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俺は君のために死にに行く

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 「俺は君のために死にに行く」という映画が公開されるらしい。新聞の広告に石原閣下の推薦文が出ていた。以下引用。

特攻隊員から
母のように慕われた
鳥濱トメさん。
彼女に聞かせてもらった
隊員達の真実の声。
過酷な時代を生きた、
美しい日本人の姿を
残しておきたい。

 まず思うのだが、この「島濱トメ」という人は、戦後何らかの処分を受けているのだろうか?なにやら戦時中のことなので美化されているが、この人、自分のしていた事って判っているのか?

 太平洋戦争末期における、日本人のキチガイ行為は、もっと真剣に議論されるべきだろう。もちろん、特攻などという自殺行為を推薦した軍人の行為は、徹底的に責任を追求すべきだし、また、それらを戦地に送り出した家族、父親や母親、そして送り出した先で「お国のために」などという洗脳行為に荷担した、この映画の登場人物(?)も、徹底的に責任の所在を調べるべきだろう。

 もちろん、この時代のことだから、今の人間の常識でモノを計ってはいけないと思う。ただ、私はよく戦争物のドラマで登場する特攻隊員の母が、涙ながらに「お国のために役立ってきなさい」といって、息子を送り出すあの神経がどう考えても理解できない。戦争に出かけるのではなく、死にに行くのだ。法を犯してでも、どんなことをしてでも、息子の命を救おうとした家族は、当時の日本にはいなかったのだろうか?

 特攻の戦犯は、軍部だけではない。これらの行為を悲劇ぶった顔で支持し続けた、当時の民間人も同様に戦犯である。べつに当時の個人をぴっぱりだして責任追及しろとは言わないが、なぜ当時の日本の母親は、平然と息子を死地に追いやるような行為が出来たのか。もっと冷静に、徹底的に理由を調べるべきだろう。ひょっとしてこれは、民俗学者の仕事なのかもしれないが…。

 ということで、私はこの手の行為を美談として紹介する神経が全く理解できないのだ。そして、こういう行為を美談として扱うことは、いずれ日本人が戦争を忘れた頃、また同じ事が起きるということでもある。

 頼むから、戦争とはなんなのか、戦争で人が死ぬということはどういう事なのか?そして、仮に人を戦争に送り出す際は、その命はどれだけ貴重に扱われるべきなのか、こんな似非美談に涙する暇があったら、徹底的に戦記やら軍事やらの本を読んで考えてほしい。

 最後に補足するが、「責任」と書いてはいるが、これは個人攻撃をしろと言っているのではない。当時の日本という国が、なぜそういう方向にいとも簡単に変化してしまったのか、この理由は徹底的に調べ上げないと、次に戦争が起きた際、必ず日本人は「特攻」を復活させる。
 特攻は美談ではない。特攻という名と共に行われた当時の少年達への殺人行為でしかない。その殺人に荷担しておめおめと生きている戦後の生き残り(軍人だけではないぞ)は、自分たちが犯した殺人について、真剣に考えて反省すべきだ。

|俺は君のために死にに行く|


コメント(13)

「製作総指揮・脚本:石原慎太郎」
ですか。

都知事としては認める部分も無くはないんですが…。

投稿者: にしだや | 2007年03月03日 18:14



閣下は気が狂っているよね。あいつはおかしい。

投稿者: ふじむら | 2007年03月03日 23:45



確かに、政治家としての才能は認めますが、こういうのはちょっとなぁ…と思います。

しかし、都民の皆さんは、都知事選で盛り上がれていいなぁ…。

投稿者: よっち | 2007年03月04日 07:52



横槍でさしてがましいですが・・・
あなたこそもっと戦記を読まれるべきではないですか?
死地に赴く兵士達を「お国のために」と送り出すのは常套句であって本心であるはずがない。
そもそも送り出す側に罪があるというのはおかしい。
あなたの知っている戦争世代に聞いてみてください。どんな気持ちで彼らを送り出したのか。どんな気持ちであの時代を生きたのか。
「もうだめだと思ったが皆ががんばってるからそんなこと(弱音なんて)言えない」

投稿者: bach5c | 2007年03月09日 15:04



>常套句であって本心であるはずがない
 もちろんその通りだと思いますよ。
 でも、それが「美しい日本人の姿」ですか?
 個人をせめるつもりはありませんが、そんな空気を作ってしまった、当時の日本社会というものは、反省すべきではないんですか?
 そして、そのような国を作ったのは、当時の国民でないのですか?


 戦記を読んで、当時の人たちがかわいそうだと思うのなら、何故そんな社会になったのか、何が悪くてそうなったのかを考えないと、その教訓は未来に向けて生かせませんよ。

投稿者: よっち | 2007年03月09日 16:16



私は、この手の悲壮感あふれる「美しい戦記」とか、戦争は悲惨だからやってはいけないと訴える話とか、感情論で戦争を語るものは好きになれません。
感情で戦争すると、(負けるまでやめられないから)勝っても負けても得しないと思うのです。
(感情で戦争して勝てることはまれだと思いますが。。。)
もう一回戦争するためにはどうするべきか、もう二度と戦争しないためにはどうするべきかを、きちんと「勘定」づくで考えないといつまでたっても前進できないような気がします。
アジアというか、日中韓 (朝)は、その辺がとっても下手な気がします。
怜悧な発言自体が嫌われますからどうにもなら無いと考えていますけど。。

