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ニホンカワウソ絶滅報道を聞き「ガンバとカワウソの冒険」を読む

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E8300129.JPG 先日、ニホンカワウソが遂に「絶滅種」と認定されてしまいました。確かに悲しいことですが、既に30年以上目撃例がない訳で、仕方がないでしょう。

 もっとも、今、絶滅種に認定されたとしても、その前と状況が変わったわけではなく、やはりニホンカワウソは生きているかもしれないし、やはりこの世にいないのかもしれません。

 「ガンバ」といえば、出崎統監督によるアニメーション「ガンバの冒険」が有名ですが、この物語にはもちろん原作があり、「グリックの冒険」、「冒険者たち(ガンバの冒険原作)」、そして本作「ガンバとカワウソの冒険」という3部作となっています。
 こちらの本は読んだことがなかったので、カワウソのニュースを聞き読んでみようと本屋さんで購入してみました。岩波少年文庫046番に収録されています。

 本作が出版されたのは1983年。あとがきによると、1970年代頃から構想を練っていたようで、著者は、四万十川にも取材に出かけているとのこと。その頃にはまだ、四万十川流域ではニホンカワウソの目撃例もチラホラあったようです。最後の目撃例とされているのが1979年とのことなので、運が良ければ著者もカワウソを目撃できたかもしれませんが、会うことは出来なかったと書かれています。

「青淵に 獺(うそ)の飛びこむ 水の音」

 という、作中の短歌も悲しげですが、本作は現実で「カワウソが絶滅した」年代に書かれているわけではありません。それを頭に入れて読むと、この作品におけるカワウソは、ノスタルジーではなく、今消えゆく生き物達への警鐘なのかと感じます。

 結果として、1979年以降ニホンカワウソは目撃例がなく、絶滅種とされてしまいましたが、本書を読みながら、まだ日本のどこかで生きているかもしれない彼等に思いを馳せてしまいました。ひっそり生きていてくれるといいなぁ。

 あえてストーリーには触れませんが、四の島(四国?)の自然描写が本当に素晴らしく、また、作中の挿絵も、とても美しく愛らしい動物たちが描かれており、是非手にとって、読んでみることをお勧めします。ただ、岩波書店の本なので、少し大型の店舗にいかないと、売っていないかもしれません。

OLYMPYS E-3 + Zuiko Digital 11-22m F2.8-3.5


グリックの冒険(岩波少年文庫)/斎藤惇夫・薮内正幸
冒険者たち―ガンバと15ひきの仲間(岩波少年文庫)/斎藤惇夫・薮内正幸
ガンバとカワウソの冒険(岩波少年文庫)/斎藤惇夫・薮内正幸

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