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ダフニスとクロエー/ロンゴス

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E1312801.JPG 白状します、こんなギリシア文学の古典をいきなり読んでみた訳は、写真にある萌え萌えなイラスト見たからです。
 このイラストは「萌える名作文学」という本に紹介されています。古今東西の古典小説を中心に、ヒロインを萌えの視点で見直したという…今流行の萌える○○読本シリーズですな。この世で萌えられないジャンルは何も無いね(笑)

 ということで、この萌えイラストに参ってしまった私は、たまには古典もいいかなと思って、ゾンアマで岩波文庫版を注文しようとしたら、どうやら絶版のようで、プレミアまでは行かないけど微妙な値段で取引されています。
 ま、岩波の文庫なら、BOOKOFFを何軒か回れば手に入るかな?と思ったのは甘ちゃんで、家の近所から都内の大型店舗まで何軒か見て回ってもまるで売っていない…というか、BOOKOFF行く度に余計な本がどんどん増える体たらくなので、ここは意を決して、今勤めている会社を抜け出し、近所、神保町の古本屋街へ。そこで絶版岩波文庫の在庫に定評がある@ワンダーというお店でようやく在庫を発見しました。

 お値段は1,050円。ま、絶版だからね。ちなみに私が買った版は1987年発行の第一刷。定価は350円だけど、物価の上昇率を考えれば…って事はないかな?いや…1987年当時の日本はバブルだったし、むしろあの頃より社会はデフレ気味。そう考えると、いくら絶版とはいえ割高な買い物だったかもしれん。

 で、前置きが長くなりましたが、読んでみるともう…ね、

「きっと今のわたしは病気なんだろうけど、どんな病気なのかわたしにはわからない。痛みは感じるけど、傷なんかどこにもない。つらい気持ちだけど、羊は一頭だって減ってはいないわ。こんなに深い木陰に坐っているのに、からだが焦げるように暑いとはねえ。茨の棘がささったことは何度もあったけど、泣いたことはなかった。蜜蜂に刺されたことだって何度あったかわからないほどだけど、ごはんはちゃんと食べられたわ。でも今の私の胸を刺すこの痛みは、そうした時のどれよりも激しいの。ダフニスはたしかにきれいだけど、花だってきれいだし、あの人の笛の音は美しいけれど、鶯の声だってそれに負けやしない。それなのにいまのわたしにすれば、そんなものはみんなどうでもいいものばかり。あの人の笛になって、あの人の息を吸えたらどんなにいいだろう。それとも山羊になって、あの人に飼ってもらえたら…。水だって意地悪ね、ダフニスだけをきれいにして、私が水浴びしてもなんにもならなかったのだから。」

 とかもう、今風に言うとメンヘラ少女的な恋心というかヘンタイ妄想爆発のイタい喪女みたいな感じです。でもクロエーたんは美少女なんだけどね。

 つー感じに、全編にわたりダフニスとクロエーがいかにお互い好きかを延々と語りやがり、読み進めるにつれリア充爆発しろと叫びたくなりますが、古典の割には翻訳がいいのか元の文章が優れていたのか、すらすらと読み進めることができます。
 あと、当然ながらふたりの間にはいくつか恋の障害があるのですが、一般的恋愛小説と違って、それらは割と簡単に解決してしまい、むしろダフニスとクロエーの人としての成長というか、エロ度のレベルアップが主体に話が進んでいきます…っていうか、一日に何度も接吻かまして、裸で抱き合って、それでもお互い何も無いってどういうことよ!リア充爆発しちまえ!(笑)

 といいつつ、やはり長く読まれてきた古典は古典。3世紀ギリシアの美しい風景の中の男女の恋物語という王道、たまにはこの世のヒネた視点を忘れ、素直で美しい感情に思いを馳せながら、若きふたりの命の営みを味わう文化的読書というのもいいものですよ。

OLYMPYS E-3 Zuiko Digital 14-54mm F2.8-3.5


ダフニスとクロエー(岩波文庫 赤 112-1)/ロンゴス・松平千秋:訳
萌える名作文学 ヒロインコレクション/萌える名作文学製作委員会

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