海と非農業民
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数年前に亡くなられた、網野喜彦についての評論集。網野喜彦に関わった人達が色々な文章を寄せている…という構成だが、逆にそのような論文をまとめたモノの故に、網野学の入門としてもとても判りやすくなっている。
網野氏が、どんなプロセスで「常民」という定義を始めて、それを「百姓は農民ではない」という有名な思想に昇華してゆくのか…。本書を読んだだけでは、当然まだまだ情報量が不足しているが、網野氏のどんな著作から読み始めてゆけばいいのか…という指標にはなると思う。
最後の章「日本の歴史をよみなおす」の英訳版を作るに当たり、百姓を「peasant」と訳すのを禁止した…というのも面白い。代わりに使われた言葉は村民・町民を表す「villager」という言葉だそうだ。
本書には「第1回常民文化研究講座」の際に行われた網野氏の講演を収録したCDが付属している。そっちはまだ聞いてないです(笑)。
海と非農業民―網野善彦の学問的軌跡をたどる/神奈川大学日本常民文化研究所