楽しい写真/いしたにまさき・大山 顕
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白状しますが、渋谷のブックオフで購入しました。「謹呈」の栞が挟まったままで…みんなたるんでるよ!と言いたくなりますが、ま、いいでしょう。
著者はブロガーでおなじみのいしたにまさき氏と、団地写真などで有名な大山 顕氏です。
ということで、副題にはソーシャルメディアがうんたらかんたらとありますので、いわゆるデジカメで撮影した写真をネットに云々とい本かと思っていたら、大山氏の写真についての記事が、思ったよりも為になったというか、我が意を得たり!と思って、かなり面白かったです。
自分は、いわゆる「銀塩」時代の写真表現と、デジタル時代の写真表現というのはかなり違うはずだ…と思っていて、写真をそういう視点から定義しているメディアは、既存写真+カメラ雑誌、デジカメ雑誌を見てもなかったのではないかと思っています。というか、絞りとシャッター速度と露出補正と構図…とか、デジタルの時代にはそんなモノに縛られる必要はないんですよね。
かくいう私も、これは銀塩時代から心がけていた事なのですが「写真ぽい写真を撮りたくない」とはずっと思っていまして、被写体や構図的に安定した写真よりも、その場を記録した像がほしいんだよなぁ…とずっと思っていて、だから、初めてデジカメを買った時はもう嬉しくて仕方なかったです。それこそ現像代を気にせずに「へんなもの」を撮ってもいい訳ですから。
その他、写真は公開されてこそ生き残る…というのも、ネット時代というかクラウド時代の新たな価値観かもしれませんね。本書を読んで、自分もあまり活用していなかったflickerへ大量に写真をアップしたのですが、そうすると、今まであまり反応がなかった自分の写真にも、★を付けてくれたりコメントくれたりする人がチラホラ出てきて、プロアカウント取得しちゃうか!と思っている最中です。
勿論、従来の価値観における名作写真やアートな写真というのは、全く価値を失っていない訳で、それはそれで、また違った位相の写真の楽しみ方として残っていくのでしょう。
ただ、デジタルカメラを使った写真の楽しみをこんなにわかりやすく解説してくれる本は珍しいのではないか?と思って、広く皆様に読んで頂きたいと思う次第ですよ…なんて、ブックオフで買ってあまり偉そうな事も言えませんが(笑)。
ちなみに、私は写真家さん達について、あまり知識がないのですが、知っている程度に好きという写真家は、ミーハーですが森山大道、そして、私が密かに目指したい写真の境地というのは、宮沢常一だと思っています。彼が日本中をオリンパスペンで撮影した写真は、芸術性は全くありません。ありませんが、あの日のあの場所をありのままに記憶に残すそのスタイルは、本当に見習いたいなと…。
今はデジカメの起動も速くなったし、バッテリも長持ちするようになりましたし、大体フィルムに当たるメモリカードは、GB級が1〜2,000円程度で売っている時代です。迷うくらいならシャッターをバシバシ切って、どんどん何処かに公開しましょう。きっと、それはデジタルとネット時代に生まれた新たな写真の楽しみ方なのですから。