその場のプレイヤーによる合議でルール解釈を定めたりします。
 この辺もなんというか、法律の解釈という行為に通じるものがありますね。なので私の仲間内でシミュレーションゲームをやっていた人は(私を除き)、みんな文章の読解能力がすごいです。また、文章内の矛盾を見つけるのも上手く、これらのゲーム体験は後の人生において有益な資産(私以外)となっているでしょう。なので、若い人達にはみんなシミュレーションゲームをさせたほうがいいよ(笑)

https://farm2.staticflickr.com/1744/40993482570_fdd2def83a_m.jpg PacificWarに話を戻すと、こういったモンスターゲームなので、実際にプレイした経験はありません。ただ、ルールブックを読みながらセットアップまではやった事あります。その時の感想がどういったものだったか覚えていないのですが、ふむふむと感心しながらユニットを配置していた記憶がありますので、私の頭の中でも何らかの有意義な経験が得られたのでしょう。

 個人的に、このゲームのルールで特に印象的なのが「就役」という概念、全てのユニット(陸軍・航空隊・海軍艦船)は就役状態にならないと作戦に参加できません(防御戦闘のみは許可されている)
 作戦を行うには、必要な手持ちのユニットを選び就役状態にする必要があります。そして作戦を終了させるためには必ず全ユニットを解役させなければなりません。この辺、一部のゲームでは「動員」という概念があったりしたものですが、解役までをルールに定めていたのはちょっと珍しいと思いました。さすが戦略級のゲームです。

 そして、特にVictory Gamesのルールブックは文章を鑑賞するという点においても優れていまして、写真にあるように実際の戦争において、このルールは何を再現しているのかがきちんと説明されており、シミュレーションのルールブックとして評価も高いものでした。
 ちなみにVictory Gamesとは、シミュレーションゲーム界の巨人、Avalon Hillの子会社で、当時倒産したSPIからスタッフを引き抜いて設立した会社と言われていました。そのため出版されるゲームの題材はマニアック+ビックゲームになりがちで、評価は高かったのですが、実際プレイした人はあまりいないかも。

 自分はVictory Gamesの製品として、Gulf Strikeと、NATOを持っています。これは唯一Victory Gamesの初期ラインナップの中では現実的にプレイできる規模のゲームで、何度かプレイした記憶があります。NATOは手元にあるけど、Gulf Strikeはどこにいったかな?あの当時はあの地域でアメリカとイラクが闘うなんて思いもしない時代でしたが(このゲームではアメリカの敵はイランとされている)

 この手のシミュレーションゲームですが、私としてはみんなが定年退職した後、有り余る時間をつかってのんびりやりたいという野望を持っているのですが、みんなちゃんと健康で長生きしてくれるかなぁ?

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↑航空作戦を行うにもこれだけのシークエンスが必要

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▼2018年06月02日

アイアンボトムサウンド 3

https://farm2.staticflickr.com/1734/27622570597_c80362d8db_m.jpg アイアンボトムサウンドという言葉はご存じでしょうか?最近だと「艦これ」の提督勢はイベントの名称として耳にしたと思いますが、本来の意味は「ソロモン諸島のサボ島、フロリダ諸島の南方、ガダルカナル島の北方に存在する海域」とのことで、太平洋戦争時、この一帯で何度も海戦が行われ、海底を鉄の残骸が埋め尽くしている(もちろん比喩表現)とのことから名付けられた言葉です。

 で、その「アイアンボトムサウンド」ですが、私が中学生か高校生の頃、同タイトルのシミュレーションゲームが発売されていました。今回紹介するのはその復刻第3版
 復刻版は既に発売されて2年位?経っていますが、版元で品切れ流通在庫のみとのアナウンスがあったので、ヤバい買っとかなきゃと思って購入しました。実際プレイする機会はしばらくなさそうですけどね。

