千年、働いてきました~老舗大国ニッポン/野村進
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意外にも日本には「老舗」と呼ばれる企業がとても多いそうです。創業千四百年を誇る世界最古の企業「金剛組」は、その代表ですが、日本には他にも、創業して千年以上の旅館や和菓子屋、仏具店に薬局などがあるとのこと。
金剛組に関しては、私も以前Mixi内で話題にしたことがあります(今は削除済)。以下再掲載。
古くからの企業といえば、なんとなく中世の伝統を受け継いでいるヨーロッパの街角にある工房が何気に創立数百年の歴史があったりして…といったイメージが強いが、実は世界で一番古い企業(会社)というのは、我が日本に存在した。その名も「金剛組」。
会社概要を見ると普通に書いてあるが、創業が
「飛鳥時代第30代敏達天皇6年(西暦578年)」
西暦の表記がなければ、どんな時代なのかさっぱり分かりません。とりあえず、創業1,400年の歴史があるみたいです。すげーハナシだ。
この本も、まさに私と同じような視点から始まります。そうなんですよね。古くから続いている会社って、何となくヨーロッパ方面が多そうな印象がありますが、実はそうでもないようです。
本書にも掲載されていますが、ヨーロッパで創業200年以上の会社のみ加入できるという「エノキアン協会」でも、一番古い会社はイタリアにある金細工会社で、創業してからまだ650年足らず。
かといって、世界の他の地域でもっと古い老舗企業が沢山ある地域がある訳でもなく、なんでも、この老舗企業の多さは、日本だけが突出しているとのこと。
企業訪問記としては、やや内容が薄い気もしますが、こういう老舗の世界を俯瞰するには面白い本でした。
追加ですけど、本書に「日本は職人が大事にされてきた」と書いてあり、私などはこの点がちょっと意外でした。よく考えてみれば、日本の職人は権力とは無縁だったかもしれませんが、実際はそれなりに社会から大事にされてきたのかもしれない…とも思いました。
「職人気質」や「名人」などと言う言葉が何時できたものかは知りませんが、少なくとも現在において、権力とは違った意味で尊敬の対象になっています。