MEAD GUNDAM
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発売当初、買おうと思ってるうちに市場から一気に消えて、あっという間に古本がプレミア価格になってしまったんですよね…って、そんな事ばっか言ってる気がしますが(笑)。
つことで、復刊ドットコムでリクエスト送ったのが、確か2004年頃だったでしょうか。長かったですね。海外デザイナーによる書籍のせいか、権利的な所をクリアにするのが大変なのかな?と思っていたのですが、とりあえず無事復刊し、昨日それが手元に届きました。ゾンアマでも売っていますが、もちろん私は復刊ドットコムから購入しましたよ。
∀ガンダムのデザインは、発表当時、随分と叩かれたモノですが、実際にアニメーションとして動くシーンや、立体化されたときの完成度を見るにつれ、普段口の悪いヲタ共も沈黙し、賞賛していった課程が面白かったですね。
私も始めて見たときは、正直「カッコ悪いな」と思っていたのですが、放送第1話を見て考えが変わりました。やはり、稼働する立体として練り込まれたデザインは、動いてこそ価値があるなぁ…と。
私は∀までのガンダムについて、大河原氏がデザインした初代ガンダム以降、後付ゴチックな部分ばかりが肥大化し、進化してきたカトキ風と呼ばれるデザインに、ちょっとした冷や水を浴びせたのではないか?と考えています。
その後のロボットデザインで、直接シド・ミードのラインを真似た人はいませんでしたが、全身に不格好な箱ばかりをつけて、いたずらに線を増やすばかりだった日本のアニメのロボット達が、∀以降、線は多くても、シンプルなフォルム前提にしたスタイルへと変化し始めたような気がしています。ミード氏のデザインは、日本のアニメーションデザイナーにとっても影響は大きかったのではないかと。
本書は、膨大なスケッチも楽しいですが、アメリカと日本で交わされているモビルスーツのデザインについてのやり取りも面白いです。
日本製の巨大ロボットヒーローというものをあまり理解していなかったシド・ミード氏に対して、日本側のスタッフが、モビルスーツは工業製品とは違い、大勢の人アニメーターが手で描いて動かすモノで…みたいなメモが残っていて、工業デザインとアニメーションデザインとの違いについても、丁寧に説明していました。
意外かもしれませんが、極めて立体構造物的に考えられたと思われがちな∀も、当時のサンライズスタッフは、あくまでも「アニメーションの登場メカ」という意識はブレなかったんだな…と、感心しましす。
その中でもミード氏は、「球体に見えて実は楕円のフォルムをした頭」という、アニメーションメカ的には普通やらない面倒な立体造形も取り入れていて、単なる静止画としてのカッコ良さではなく、軸足はあくまでも立体物にありました。日本側のアニメーションメカとしての主張と、ミード側の工業デザインとしてのロジックが合わさり、∀は立体物となると、素晴らしい造形になりました。
ちなみに、シド・ミード氏ですが、彼は「宇宙戦艦ヤマト」のデザインも行っているんですよね。あのデザインも、当時は賛否両論でしたが、今では日本型宇宙戦艦の新しいフォルムとして、その後小林誠氏のデザインなどにも影響を与えたような気がします。ヤマト…ガンダムと来て、次はエヴァンゲリオンのデザインでもやるのかしら?(笑)。
とにかく、アニメーションが好きな人はもちろんですが、工業デザインが好きな人にとっても、作品が生み出されるまでのドキュメントとして非常に面白い本です。