柳田国男のえがいた日本/川田 稔
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柳田国男の文章…というか、柳田民俗学については、どうも理解しにくいところが多分にあり、世間でもそう感じているのかわからないが、批判も礼賛も色々あって(というかそれだけ『柳田学』が成熟しているということでもあるが)、本書についてはどちらかというと肯定的な視線で柳田国男を論じている本。
本書で記されている柳田国男のキーワードは、とても判りやすく納得できるものだった、つまり柳田民俗学のポイントは、
1:有形文化
2:言語芸術
3:心意現象
のステップに分類する事ができて、その中で「3」のキーワードが、「2」や「1」の現象を背後から規定するとの事。つまり柳田民俗学の核心は、有形無形の民俗資料を分析して、そこに含まれる私たちの精神とも言うべき「3」の部分を明らかにする事を目指した…大雑把に言うとそんな流れらしい。そして、その「3」の部分を明らかにする課程と目的が、西欧のフォークロアやエスノロジーとはやや異なる部分でもあるみたいだ。この辺は私もよく判らないので、ウィキペディアの該当項目も参照してみてください。
他に、本書ではやや長目の第四章で「柳田国男の社会思想」という政治的視点に触れているが、一見民俗学とはやや離れているようにも思えるこの部分こそが、現在の日本の民俗学にもっとも欠けている部分だと私は感じている。