 このゲームのオリジナルは、アメリカのQuarterdeck Gamesというメーカーが発売したもの。それを日本のホビージャパン(以下HJ)が翻訳・改良して日本語のゲームとして発売しました。このHJ版はパッケージとして出来が良く、アメリカに逆輸入されたそうです。
 その後、難解だったシステムを改良しプレイアビリティーを向上させた第2版がアメリカで発売されます。ただ、この改良はプレイヤーの支持をあまり受けなかったようで、今回発売された第3版は、基本的に第1版を底本として改良されました。

 ゲームシステムの改良についてはここで語っても何が何やらだと思うので語りませんが、例えばユニットについて第3版で改良されたポイントは長門級の速力だそうで、こちらは以前の版だと遅すぎたそうです。逆に装甲についてはやや下方修正されています。これは当時のアメリカと日本の鋼板の質を考慮したとのこと。その他はまだルールブックを読み込んでいないのでわかりません。というか、オリジナル版が今手元にある訳じゃないので、比較はできません。

 このゲームですが、昔は何度もやりましたね。
 戦術級艦隊戦の海戦のゲームにしては珍しく、移動は事前プロット制で、両軍とも船の移動を事前に全て決めてから、同時進行で艦を移動させます。なので思った通りのコースで攻撃ができなかったりしますし、敵艦との衝突などもそれなりにありました。
 プレイしてみると艦隊の綺麗な単縦陣が何本も描かれるように進行していくので、実際の海戦の雰囲気が実に良く出ていました。どんな感じのゲームなのかはねとらぼに記事が出ています。

 高校生の頃に知り合ったゲーマーの人が、このアイアンボトムサウンドを愛しすぎるあまり、ユニットの数値やダメージポイント、そして戦闘結果表を全て丸暗記していて、1人でサイコロを2つ振りながら脳内プレイをしていたことを思い出しました。
 そんな感じで、ハマる人にはめちゃくちゃハマるゲームです。というか、このゲームで艦隊の陣形というのが如何に大事か学んだ人も多いのではないかと。

 定価は8,000円(税別)とややお高いですが、昔のHJ版だって定価5,800円ですからね。それを思えば実質値下がりしてるとさえ感じる価格。

 こういった史実を題材にしたシミュレーションゲームのいいところは、ルールブックを読んでユニットの数値を読み解くだけで、同素材の戦史本数冊分以上の情報を得ることが出来ること。
 ルールブックで決められていることや、禁止されていることには全て意味があり、特殊ルール、選択ルールについは、史実で起きた不確定要素が再現されています。それぞれの艦船の性能についても、ゲームデザイナーが資料を漁り、更にゲームの展開とのバランスを考え決められた数値だったりしますので、盲信はできないにせよ、兵器の基礎評価資料としては一級品(ただ多くのアメリカ製ゲーム同様、アメリカ軍ユニットはやや有利な評価です)

 もちろん、ゲームなのでプレイする以上の楽しみはないのですが、例えプレイできなくても、旧日本海軍の水雷戦を知る資料としても優れています。
 それと、往年のシミュレーションゲーマーにとっては泣ける、ロジャーマクゴワン氏のパッケージイラストもカッコよすぎます。彼の画集とか発売されてないのかな?

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↑各艦船のデータシート、艦これではありません。

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▼2015年12月31日

2015年大晦日に「ワーテルローの戦い」をソロプレイする

IMG_7031.JPG 年末年始は去年と同じく鹿嶋の別荘にこもっているため、普段とは違うことができる。

 今年は去年発売されたウォーゲームハンドブック2015に付属していた「ワーテルローの戦い」のソロプレイにチャレンジしてみる。
 ちなみにボードシミュレーションゲームはなんだかんだで10年以上ぶりくらい。更にソロプレイなので少しハードル高いかも。

 まずゲームの概略を。
 本ゲームの舞台は、グノタというか、欧州史に興味があるひとならご存じかと思うワーテルローの戦いを題材としている。詳細はウィキペディアに呆れるほどの情報が掲載されているので割愛するが、復活したナポレオンにとっては正念場の戦いであり、またナポレオンの衰えを感じさせる戦いでもあった。実際の作戦ではナポレオンの指揮さえしっかりしていれば、決して負ける戦いではなかったといわれるが、ゲームではどのような展開になるのだろうか?

