ペリー艦隊・日本遠征記/オフィス宮崎:訳
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日本遠征記という、近代日本の幕開けに関する証言書ともいえるこの本だが、日本語訳の本というと、かつての岩波文庫版全4冊(版元品切れ)と、3巻セットの15万円という豪華版位しかまともに出版されていなかった。
以前、浦賀に行った時図書館に寄って、その15万円の「日本遠征記」を少し読んだのだが、当然その場で読み切れるものでもないし、貸し出し可能な書籍でもないし、大体私は浦賀市民じゃないし…ということで、内容についてはそれ以降読んでいなかった。岩波文庫版については、以前古本屋で見つけてちょっと立ち読んでみたのだが、翻訳のせいなのか、あまり読み続けようと思わなかった記憶がある。
で、今日神田の三省堂に行ってみたら、何やら新しい訳の「日本遠征記」が並んでいる。上下巻で一冊3,150円とちょっと高価だが、とりあえず上巻を買ってみることに。
今回発刊された「日本遠征記」は、オリジナルの3巻セットの1巻目を上下巻に分けて発売されたもの。内容的には、前記15万円の一巻目を新たに訳したものとなる。
ここまで引っ張ったんだけど、まだ序文しか読んでいません(笑)。ただ、序文の解説記事もなかなか秀逸で、日本の開国は、一般的に言われている「アメリカの強硬外交」にただ屈した訳ではなく、林大学を初めとする日本側のスタッフは、なかなかいい仕事をしていたらしい。
特に、当時の日本は鎖国といいながら、欧米各国の情報にはかなり通じており、ペリーが比較的高圧的な態度で臨んでいたことについても、幕府は、自国からの援助が不十分である事と、蒸気戦艦の補給線が伸びきっていることを知っていて交渉に臨んだ節がある…と結ばれている。
私も知らなかったが、第一回目の友好条約時には、日本側が、日本語以外で書かれている条約批准書に、署名を拒否していた、なんて事も書かれていて、一般に言われるようにアメリカ側から一方的に開国を押しつけられた…という訳でもないらしい。ま、その辺、アメリカ側の苦悩については、これから本書を読み進めることで、少しずつ明らかになって行くであろう。
ザッと内容全体を見渡してみた限りでは、訳文も判りやすそうだし、すらすらと理解しやすく読み進められそうだ。