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フジペット35(Fujipet 35)

FUJIPET35

♯78810/他のペットシリーズに比べてコンパクトなボディ

 

 

 フジペット35とは、昭和32年に発売になったブローニー判の芽生えカメラ「フジペット」の35mm判。1959年にフジペットの高級バージョンとして、子供というか、大人の女性もターゲットとしつつ発売されました。
 販売当時の価格は2,980円といいますから、子供のオモチャにしては結構値が張る商品です。その代わりカメラとしての機能は、ブローニ判のフジペットやフジペットEEよりも、ずっと本格的なものでした。

 

 


 正面から説明します。まずボディ上部左からフィルム巻き上げノブ。中央がファインダ。その右がフィルム巻き戻しノブです。
 その下レンズ鏡胴部にある二本のレバーはは、左がシャッターレリーズ。右がシャッターチャージです。シャッターは名門コパル製レンズシャッターを採用していて、なかなか本格的な様相。レンズはFUJINAR-K 1:3.5 f=4.5cmと表記されています。3群3枚構成だそうです。

 次は背面写真です。ノブの解説は省略して、左のフィルム巻き戻しノブの下に金属のスリットが見えると思います。これはフィルムカウンター。そしてファインダを挟んで右側にある小さなポッチが、フィルム巻き上げ止め解除レバー。コレは何かといいますと、まずフィルムを巻き上げるときこのレバーを解除して、そして巻き上げノブを回します。すると35mm判の画角である上下のパーコレーション8つ分で正確にロックがかかり、そこで巻き上げが停止する仕組みです。
 普通のカメラでは、この巻き止めは巻き上げレバーと一緒になっているのですが、このカメラではコストを下げる為か、二つの機能が別になっています。

 


 上部から撮影した写真です。先程から解説しているノブが二つ大きく見えます。子供向けというなら、文字は日本語で書かれていても良さそうな気もします。
 鏡胴部分上からピントリング。このカメラのピントは目測です。次がシャッター速度調整リング。速度はB・25・50・100・200の切替式です。なかなかの本格派。
 次が絞りリング。解放がF:3.5、最少絞りがF:22です。

 底面には、まず鏡胴根元部分左にシンクロ接点。その右のレバーは絞りレバーです。正面から見ると、シャッターレバー二本とこの絞りレバーが三角に見えて、オリジナルフジペットのイメージを継承しているようにも見えます。
 ボディ部分は左から三脚穴。その右下の赤い印はフィルム面マーク。その左に見えるダイヤルはISO感度設定ダイヤルと裏蓋解除レバー。ちなみにISO感度はあくまでも覚え書きの意味しか無く、当然カメラの機能とはなんの連動もしません。裏蓋は横にある四角い金属部分を下に下げると開きます。普段は故意に開かないようにロックしておくことが出来ます。

 


 次はボディを左右から見た写真。特に解説することはないのですが、案外ファインダ前枠が強調されて見えますね。

 


 レンズ鏡胴部のアップです。このカメラで写真を撮影するためには、色々と調整する箇所が多いのですが、本当に子供向きだったのでしょうか?。
 次はフィルムカウンタ部分。一度フィルムを使い切ったら、自分で下のギアを指で回して元に戻さないといけません。

 


 次は裏蓋を開けた写真。右側にヒンジがある普通の裏蓋です。
 次はレンズを裏から見た写真。フィルムアパーチャーはプラスチェック製で、他のフジペットみたいに湾曲はしていません。開口部上にあるグレーのギアが、フィルムのパーコレーションに噛み合うギア。ここでフィルム上下に開いている穴の数を検知します。


 このカメラにも、他のフジペット同様フィルムの宣伝シールが貼ってありました。昔懐かしフジカラーのパッケージシールです。こんな部分を見ると、なにやら得した気分になってきますね。

 


 このカメラを受け取ったときに、持ち主の方から「何やら中でカラカラと音がします」と言われていたので、早速外見をチェック。するとファインダの接眼側レンズがなくなっているのが判りました。ひょっとしてこれが中に入ってカラカラ音を立てているのでは?、と思い、早速分解に着手。まず底面をバラしてみましたが、特に何もありませんでした。
 次に上をバラします。まず上部のカバーを外すためには、二個のノブを外す必要があります。これは特にネジで固定されているわけではないので、裏蓋を開けて下の軸を押さえながらノブを回すと、普通に外すことが出来ます。

 


 ノブを外して、黒い部分両端にあるネジを外すとカバーが外れます。この際、同時にファインダの前側にあるレンズも外れるので注意します。この状態まで外すと、中から欠けた接眼側のレンズが出てきました。早速接着剤で固定します。これで修理は完了しました。

 


 早速試写に出掛けてきました。フィルムはフジ・スペリア100。舞台は日曜午後の秋葉原。撮影データは全て忘れました。すいません…。
 まずは万世橋交差点から撮った写真。夕日でうっすらと暖色に染まった街の感触が、結構良く出ています。

 


 次は大規模な改装が決まった秋葉原デパート裏口。ちょっと露出オーバー気味ですが、なかなか飛ばずに粘っています。
 次は、営団地下鉄秋葉原駅方面にある公園から同人ショップの看板。なにやら秋葉っぽい風景だなぁ…、と思って、ついシャッターを切ってしまいました。
 ネガフィルムなんであまり厳密な色調については語れないのですが、全体的に暖色系…、というか、寒色系の色が少し薄い感じもしますね。この辺は最近のシアンを強調したレンズとは逆の設計なのかもしれません。このペット35で撮影した写真は、見慣れた街も何となく懐かしい風景に変わります。

 


 ちなみにこのカメラにはレンズキャップが付属していなかったようです。現在手に入るものだと、ライカエルマー用34mmプラキャップがぴったりサイズで使えます。

 安っぽい筐体に似合わず、色々な調整部分があって、なおかつ撮れる写真も結構奇麗。でも、初めてカメラを手にする子供向けにはちょっと操作が難しかったかもしれませんね。
 フジペット35は、むしろ写真に覚えのあるお父さん達の方が夢中になってしまいそうな、そんな魅力を秘めたカメラです。

 

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