 以下ゲームでの流れを概略で紹介する。
 まずこのゲームは、手持ちのユニット全てを動かせるわけではなく、あらかじめ行動する軍団のチケットをお互い選び、自軍の行動フェイズになるまで隠しておくというルールがある。これはこの時代の野戦における情報と命令系統の不確実さを表しているんだと思う。ちなみに両軍の軍団は

 フランス軍
 ・近衛軍団/第1軍団/第2軍団/予備軍団

 連合軍
 ・イギリス軍:第1軍団/第2軍団/騎兵軍団/予備軍団
 ・プロイセン軍:第4軍団/第2軍団/第1軍団

 となる。
 大体似たような編成なのだが、特徴のある軍団をピックアップすると、フランスの予備軍団は騎兵が中心、イギリスの騎兵軍団は騎兵オンリー、プロイセンは全てコンバインドな編成。ちなみにリストの順番はおおよそ強い順。
 ソロプレイで両軍における行動を選択した軍団の秘匿は不可能なため、暫定の決まりとして、行動する軍団チケットの選択順はサイを2個振って決めることにする(ゾロ目の場合フランス軍有利とした)。つまり出目がいい方が後に行動する軍団を選ぶ。プレイは基本8ターンで争われイベントによっては0ターンが発生し実質9ターンとなる。戦闘はマストアタック。そのため行動命令がない軍団でも敵と隣接していれば戦闘を始めてしまう点に注意。

 第1ターン
 あまり詳細を書いても図がないと意味不明なので、登場キャラ(軍団)紹介のあとは適当に流す。まず行動できる軍団は連合軍がプロイセン出現までひとつ、フランス軍はふたつで有利。行動する軍団はフランス軍から第1、第2軍団を選択。連合軍はイギリス予備軍団に行動を命令した。
 連合軍が先に行動軍団を選択。その後第1ターンの主導権は連合軍が握る。適当に砲撃戦があった後、イギリス軍はマップ写真中央にあるラ・エ・サントという村と、西側にあるウーグモンへ軍団を派遣。フランス軍の突破に備える。
 フランス軍は、セオリー通りウーグモンへの進軍と、マップ東側より第1軍団が北上してイギリス予備軍団に対峙する。

 第2ターン
 フランス軍から軍団を選択し第1、第2軍団へと行動を命令。連合軍は引き続き予備軍団へと行動を命令する。ターンの主導権はフランスが握り、ここで主導権選択のサイでゾロ目が出てイベント発生(主導権選択のサイはフランス軍が+2の修正を受ける、これはフランス主導で行われた作戦であることを再現するルールらしい)!第4ターンに登場予定だったプロイセン軍の出現が1ターン早まってしまう。
 フランス軍はウーグモンとマップ中央東の予備軍団へ砲撃。フランスもウーグモン攻撃にあたる第2軍団のユニットを砲撃する。
 フランス軍はプロイセン出現が早まったお陰で、積極的に攻勢に出る必要に迫られ、ウーグモンへ第2軍団を接敵させ攻撃。また第1軍団は中央東のイギリス予備軍団へ攻撃。

 第3ターン
 ついにプロイセン軍が出現!
 プロイセン軍の出現も脅威だが、これ以降連合軍は3つの軍団に行動命令を出せる。フランスは2つのまま。ウーグモン攻略もおぼつかないまま、作戦の主導権を連合軍に握られてしまう感じ。
 軍団選択はフランスから。第1、第2軍団へと行動命令。連合軍は第1、第2軍団とプロイセン第4軍に行動命令をだす。その後悪い事は重なるもので、ターンの主導権はフランスが握るもまたイベント発生で両軍に疲労が発生。フランスにしてみると攻勢に出にくくなるので不利。
 砲撃フェイズではフランス軍のみ砲撃を行い、ウーグモン防衛隊を一部後退させる。
 その後の行動フェイズではウーグモンでの攻勢は膠着状態。中央ではフランスがイギリス予備軍団への攻撃に騎兵まで投入して攻勢にでて、ジリジリとイギリス軍を追い詰める。

