思えば、私の人生には音楽が欠かせないものでした。そんな愛しい音楽の中から、比較的、一般的に耳にすることが無いであろうCD、レコード、その他を中心に紹介します。有名どころは、わざわざ私が紹介する必要ないしね(^^)。
基本的に私の聴く音楽って、歌無し、インストのみの音楽が多いんですよね。だもんで、映画のサントラ、アニメーションのサントラなどは大好きです。なにせ、作品の内容も知らずにCD買ってしまうことも多いですから。特に最近のアニメーションのサントラは面白いですね。いろんな凝った技法、表現方法が提案されてる…。現代音楽好きの人間には、堪えられない音楽も多いです。
いわゆる現代音楽の中でも、私がよく耳にする曲は、ミニマル系ミュージックが中心です。それと、海外現代音楽の古典(変な表現)、あるいは創世記の電子音楽なんかもよく聴きます。逆に戦後しばらくの間に製作された正当派現代音楽については、あまり聴くことはありません。あの頃の音楽は、複雑さ、難解さを売物にしている面があって、ちょっと私にはとっつきにくいです。
それと、20年くらい前からは、明らかにオーディオマニアのための音楽(広大なダイナミックレンジをウリにしているもの、あるいは極端な単音の連続だったり、どちらかというと音楽を楽しむためでなく、オーディオ機器のチェックをウリにしているもの)も数多くありました。そのため、一時は現代音楽というと、オーディオチェック向きのソースというイメージが強かった時期もあります。
そのころのオーディオチェック向き音楽のなかでは、ドイツの放送局が制作したパーカッションの音を集めたCD、それと、ドラクエの音楽で有名な、すぎやまこういち氏が作曲した「オーディオ交響曲(レコード盤、CDの再販はおそらく無し)」などは、例外的に私も気に入って良く聴いていましたが、他はその手のものであんまりいい曲は無かった気がします。また一時期、「芸能山城組」などの音楽も、オーディオチェック向フソースとして、雑誌に紹介されたことが良くありましたが、あれは音楽としても一流なので例外ですね。
と、まあ、前置きはこのくらいにして、具体的にお気に入りのアルバムなどを紹介していきましょう。
▼SIMEON TEN HOLT/HORIZON 「シメオン・テン・ホルト/ホライズン」(CDCV5/6)
このアーティストに関しては、大好きなんだけど書くことがあまりないという困った人。現状で分かっているのは、アムステルダムにすんでいること。とても長い曲を作ること。かなりの高齢であること(ひょっとして生きてないかも)。ということだけ。おそらくこのアルバム自体も、日本のショップでは入手不可能だと思う。
このCD、二枚組のボリュームで、二枚合わせて1曲というちょっと聴き通すには勇気がいる構成。基本的には4台のピアノが単調なメロディを延々と繰り返し、その中でディテールが少しずつ変化していくというもので、長い曲だが決して退屈はしない(と思う)。
このアルバムを聴きていると、単調な繰り返しの中で、自分の感覚がどんどん鋭敏になっていくのが分かる。目を閉じて聴いていると、まさに目の前に「ホライズン」が…。
入手は困難でなおかつ値段も割高、聴き通すのもしんどいですが、チャンスがあったら是非聴いてもらいたいアルバムです。
▼WIM MELTEN/EDUCES ME 「ウィムメルテン/静寂の風景」(VIL-28087/日本語レコード盤)
今回紹介するのはアナログ盤、実はCD盤も持っていたような気がする。なんと茨城県にあるリサイクル商品チェーン店「ハードオフ」で、480円で購入。価格も驚きだが、それよりも何でこんなところに、こんな素敵なものがさりげなくおいてあるのか?、歌謡曲のレコードの中にあったぞ。
それはさておき、このアルバムの内容は、まさしく正統派ミニマルミュージック、ただ、最近はやりのライヒや、グラスと違って、ちょっと湿っぽい。アーティストが生まれ育った、ベルギーという土地柄(少なくとも、アメリカ西海岸よりは湿った感じがするよね)がそうさせているのか。なんとなく渇いた感じの演奏が多いミニマルの中では、貴重なアーティストかも。
曲はハーブが主体で、それにバックコーラスが入る、少し短めの演奏が多く、最長の曲がアルバムの最後“静寂の風景”(16:56)だ、残りの曲は6分前後。トリップ感覚に落ちるにはちょっと短めだけど、逆にミニマル初心者にはとっつき易いかもしれない。
余談だが、このアルバム。アンテナなどでおなじみのベルギーを代表するレーベル、クレプスキュールから出ている。これを書いているちょっと前にはじめて知った。
クレプスキュールレーベルなら、このアルバムも案外入手しやすいのかもしれません。
▼グレープフルーツ/坂本真綾(VCL-60012)
アニメーション「天空のエスカフローネ」の主題歌で、一躍有名になった、坂本真綾のファーストアルバム。アルバムのプロデュースを、これまた最近のアニメサントラではお馴染みの、菅野ようこが担当している。このアルバムを収録した際、坂本真綾本人は高校生だったそうで、アルバム全体に感じる新鮮さは、そのためかも。しかし、高校生だからといって、歌唱力が劣ってる訳ではなく、むしろ、その年齢にしかできない表現というものを、うまくアルバムに収めることに成功していると思う。特にアルバムの最後の2曲は、聴いていると何となく切ない気分に…。
このアルバム、レンタルCD屋とかにも良く置いてあるので、チャンスがあれば聴いてみてください。
▼:THIRD EAR BAND/Abelard and Heloise 「サード・イヤー・バンド/アベラールとエロイーズ」(VPJ-119/日本語盤)
プログレロック界では、もはや伝説ともいえるイギリスのバンド、サード・イヤー・バンド幻のサードアルバム(らしい)。一聴すると、とてもロックには聞こえないサウンドは、アコースティック楽器オンリーの構成。このアルバムに収められている曲は、1970年代、中世の物語を題材としたアニメーションのサントラとして作曲されたものらしい、確かにそのサウンドは、まさしく中世的なものになっている。
プログレロックとして彼らのアルバムを聴くと、いささか調子が狂うかもしれないが、聴いていると確かに精神が高揚してくる。ひょっとして、ロックという音楽の原点は、このような土着的サウンドだったのかもしれない。
このバンド、1960年代から解散・再結成を何度か繰り返し、現在もヨーロッパの何処かで活躍している模様。ちょっと前には、イタリアのレコード会社から、新譜がリリースされたりしていた。
普通のロックサウンドとは全然違うアプローチながら、実はかなりロックしているこのバンド、案外アンビエント系サウンドが好きな人にもお勧めかもしれません
皆さんご存じ、Tスクェアのライブ盤、録音は1985年厚生年金会館。Tスクェアには何枚かのライブアルバムがあるが、数あるライブ盤の中でも、このアルバムはピカイチ。
年代が古いので(帯には「LP未収録曲あり」なんてアオリ文句も)最近のヒット曲などは収録されていないが、このハイスピードでスリリングな演奏は、最近のちょっと落ちついた演奏よりも全然刺激的だと思う。
特に、ラスト“IT'S MASIC”に至る演奏は、体を動かさずに聞いているのが苦痛になるほど盛り上がる。
古いアルバムのせいか、最近店頭から姿を消しているようですが、スクェアが好きな人は是非聞いてみて下さい。古CD屋などにも、格安で出回っているかもしれません。