RME ADI-2 Pro
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発表されたときからずっとほしくて、発売日を心待ちにしていたのですが、初回出荷分はあっという間に蒸発、年が明けてようやく入手可能になってきました。
こちらは、高性能オーディオインターフェイスで有名なドイツRME社の新しいオーディオインターフェイス、ADI-2 Proです。
自分のRME歴は、思い起こせば2013年にヨドバシでFireFaceのUCを入手したときから始まります。今だから言いますけど入手金額は8万円くらい。あの当時では破格に安かったですね。その高性能ぶりに驚いて、2年後の2015年にFireFace 400の中古をツテで安く入手できる機会があったので、別荘用にもう1台買い増ししました。その他趣味で色々と安いオーディオインターフェイスは買いましたけど、この2台が私にとってのリファレンスであり、LINNのDSを別にすれば私のPCオーディオ環境になくてはならない機器としてここ数年間愛用しています。
そのRMEが新しいオーディオインターフェイスを発売する!そんな発表があったのが去年の春くらい?でしょうか。当初の予定では2016年の夏くらいには発売されるとのことで、音も聴いてないにかかわらず楽しみに待っていたのですが、結局発売されたのは年末になってしまいましたね。そちらの出荷分は買い逃したので、私の手元に来のが2017年になってからとなりました。
さて、こちらのADI-2 Proですが、実はこの機種の前にADI-2というモデルがありました。FireFaceシリーズの影であまり話題になっていなかったようですが、単にオーディオ用D/Aコンバータとして使う場合には面倒なPCによる設定が必要ないため、一部のヲマニさん達の間で高性能なのに安価なD/Aコンバータとして話題になっていたようです。
今回発売されたADI-2 Proも、基本的にはPC側での設定が必要ありません…というかできないと言うべきでしょうか。MacでUSB接続の場合はドライバソフトすら必要ありません。USBで接続してOSのメニューからサウンドの出力先を選択するだけで使えます。私なんてついFireFaceのクセでTotalMix起動させちゃいましたけど、当然ながら ADI-2 Proの設定はなにもできません。本体の設定は前面にある3つのノブとスイッチで全て行います。この辺は逆にPC側から制御できた方が楽な気もしますけど、それは私がFireFaceシリーズを使っているからそう感じるのかもしれません。
本体の設定方法については、分厚いマニュアル2冊とクイックマニュアル的な資料が同梱されています。基本はクイックマニュアルを一読して、シンタックスのこの辺のページを読めば問題はないかと。黒くて分厚いマニュアル2冊は、使い方というより、ADI-2 Proを使いこなすための設計思想やウンチクやらつらつらと書いてありますので、一通り設定が終わった後に音楽聴きながらのんびりと読みましょう。なかなか面白いことが書いてあります。
肝心の音質ですがやはり素晴らしいですね。以前のFireFaceシリーズは高音質だけどやや分析的な趣もチラホラしていましたが、このADI-2 Proの場合だと音の基礎部分が大きく底上げされた印象で、音は緻密ながらも「分析」などという余計な事を考えさせないだけの説得力がある音です。
それでも一般的なオーディオ用DACと違って、変換する音のキャラクター性は低く抑えられており、その辺りは純粋なリスニング用のDACと比べると薄口に感じる人もいるかもしれません。高音質ですがアンプやスピーカーを支配してしまう印象がないので、様々な機器と組み合わせて遊ぶのにも適している気がします。
音源については、最大でPCM:768kHz/32bit、DSD:11.2MHzという、音質よりもむしろPC側のストレージ残容量が心配になってしまう程のスペックです。もはやそんな音を録音するマイクや再生するスピーカーや聴く耳はどうすんだって領域ですが、これは…まぁ、そういう時代なんでしょうね。
そのアホみたいなハイスペックぶりの恩恵か、以前のFireFaceでハイレゾ音源を再生するよりも、ADI-2 Proで再生した方がよりハイレゾとしての音の差がハッキリします。これはハイスペックな音源に対して、ハードウェアがよりきちんと答えるだけの性能を持ったということでしょうか。
使いこなしについては、私もまだまだこれからなのですが、電源はFireFaceシリーズの強化電源として有名になった、YAMAHAのPA-6がそのまま使えます。ただ、純正のロック付きコネクタと少し相性が悪いのか、コネクト部分が少し緩いようで、通電中にケーブルを動かしたりするとたまに電源が落ちます。DC側のコネクタを少しキツ目の内径2.1mmピンに変更した方がいいかも(ちなみにPA-6のDC端子は適合:内径2.5-2.1mmというスペックで少し緩めに作られています)。
ボリウムやゲインの設定は使う環境によっても違うと思いますが、私の場合、ボリウムは0デジベル固定で音量の調整はプリアンプから、プリアンプへの出力ゲインは+13dBuに設定しています。シンタックスジャパンによると+4dBuが一般的なオーディオ用CDプレーヤーと同様らしく、この設定を推奨しているようですが、色々試してみていいと思います。
ちなみに本機は完全なデジタルプリアンプとしても利用可能で、そのままアナログ出力端子をパワーアンプにつなぐこともできます。ボリウムは本体のメインノブで行います。こちらはFireFace本体のマルチファンクションノブと違い、回すだけでそのままボリウムとして機能しますので、使い勝手も悪くないです。
手持ちのFireFace 400とUC、どちらも性能的にはまだ満足出来るレベルですが、やはりADI-2 Proを聴いてしまうと「音がいいなぁ〜」としみじみ感じます。これはとても大事なことで、FireFace 400に至ってはもう発売されて10年選手のオーディオインターフェイスですが、まだ音は古びていません。そうなると、このADI-2 Proも今後10年位は性能に心配なく使えるという期待がある訳で、日進月歩のデジタル機器の中では極めて長寿命の機材となる可能性があります。
販売価格はFireFaceのハーフラックサイズに比べて値上がりしましたが、興味がある人はなるべく早めに入手して、なるべく長い時間本機と付きあった方がトクなのではないか?使っていてそんな気持ちになりました。特にRMEの音が好きな人は絶対に気に入ると思います。
ひとつトラブルですが、1度はじめて本機をアンプに接続したとき、PCから音楽の入力はあったようですが(本体グライコが動くので)、何故かアンプ側には「ブツッ・ブツッ」という断続的なノイズだけが再生されるという現象がありました。1度本機の電源を落として再接続したら直りましたが、ひょっとして純正以外のACアダプタ使っているせいかもしれませんね。
私を含めこの手のアイテムはつい電源部分に手を入れたくなってしまいますし、一部オーディオ評論家は電源は非純正のアダプタに変えるべき…みたいな事書いたりしてますが、案外ACアダプタとか寿命で壊れるもんですし、それが原因で電気製品が壊れるという例も実は結構ありますので、ホント自己責任だと認識しといた方がいいですよ。
あと、スイッチング電源はAC側の電圧降下などにも強いですが、トランス式のアダプタはそういうAC側の外部要因をそのままDC側に流しますので、音質についてはともかく、どんな電源環境で使うかわからないプロ用機材がスイッチング電源を採用するのはある意味当然なのです。
↑電源に使っているドフで買った年代モノYAMAHA PA-6、まだ値札が付いてますw