 第4ターン
 フランス軍から軍団選択。行動命令は第1軍団と近衛軍団。連合軍は第1軍団とプロイセン第4軍団、そしてプロイセン第2軍団にも行動命令を出しマップに出現させる。ターンの主導権はフランスが握る。
 フランスは第1軍団の損耗が激しく、増援を送らないと軍団が壊滅の危機になる。またマップ東側から出現したプロイセン第4軍団に対峙する為、近衛師団に行動を命令、マップ中央やや南東にあるプランスノアという村へ騎兵を全力で向かわせる。ウーグモン方面は行動をあきらめマストアタックでの戦闘解決のみに留める。
 戦闘の結果、ウーグモン方面での戦闘は遂にイギリス第2軍団を追い出すことに成功!戦闘後前進でフランス軍がウーグモンを占領する。中央での戦闘は第1軍団が予想通り(?)の損耗で、前線の部隊が全てステップロス状態に。
 マップ下のプランスノアでは村に入った騎兵に対しプロイセン軍の歩兵が包囲して攻撃。フランス側からの攻撃はステップロスで持ちこたえる。プロイセン第2軍団はマップ東のやや北から侵入し、マップ中央東にあるパブロット村方面へ展開する。

 第5ターン
 連合軍からの軍団選考。第1軍団と予備軍団、そしてプロイセン第4軍団に命令。フランスは第1軍団と予備軍団を動員。ターンの主導権はフランス軍。この辺で連合軍を揺さぶるべく攻勢に出る。
 まずは中央西側から騎兵隊が北上、そして同じく予備軍団の歩兵はプランスノアへの防衛に向かう。
 ウーグモンではイギリス軍を街から追い出すことに成功したが、強力なイギリス第2軍団はなかなか突破できず、膠着状態。ただしマップ西端の戦線に騎兵が突破可能な穴が開いた!中央、ラ・エー・サントでの攻勢も膠着状態。マップ下のプランスノアではプロイセンの攻撃が思うように効かない。

 第6ターン
 軍団選定はフランスから。第2軍団と予備軍団に命令を出し、双方戦線突破を狙う。連合軍は第2軍団と騎兵、プロイセン第4軍に行動命令。
 主導権をフランスが握ったため、第2軍団の騎兵が猛然と北へ突撃!マップ北東にあるフランス軍突破フェイズをターン終了時に確保すれば、サドンデスでフランスの勝利になるからだ。
 他、第2軍団の砲兵と歩兵は、イギリス第2軍団の動きを止めるべく攻勢に出る。中央ラ・エー・サントでの攻勢はフランス不利ながらもなんとか持ちこたえる。南のプランスノアではプロイセンの第4軍団が徐々に押されている。
 連合軍の行動フェイズでは、フランスの騎兵を止めるため騎兵軍団が全力で追撃を開始する。

 第7ターン
 ゲームの残りが少ない、連合軍も攻勢に出る。
 軍団選定は連合軍から。第2軍団と騎兵軍団、プロイセン第4軍団に命令。フランスは第2軍団と予備軍団へ行動命令。
 主導権をフランスが握り、第2軍団騎兵は遂にフランス軍突破ヘクスの東端隣接ヘクスへ到達!中央ラ・ベル・アリアンスでは南下したイギリス軍とフランス軍が対峙するが、砲撃でイギリス軍1ユニットに撤退効果を与えたため攻勢の戦線が崩壊。単独で突出してしまったイギリス軍ユニットを集中攻撃で追い返す。プランスノアでのプロイセン軍も戦線突破を狙い、戦線北の予備軍団歩兵へ攻撃を集中するが、フランス軍と痛み分けという感じでなかなか突破口を開けられない。
 連合軍の行動フェイズ、フランス騎兵の突破に対して唯一防衛に間に合ったイギリス騎兵軍団1ユニットだが、攻撃力が1とおぼつかない。この状態で戦闘を開始すると、なんと不利な戦闘ながら双方1ステップ損害というイギリス軍にとっては夢のような結果になり、双方の騎兵ユニットはここで除去。フランス軍による戦線突破の夢はここで潰える。

