着倒れ方丈記
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まずお礼。この本は皆さんのご協力で細々と続けているアマゾンのアフリエイトで購入させて頂きました。本当にありがとうございました。
つことで、以前本屋さんで立ち読みして衝撃を受けた都築響一の写真集「着倒れ方丈記」をゲット!なんでも7年間にわたり流行通信に連載されていた人気コーナーを単行本にしたそうである。
帯にある「そんなに買って、着れるのか!」というコピーが秀逸すぎて、それだけでもう中身を見る必要がないくらい、この本の内容を的確に表している。
この本は、ファッションデザイナーとかモデルとか、そんな何処にいるのかわからないようなセレブ達の話ではなく、ごく普通に生きている人が、ごく普通(?)にブランドにハマってしまった姿を写真に収めた本。初めて見ると、極庶民的な部屋の中に、ブランドの夢がいっぱいに詰まった商品の数々が並んでいる特殊な意味で濃い写真集だという印象を持つが、考えてみれば、この写真集の写真達って、いわゆる普通の人達が服を買っていたらこうなった…というごく普通な日常の姿なのではないか。
世の中には、部屋中を本で埋めている人や、部屋中をCDやレコードで埋めている人もいる。そういう人達がたまにメディアで取り上げられると、私たちはつい「ばかじゃん?」と思ったりするものだが、おそらくその「ばかじゃん?」という気持ちは全てが真実ではなく、それだけのコレクションを集めた尊敬の念も、きっと全体のうち10%位は締めているんじゃないかと思う。
それに比べると、ファッションブランドにハマってしまった人達は不幸である。自分が好きで同じブランドを毎週末ごとに何度も何度も買い漁る行為は、本やCDにはまってしまった人達が受けるであろう「ばかじゃん?」の中にある10%の尊敬もない。おそらく99%は本気で「ばかじゃん?」と思われているだろう。ひょっとして1%位は尊敬の念も…というか、そのファッションブランドに興味がある人以外はそんなのもないと思われる。確かにイメージとして、服にはまり狂っている姿は、本やCDと違い、教養が磨かれているとは思われにくいもんなぁ。
なんてヲタである私はそんな事を思っていたのだが、ただ、自分でそれなりの服を良く買うようになって、やっぱりファッションというか着ている服というのは、それなりに自分の生き方を無意識に表現しているんだなぁ…と思うようになってきた。以前にしだやさんも言ってたけど、私がハウエル買ってるのはやっぱりヲタだからなんだよ、きっと(笑)。
という風な視点で、人の着ている服を観察できるようになってみると、この本に登場する人達の「着倒れ」ぶりは、とても面白くて素直に「すごい!」と感心できるようになる。というか、学生の分際でこんなに服を集められるってどういう金ずるもってるの?と思ってしまいがちだが、それは壁一面にエロゲ並べている大学生だって同じだわな(笑)。人間、本当に好きになったものに対しては、とりあえずそれが自分の部屋の視界を埋め尽くす位までのお金はなんとかするものである…っつーことなんだろう。
構成は見開きで一項目。右ページは全面写真で、左は長すぎず短すぎず…なキャプションが(日/英)文でついている。更に被写体(?)の主である人の1日のスケジュールまでついている。これらを読んで写真をよくみると…色々な事が想像できて楽しい。すごく読むのに時間がかかって楽しい写真集だ。
念のため…この本の中でハウエルさんにはまっている人はいませんでした(笑)。いたとしても、かなり地味だろうから被写体になりにくいかな。