投稿者: Hasumi | 2007年03月09日 18:04



私もそう思います。
感情論は感情論として、理性と分けるべきですね。

まあ、私も含め、人の生き死にがかかる話だと、なかなか感情を切り離して語る事ができなくなるから、どんどんややこしくなっていくんでしょうが。

投稿者: よっち | 2007年03月10日 09:57



確かに私は特攻が良いことだとは思いませんし、そう思っている人はほぼ居ないでしょう。この行為が「キチガイ行為」だと言われる事も十分に理解できます。
しかしこの映画のどこがいけないのでしょうか?作中でそのキチガイ行為を正当化しているのでしょうか?私は逆に「若者が国や皆の為に死んでいった」という、とても悲しい、あってはならない事があったんだと伝えている作品だと思うのですが。
これを見て、特攻はあって良かった。良い事だ。という考えを持つ人は100%居ないでしょう。
むしろ、大多数の人はこれから二度とこんなことはあってはならないと考えると思います。
これはまさにblog主さんの考えと一緒なんじゃないでしょうか・・・
悲劇の中にある感動を狙った映画ですから、それを美化といってしまうのは違うと思います。最終的には「こんなことはもう無いように」という意図の作品であると思います(殆どの戦争映画がそうであるように)

bach5cさんがおっしゃっている、特攻などについての反省も、皆すでにわかっていると思いますし、もし次に戦争があったとしても特攻が繰り返させるような事は無いと思いますよ。
そんなに悲観するほど日本人は馬鹿じゃないと思いますよ~
ちょっとこのタイトルのせい美化された印象を与えてしまうのでしょうかねぇ。

普段このblogを読んでいる訳ではないのですが、長文で失礼しましたw

投稿者: 通りすがりの者ですが | 2007年04月10日 18:36



ごめんなさい反省~の流れはよっちさんの文章でした。

投稿者: ↑の者です | 2007年04月10日 18:39



蛇足ですが、戦時中の人から聞いている話を書かせていただきます。

当時の日本には戦争反対と言ったりできるような状態ではなかったそうです。
そういう行為を行ったり、戦争に息子を行かせない様にしているのが判明すると、専門機関の人間が強引に連れて行ったそうです。
#勿論戦争に行かない家族も処罰されたそうです。
そういうキチガイ国家としかいえない状態になって行ったのは、国民の責任でもありますし、一部の軍人(主に陸軍将校)に起因するものでもあります。
そういう時代背景をキチンと説明しないで、「美しい日本人の姿」とする石原閣下の推奨文はキチガイ以外の何者でもないと思います。
なにも、特攻に行く人間とその家族だけが悲劇の中心という訳ではなく、戦争へと傾いていった世論の問題でもあるんです。
そこら辺のところをちゃんと理解できていないと、単なる感情での話しになってしまうので、気をつけたほうが良いと思います。

投稿者: sumi | 2007年04月10日 21:15



私はこの映画を見ていないので、映画についてはよく判りません。
あくまでも、この推薦文と広告からの印象でのみ発言しています。
実際に映画を見れば印象も変わるかもしれません。
ちなみに予防線張っておくと、中身も見ないで批判するなというのなら、物理的にほとんどの映画を初めとするメディアは批判できないことになりますね。

ということで、この映画をみて、特攻についてはいけないことと思うかもしれません。
でも、こういった行為を美談として扱う姿勢は変わりない訳です。
だから、次に戦争があったら、言い方や形を変えて、国家が成年男子の命を捨てる行為につながる危険性は大いにあると思います。
だから、こういう話は「美談」にしてはいけないのではないでしょうか。

それと「特攻」についてですが、おそらく今の日本人達は、太平洋戦争と同じ状況下に置かれたら、同じように「特攻」に準ずることを絶対にやると思います。
これは、現在の社会を見ていれば、ほぼ間違いないと私は確信していますが、どうでしょうか?

繰り返しになりますが「特攻」は、美談でもなんでもなく、旧日本軍が組織的に成年男子の命を奪った「虐殺」こういそのものです。
どっかの国みたいに謝罪しろとはいいませんが、反省はすべきです。
そして、これにまつわる行為を「美談」として扱うことは、私個人としては容認できません。

投稿者: よっち | 2007年04月11日 08:22



たしかに、表面から見れば貴方の言うとおりきちがい行為かもしれません。ですが、本当にそういいきれるんですか?  
 特攻は単なる自殺行為ではない。確かに、突入する前のパイロットの無線を聞くと悲惨なものです。命令に逆らえずに突入した人たちもいるみたいです。たしかに特攻は美学ではない。全ての人がそうであれば、確かにきちがい行為でしょう。ですが、中には自ら志願して特攻された方もいるんです。
 家族が恋人が助かるならっといって突入した人もいるんです。
 そういった彼らの行為があって今の日本があるのでは??彼らのしによって今の日本の平和が有るといっても過言ではないだろうと思います。あなたはその日本に生きているんですよ。 そういった人の行為を踏みにじるような発言は少しは考えてからした方が良いとは思いますが。
 よっぽど憲法第9条を改正するべきだといってる人のほうがきちがいですよ。

投稿者: あ | 2007年04月18日 22:58



どうも論点がずれてますね。

>本当にそういいきれるんですか
 言い切れますよ。国家が論理的な理由もなく、ただお国のためだという宗教じみた理由で若い命を無駄に散らしたのです。これが正常な社会ですか?

 可哀想なのは当然でしょう。当たり前じゃないですか。上のエントリーでも書いていますが、個人で責任をとれとか、そんなことを考えているのではありません。

 特攻という行為を美談にする事を批判している訳であって、何も特攻した人達を非難している訳じゃないのですが、あなたは、どうも論点を見失っているようですね。

投稿者: よっち | 2007年04月18日 23:24



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