 第8ターン
 いよいよ最終ターン。軍団選定はフランス軍からで、予備軍団と近衛軍団に行動命令を出す。連合軍は第1軍団と第2軍団、プロイセン第4軍団に行動命令を出し、逆にフランス軍後方兵站ヘクスへの突入を図る。
 主導権はフランス軍。ここでプロイセンによるフランス軍後方兵站ヘクスへの突入計画は頓挫。開いた穴を先にフランス軍に塞がれるからだ。フランス軍による中央北のラ・エー・サントでの攻撃は効果無し。中央南のラ・ベル・アリアンスではイギリス軍を後退させる。マップ南東のプロイセン第4軍団との戦闘は、プロイセンが戦線崩壊。また当然ながら突破口もフランス近衛軍団に塞がれた上にZOCで行動を制限され、ここでプロイセン軍の役割は終了。
 最後の連合軍行動フェイズでは、奪還された村の再占領を試みるが移動力が足りず。ま、このターンで終了なので、ここはもう移動する必要もないんだけど、一応勝利条件ポイント稼ぎを目指すこととする。

IMG_7113.JPG ここでゲーム終了。
 ユニットの損耗は連合軍16だが、勝利条件のポイントとして連合軍は損耗ユニットを2で割った(端数切り上げ)数となる。フランス軍の損耗ユニットは11。こちらは撃破数そのまま連合軍のポイント加算となり、さらにフランスGerユニットを1ステップロスさせたので+1で12ポイント。
 村の占領数は、フランスが連合軍を+2上回ったのだが、ポイント加算でフランス軍10、連合軍12となり、割と僅差で連合軍の勝利となった。

 プレイ後の感想を書く。
 連合軍の勝利は、序盤でフランス軍の行動が制限されるような状況が多く起きたことと、なんといってもプロイセン軍の登場が1ターン早まったことが大きい。プロイセン軍の参戦は嬉しいが、なんといってもプロイセン軍が登場すると行動可能軍団が合計3(うち最低1軍団はプロイセンに割り当てられる)に増えるのが大きい。本来序盤でフランス軍の猛攻に耐えるべき連合軍が、1ターン早く覚醒できた。更に3ターン目は両軍疲労となり攻勢側が不利にもなった。
 フランス軍の敗因としては、連合軍と全く逆で、序盤に積極的な行動が制限されたことが大きい。プロイセンの参戦が予定通り4ターンかれであれば、東にいる第2軍団か中央の予備軍団(史実ではネイ率いる騎兵隊になる)が連合軍の戦線を突破できた可能性が高い。というか、本プレイでも第2軍団の騎兵が戦線突破に成功しているわけで、プレイ上の油断があったとはいえ、フランス軍騎兵のプレッシャーは連合軍にとって頭が痛いと思う。

 今回、両軍とも砲兵については割と上手に運用できたと思う。特に攻勢時に敵ユニットへの砲兵支援があると、砲撃効果もそうだが、被砲撃ユニットのZOCが確実に無効になる効果は、攻勢時にうまくタイミングを合わせると敵ZOCからの移動が可能になる。もちろん付随して退却などの効果が出るのは更に嬉しいが。
 ただし、砲兵を大事にしすぎて全線に出さないのもまたダメなところで、今回のプレイでは両軍とも砲兵の損耗より、むしろ砲兵の攻勢効果を重視した。お陰で両軍ともそれなりに砲兵は消費してしまったが、後方でグズグズしているよりは効果的に運用できたと自負している。

 あと、ソロプレイにおける問題点として、どうしても攻勢側が不利になるという点もある。つまり「行動を起こそう」としている側の心理をソロプレイになると防衛側が全て熟知しているわけで、第6ターンからのフランス軍騎兵ユニットへの対処は、ソロプレイでなければあれだけタイミングよく対応できなかった可能性が高い。

 ちなみに、一応ソロプレイ開始前に自分の思考を縛る為、フランス軍と連合軍の行動指針は決めていた。
 フランス軍は序盤から積極的に攻勢に出ることと、中央突破を目指すこと。連合軍は東のウーグモンでしつこく防衛的行動をとることと、中央の軍団はむしろ南下して攻勢に出ること。プロイセン軍は行動可能になったら南東の街道から侵入して速やかにフランス軍後方兵站ヘクスへの突破を狙う事。ソロプレイながらも基本的にはそれぞれの行動指針に従い行動したつもりではある。

 それと、今回はプレイのログを取りながらゲームを進行したのだが、都度頭が冷静になってよかったかもしれない。初めはフランス軍と連合軍の攻撃フェイズ毎に30分の休憩をいれるかとか、テーブルに座る位置を変更するか、とか色々考えたのだが、ログ取りで逐一思考が中断されるため、どちらかの軍勢への肩入れが防止できたような気がした。

 しかし、終わってみるとボードシミュレーションゲームは楽しい。熟練者からすると采配は稚拙なものだったかもしれないが、少なくともワーテルローにおける戦場のダイナミズムを体験できたような気がする。
 実プレイ時間としては、ログを記録しながらという理由もあるが、9:30過ぎにスタートして、第4ターン終了時の昼食と昼寝の約1.5時間を挟み、終了が17:00過ぎと、久しぶりなせいか想定プレイ時間を大幅に超える時間となった。

IMG_7111.JPG
↑両軍の損耗ユニット。
青がフランスで、赤がイギリス、グレーがプロイセン。

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ワーテルロー戦役/アルバート・A.ノフィ

▼2012年10月30日

PanzerBlitz - Hill of Death

PA304101.JPG 戦車道は乙女のたしなみ!である昨今、私達も戦車への理解を深めなければならないのですよ〜。

 先日、都内の模型ショップをのぞいてたら、Avalon Hillの名作、PanzerBlitzが、MNPという会社からPanzerBlitz - Hill of Deathとしてリニューアルされて売られているのを見つけました。というか、リニューアルされているという噂は知っていたのですが、店頭で売られているのを見たのは初めてです。

 パンツァーブリッツというゲームは、アバロンヒルのブックサイズパッケージの名作。陸上における戦術級シミュレーションの古典と言ってもいいでしょう。適度に簡素化されたユニットやルールは、シミュレーションゲーム後期に見られた、複雑怪奇なルールの読解を必要とせず、動的な電撃戦時代の戦場におけるダイナミズムを実現したゲーム…だったらしいです。

 だったらしいというのは、実はこの「ブリッツ3兄弟」と言われる(?)ゲームで、「パンツァーリーダー」と、「アラブ・イスラエル戦争」は手を出したことあっても、この「ブリッツ」だけは手にしたことがなかったので、よくわからないのです。

 う〜ん、買ってもどうせやらないんだよな〜、と思いながらも、進化し続ける「パンツァーブリッツ」の今を見たくて、思わず購入。売価は6,090円だったかな。高いと思いつつも、あの頃ホビージャパンで輸入されていたパンツァーリーダーも、5,800円したと思ったので、そう考えると昔のままの値段で出ています。

 ルールブックはザッとしか読んでいないのですが、フェイズの区切り方や、行動の種類をチットで引いて決定するあたりなど、結構今風にアレンジされていますね。ただし、マップやユニットは、逆に現代的に綺麗すぎて、ちょっとイマイチな気もしました。あと、パッケージもなぁ…、往年のマクゴワン風に描かれてはいるけど、オリジナルのパッケージはカッコよすぎますので。

 とりあえずは、ユニットを切り離して、チビチビとソロプレイで戦車戦の戦術を勉強することにしますか。

 ちなみに、オリジナルのデザイナーによる、デザイナーズノートが、翻訳されてこちらで公開されています。シミュレーションゲームに興味がある方は、ボード、PC問わず、是非ご一読を。

 特に、昨今では「戦車道は乙女のたしなみ」ですからねっ!男子達も、乙女達に負けてはいられないんだゾ☆

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ガールズ&パンツァー 1(フラッパーコミックス)/才谷屋龍一・ガールズ&パンツァー製作委員会